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【TikTok/YouTube活用の基本知識】 Z世代の変容する情報取得行動を読み解く

ソーシャル動画マーケティング領域のリーディングカンパニー

BitStar共同創業者 原田直さんに聞く




電通PRコンサルティング「PRXマガジン」では、これまでも多元化する情報流通構造を踏まえて、さまざまなPRコミュニケーションやプランニングのポイントをご紹介してきましたが、近年、特徴的な変容を遂げているのが、Z世代(※1)のカスタマージャーニーや情報流通構造です。特に、当世代を対象とした、マーケティングやブランディングを設計する際、独特の情報取得行動や購買行動の理解なくして、効果的なコミュニケーション・デザインは困難です。

本記事では、ソーシャル動画マーケティング領域において国内最大級のプロモーション実績を誇るBitStar(※2)共同創業者 原田直さんと共に、Z世代において変容する情報流通の在り方を踏まえつつ、動画投稿・共有メディア「YouTube」「TikTok」の徹底活用術を、全2回にわたり紹介します(本記事が1回目。続編は2022年12月19日(月)公開)


(※1)Z世代に明確な定義はありませんが、1990年代中ごろ~2010年生まれの若者を指すことが多く、特徴は、デジタルネイティブ(スマホネイティブ/ソーシャルネイティブ)で、環境や社会問題に対する関心が高く、多様性への意識が強い世代だといわれることが多いようです。当記事では、スマホ/ソーシャルネイティブな若年層の代表的な呼称として、「Z世代」と呼んでいます。

(※2)電通PRコンサルティングとBitStarは、2020年に業務提携契約を締結。BitStarの、卓越したShared領域(特にソーシャル動画マーケティングやインフルエンサー・マーケティング)での知見や実績を、電通PRコンサルティングの情報流通デザイン力における、武器の一つとして、いかんなく発揮していただいています。




なお、電通PRコンサルティングでは、BitStar社の有する「Sharedメディア活用の実績や知見」、さらには、動画投稿・共有プラットホーム別の、インフルエンサー・マーケティング活用のポイントをまとめた「お役立ち資料」や「サービスプログラム資料」をご用意しています。「初めてインフルエンサー・マーケティングに取り組む方」「既に取り組んでいるものの効果が上がらないとお悩みの方」にも、ぜひご覧いただきたいメソッドが満載です。下記よりダウンロードしてご覧ください。また、当資料のご説明に加え、情報流通デザイン、ならびに、効果的なインフルエンサー・マーケティング手法のご説明なども適時実施しています。お気軽にお問い合わせください。


目次[非表示]

  1. 1.情報流通デザインのShared領域を支えるパートナーBitStar
  2. 2.変化するZ世代の情報取得行動
  3. 3.複雑化するZ世代の購買ファネル
  4. 4.動画投稿・共有サイトYouTube/TikTokの特徴
    1. 4.1.YouTubeとは
    2. 4.2.TikTok とは
    3. 4.3.注意点も


情報流通デザインのShared領域を支えるパートナーBitStar


―まずは、原田さんの略歴や得意分野などご紹介ください。


大学卒業後、野村総合研究所にて、主に消費材や製造業のマーケティング支援、新規事業推進、アライアンス支援などのコンサルティング業務に従事した後、2016年より、株式会社 BitStarの共同創業者として、インフルエンサー・マーケティング事業の立上げに従事してきました。現在、新規事業・商品開発や、アライアンスなど通じた事業開発を推進しています。




―まさに、黎明期より、インフルエンサー・マーケティング領域でのコミュニケーションを開拓してきたと言えますね。


BitStar創業前の2010年代前半は、インターネット上ではまだ検索を中心としたユーザー行動が主流だったかと思います。しかし、2010年代後半に入ってくると、ソーシャルメディア上でのフォロー・フォロワーの関係に基づくコミュニケーションやAIリコメンドによるセレンディピティーのある情報接触が増え、企業のコミュニケーションも大きく変えなければならないことを肌で感じてきました。そのような変化の中で、当社BitStarは企業のYouTube活用が本格化する前の黎明期(れいめいき)から、動画プラットフォームを活用したコミュニケーション支援を事業として手掛けてきました。クリエイターが自身のクリエイティビティーを発揮し活躍できる社会の実現を目指し、個人として影響力を持つインフルエンサーの起用や、企業によるYouTubeチャンネル運営など新たなコミュニケーション手法を早期から開拓してきました。

そのような中で、電通PRコンサルティングが提唱する一方通行の情報発信ではない、「情報流通デザイン」という考え方に関心を持ちました。特にShared領域での情報流通マネジメントにおいて、当社の実績や知見、ノウハウと電通PRCのノウハウが融合できれば、新しい統合的なコミュニケーション・デザインの新しい可能性を拡張できると期待して、提携に至りました。https://www.dentsuprc.co.jp/releasestopics/news_releases/0817.html



変化するZ世代の情報取得行動


―それでは、今回のテーマでもあります「Z世代」の情報接触行動の特徴を教えてください。


Z世代、特にソーシャルネイティブな世代は「情報をかじる」といわれます。これは、TikTokの運営会社であるByteDance社が言っていることなのですが、「情報のつまみ食いを楽しむ」世代であるということ。これには、「情報をうのみにしない」「さまざまなSNSを見て、情報をつまみ食いしながら意思決定をする」という行動特性を示しています。

では、なぜこうした行動特性を持つのか?特徴としては、Z世代は、日々浴びているコンテンツ数が圧倒的に多い。と同時に、一コンテンツ当たりの消費時間が短いことに起因すると思われます。

要するに、一つの情報だけでは購買まで直結するような購買行動を取りづらく、購買の意思決定までの間に情報の接触回数が多いため、購買に向けた情報接触においても複雑な中間ファネルが存在することに注意しなくてはなりません。


出所)TikTok For Business Japanによる調査結果「Z世代白書」


例えば、Google社によると、この世代は電動歯ブラシの購入までに106のコンタクトポイントがあるといわれます。このことからも、直線的でない複雑な中間ファネルが存在することをご理解いただけるでしょう。



出所)Think With Google
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/en-ssa/marketing-strategies/search/google-search-changes-and-updates/



さらに言いますと、若年層の情報接触の70%がスマートフォンをはじめとするデジタルデバイスからの情報であり、またその行動の大半がソーシャルメディア・動画メディアの視聴に充てられていることも分かっています。


出所)博報堂「定点観測(2021)」より作成



出所)総務省「情報通信白書」


複雑化するZ世代の購買ファネル


―こういった情報接触行動の変化は、Z世代の購買意思決定において、どのような影響を与えているのでしょうか?


先ほど、この世代は主にスマートフォンを使いこなして、ソーシャルメディアや動画投稿サイトからの情報をつまみ食いして楽しんでいる、と説明しましたが、購買行動のモチベーション形成にもソーシャルメディアが大きな影響を与えていることが分かっています。

Z世代においてはソーシャルメディア上の情報の中でも①インフルエンサー投稿②一般の方のUGC投稿を最も重要視し、次にブランドの公式情報やまとめアカウントなども閲覧して、購買に至っていることが分かります。つまり、インフルエンサーと言われる方々や一般の方のUGC投稿など「他薦」と呼ばれる情報を多数かじりながら、その内容を理解し、信頼を高めて、購買の意思決定を行っていると言えるのではないでしょうