広報視点で見る株主総会対策とファイナンシャル・コミュニケーション
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株主総会で注目されるコーポレートガバナンス
昨今注目が高まっているESG経営。環境・社会・ガバナンスの三つの要素のうち、“株主総会”は「コーポレートガバナンス」に関する事柄が多く扱われ、この点が最も注目されるものですが、一方で「環境」や「社会」に関わる事項への対応を説明する場でもあることも忘れてはならず、どれもおろそかにすることはできません。
近年、企業の経営を巡る考え方には、かつての株主資本主義からステークホルダー資本主義への変化が見られ、株主以外にも顧客や従業員、地域社会など、さまざまなステークホルダーへの貢献が重視されるようになってきました。多様なステークホルダーと良好な関係を築き、また、企業の業務を監視する取締役会などが組織においてどうあるべきかについて示したのが「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」です。2015年に金融庁と東京証券取引所が共同で策定し、2021年6月に改訂されました。主な改訂ポイントは、次の3点です。
①取締役会の機能発揮
②企業の中核人材における多様性(ダイバーシティ)の確保
③サステナビリティを巡る課題への取り組み
東京証券取引所は、今年4月4日に新しい市場区分、「プライム」「スタンダード」「グロース」をスタートしました。コーポレートガバナンス・コードの改訂は、特にプライム市場の上場企業に対し、一層高いガバナンスを目指すことを促す内容となっており、注目が集まってます。
広報視点で考える株主総会
一方で “株主総会”や“決算説明会”は、広報視点で見ると最も効率的なアクセスポイントであると考えられます。株主や投資家という企業への関心度が高いステークホルダー(=ターゲット)に対し、ダイレクトに企業の考えを伝えることができる場です。広報を手掛けている側からすると、これほど注目度の高いイベントは他に類を見ません。
その意味では、株主総会において企業の経営者が、分かりやすく、伝わる言葉で、はっきりと、事業戦略や成長戦略、非財務情報などを語ることは、とても重要で有益なことなのです。
この場を、“乗り切る”のではなく“最大限に活用する”ために各企業は努力を重ねていますが、その努力の方向性を迷われている企業も多いようです。
整理されていない詰め込み型の資料、企業の一方的な思いを語る言葉、方針の見えないバラバラな施策など、ターゲットに“刺さらない”株主総会は少なくないように見受けられます。
株主総会においては、多様なステークホルダーやサステナビリティ・ESG経営など、対象や領域が広がったことで、より一層の“伝える工夫”が必要だと考えます。“何か良いことをやっている雰囲気”のような漠然としたイメージではなく、「ファクト」と「ストーリー」が重要なのです。ファクトだけを並べても、それがどう関係するのか、なかなか伝わりにくいものです。
われわれ電通PR コンサルティングは、株主総会を“ステークホルダーとのコミュニケーションの場”として戦略的に考え、
①企業に対するステークホルダーの期待や不安を分析・洞察
②必要なファクトの開発支援
③企業にふさわしいESG経営のストーリーとキーメッセージ開発
④発言者のプレゼンテーショントレーニングにより“伝わる”話し方をアドバイス
⑤プレゼンテーション資料・動画の作成
⑥リスクコンサルタントによる想定Q&A作成・質疑応答トレーニング
など、最適なコンサルティングとソリューションをご提供いたします。
【ご参考】当社のファイナンシャル・コミュニケーション
電通PRコンサルティングでは、経営トップに対するメディアトレーニングや、年間を通じたIR活動アドバイスや各ツール作成、及び作成サポートなど企業のファイナンシャル・コミュニケーション活動を支援する各種プログラムをそろえ、ファイナンス分野にて、企業価値を左右するコミュニケーション施策を提供しています。
❶企業価値を守るために
本プログラムでは、M&A買収防衛コミュニケーション、株主総会対応、新規株式上場/上場撤退時のコミュニケーション、各IR活動(中間・決算説明会、中期経営戦略説明会)での社長メッセージ、コーポレートメッセージ構築など、ファイナンス分野での企業価値を左右するコミュニケーション施策を提供します。
❷企業としての魅力を発信し、成長に向けた戦略を
提携・合併や買収・防衛戦略、事業撤退、新規事業開発、経営計画発表、決算発表、株主総会など、多くのステークホルダーの利害が交錯するファイナンシャル・コミュニケーションは、まさに情報戦です。単にディスクロージャーを行うだけではなく、より多くのステークホルダーからの賛同を得るためには、ステークホルダーに応じて的確な情報を適切なアプローチで発信する、緻密なコミュニケーションが求められます。また、ファイナンシャル・コミュニケーションでは、企業の財務実態を的確に伝える上でアナリストおよびメディア(証券部・金融担当)との関係構築も重要になります。電通PRでは、市場関係者に自社の取り組みをファクトとして魅力的に伝えるだけでなく、成長戦略に向けたシナリオ、戦略策定支援を行います。
当社のファイナンシャル・コミュニケーションでは、企業活動、IR活動をコミュニケーションの観点からサポートし、市場動向、外部広報環境を鑑みたコミュニケーション施策により、各ステークホルダーへ高いレピュテーション形成を図り、企業価値の適正化を目指します。
❸経営統合/M&A・買収防衛コミュニケーション/コーポレートガバナンス
提携・合併や買収・買収防衛など、多くのステークホルダーの利害が交錯するM&Aは、市場でさまざまな噂や憶測が流れるため、コミュニケーション戦略が不可欠です。
また、日本でも株価の下落などで損害を被る大株主が、今まで以上に経営に物言いをするようになりました。アクティビスト(物言う株主)の台頭により、企業をとりまくコーポレートガバナンスの環境も変化しています。これまで以上に、従業員や取引先、顧客などを含めた多様なステークホルダーの理解や評価を得るコーポレートコミュニケーションが重要になっています。
ご支援体制
コーポレートコミュニケーション戦略局
■リスクマネジメント部(コーポレートガバナンス、リスクマネジメント、トレーニング 専門コンサルティングチーム)
■パブリックアフェアーズ戦略部(パブリックアフェアーズ、政策・世論形成 専門コンサルティングチーム)
■サステナビリティトランスフォーメーションセンター(ESG経営、非財務情報発信 専門コンサルティングチーム)
※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。