メディアリレーションズってどうやる?代表的な方法と基礎用語まとめ
新任広報の方からよく上がるのが、「メディアの方への情報発信ってどうすればいいのだろう…」「基本的な用語が分からない…」といった声。
報道機関や記者の方への情報の届け方「メディアリレーションズ」について、知っておきたい基礎的な用語をPRコンサルタントが解説します。
目次[非表示]
- 1.「メディアに情報を届ける方法」って何がある?
- 1.1.~情報発信 資料篇~
- 1.1.1.■ プレスリリース
- 1.1.2.■ ニュースレター
- 1.1.3.■ ファクトブック(報道用資料)
- 1.1.4.■ プレスキット
- 1.2.~情報発信 実施篇~
- 1.2.1.■ 記者発表会
- 1.2.2.■ 記者会見
- 1.2.3.■ プレスセミナー
- 1.2.4.■ プレスツアー/内覧会
- 1.2.5.■ PRイベント
- 1.2.6.■ メディアキャラバン/プロモート
「メディアに情報を届ける方法」って何がある?
PRの手法は日々進化しており、発信したい情報、アプローチする相手によっても、効果的な手法は変わってきます。
本記事では、まずは報道機関や記者の方に向けた代表的な情報発信手法についてご紹介します。
~情報発信 資料篇~
■ プレスリリース
報道機関に向けた情報発信の最も代表的な手法として挙げられるのが「プレスリリース」(以下、リリース)です。
新商品や新サービスのローンチ、新たなキャンペーンの告知や新CMの情報など、企業活動の中で生まれる「新しい情報」を報道機関や世の中に公式に発信するための手法です。
リリースには、新商品などの新しい情報、その商品を発売する背景となる市場概況やデータ、社会的背景などについて5W1Hを逆三角形型(結起承転)で記載します。
報道機関や記者の元には、毎日膨大な量のリリースが届きます。そのため、タイトルやリリース冒頭のリード文などに、「いま、報道したい」と思ってもらえるニュースバリューのある情報を簡潔に盛り込むことが大切です。
■ ニュースレター
リリースが報道機関や世の中に企業活動で生じる「新しい情報をタイムリーに」届ける手法であるのに対し、「ニュースレター」に記載するコンテンツは複数のテーマにわたり、定期発行したりするなど、必ずしも速報性のある情報とは限りません。
例えば、商品やサービスの発売後の状況や取り巻く市場環境やトレンド、新規調査などを追記したり、自社のSDGsにまつわる活動などをまとめたりします。
また、通常のリリースよりも画像やイラストを多数活用した、視覚的にわかりやすいデザインが多いのも特徴です。
発信の対象者も報道機関に限ったものではなく、広くステークホルダーに届ける手法として活用します。
そのため、企業を取り巻くステークホルダーと定期的に接点を持ち良好な関係を築き、「〇〇というトレンドや領域について知りたいときはこの企業に聞いてみよう」「〇〇といえばあの企業」といった企業のレピュテーション獲得にも役立ちます。
■ ファクトブック(報道用資料)
次にご紹介するのは「ファクトブック(報道用資料)」です。
文字通り、企業/商品が持つファクト(事実)を、多様な側面からまとめた資料です。リリースやニュースレターが簡潔に情報をまとめた資料であるのに対し、ファクトブックは、取り上げたいテーマにまつわるさまざまなデータや有識者のコメント、開発ヒストリーや開発背景などの周辺情報も含めて体系的にまとめた資料です。
内容は、一つの商品やサービスに特化している場合もありますし、企業が持つブランド全体、あるいは企業そのものの紹介という場合もあります。
ファクトブックは先に紹介したリリースやニュースレターと異なり、ある程度のボリュームのある「冊子」の形態となっていることが多いものです。
とはいえ、あまりに分厚い資料になってしまうと、日々情報が絶え間なく流れ込んでくる記者にとっては読みにくい(読まない)資料になってしまいます。
あれもこれも盛り込むのではなく、報道をしてもらう上で本当に必要な情報は何か、参考になりそうな情報は何かを精査していくことが重要です。
■ プレスキット
「資料篇」で最後に紹介するのは「プレスキット」です。
これまでご紹介してきた3つがニュースのもとになる「情報」をまとめた資料であるのに対し、「プレスキット」はいざニュースに取り上げるときに報道機関が活用できる画像や動画などの「素材」あるいは、リリースも含めた「素材一式」を指します。
新商品発売などの際に、都度「プレスキット」を用意することもありますが、「社長のプロフィール・画像」や「企業ロゴ」「ブランドロゴ」「商品画像」などの恒常的な素材については、問い合わせがあった際や、報道機関が使いたいとなったときにすぐに提供できるように、広報としてはあらかじめ整理して持っておくと便利です。
企業や団体・機関によっては、自社のウェブサイト上に報道関係者向けに「プレスキット」が整理され格納されたページを用意し、必要なときにすぐにダウンロードできるようになっています。
~情報発信 実施篇~
■ 記者発表会
情報発信の場としてイメージしやすいのは新商品・新サービスや新CMの「記者発表会」ではないでしょうか。ニュースとしてもよく取り上げられますが、企業が何らかの新たな“発表”を行う場合に開催します。
報道機関の記者だけではなく、テレビ局等のムービーカメラや新聞社等のスチールカメラといったカメラマンが参加することを想定し、発表する内容の情報としてのニュース価値はもちろん、写真や映像を撮影してもらう「画作り」も重要です。
商品/サービスが「一枚画」で伝わる工夫、「動画的」に長尺で見せる工夫が必要です。
内容によっては、登壇者に企業の担当者だけではなく、タレントなどの著名人を起用することもあります。
著名人が登壇することで、「エンタメ」や「スポーツ」といった、より幅広い属性のメディアを誘致し、話題を複数の文脈で広げることにつながります。
■ 記者会見
企業の代表者や責任者、あるいは、ある事柄の当事者が報道機関に対して何らかの説明や発表、質問を受ける場です。
「記者発表会」がどちらかというと企業にとっては、ポジティブな内容や、プロモーション関連の発表が多いのに対し、「記者会見」はネガティブな内容であることも。
例えば、企業やその従業員、商品が世の中に対して影響の大きいトラブルや事故を起こした場合の「緊急時会見」などが該当します。
ポジティブな発信、ネガティブな発信のいずれの場合も、通常の記者会見では記者からの質疑応答の場が設けられます。
会見の内容の準備はもちろん、事前に想定される質問事項の洗い出しと回答方法を入念に準備しておくことが不可欠です。
■ プレスセミナー
「記者発表会」や「記者会見」が即時性のある内容を発信する場であるのに対し、「プレスセミナー」は記者にとって今後の報道や取材のヒントになる情報や、ある事柄に対してより深い理解を得るための“勉強の場”、つまりメディア向けの勉強会です。
そのためプレスセミナーは、自社や商品/サービスについて、利点や優位性をより深く理解してもらうきっかけとして、記者が話を聞きたくなる研究者や有識者、専門家を登壇者とすることが多くあります。
プレスセミナー自体の速報性やニュース性は高くありませんが、定期的に開催することで、記者とのリレーション構築や、自社について知ってもらう機会として活用することができます。
■ プレスツアー/内覧会
新しい施設や店舗が開業する際には、一般公開に先立ち、報道機関の記者たちを招き、施設内を案内する「プレスツアー」や「内覧会」を開催することがあります。
リリースなど資料だけにとどまらず、実際に取材機会をつくり、施設の特徴を体感してもらったり、報道機関に独自に画撮りをしてもらったりすることで、報道につながりやすくする目的です。
開催する際には、メディアの方が興味を持ちそうな情報は何か、企業として特に見せたい・体験してもらいたいイチ押しポイントは何か、どんな画を撮ると特徴が伝わるのかなど、戦略的に情報を整理することが重要です。
また、「人」への取材を希望されることも多いため、誰がインタビューを受けるのかなども事前に決めておきましょう。
■ PRイベント
「PRイベント」は、記者発表会・プレスツアー・内覧会など、企業が何らかの発信をするためのイベントの総称です。
今回の記事では、報道機関に向けた施策を紹介していますが、PRイベントは、生活者やインフルエンサー、企業の従業員などさまざまなステークホルダーを対象として開催することがあります。
昨今では、リアルでのイベントだけでなく、オンラインのイベント、あるいはハイブリッド(リアルとオンラインの組み合わせ)形式での開催も広がり、その形態も多様化しています。
参加してほしい対象者、目的、時期に合わせた適切なPRイベントの形を検討しましょう。
■ メディアキャラバン/プロモート
記者発表会などある程度の数の報道機関に対し、“まとめて情報を発信する活動”に対し、「メディアキャラバン/プロモート」は、“報道機関ごとの個別のアプローチ”です。
個別にアポイントをとって訪問(キャラバン)したり、メールなどで連絡したりすることで、自社の商品/サービスを説明することを指します。
昨今では、メディアの方もリモートワークとなっていることが多く、プロモートは、訪問よりもメールなどオンラインでのやり取りが主流となりました。
届けたい情報を記者の方により知りたいと思ってもらえるように、メールでプロモートする際には、リリースを添付で送るだけではなく、メール本文に興味を持たせるような情報を記載する工夫が必要です。
やみくもに情報提供するのではなく、情報の届け先であるメディア・記者の立場に立って、自社の商品/サービスを説明するのに適切なメディアの部署や担当者か、担当者にとって適切な連絡手段は何か、説明は分かりやすく簡潔かを見極め、アプローチしていきましょう。
日頃から、自社・業界に関連するメディアや記者がどのような情報を取り上げているのか、どの時期にどんな特集を組んでいるのか、どういった特集コーナーを持っているのかなど、メディアごとに特徴を把握し、メディアとの丁寧なコミュニケーションを心がけることが大切です。
今回は、この春から広報・PR担当になった皆さんに、「まずは知っておきたい用語」について、ご紹介させていただきました。
株式会社電通PRコンサルティングでは広報・PRの新任者や、広報・PRの担当部署に向けた各種研修のほか、情報開発におけるコアアイデアを創出するためのワークショップの提供なども行っています。 もし興味をお持ちでしたら、お気軽にご相談ください。
出典:https://note.prx-studio-q.com/n/n50f05e6762df
※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。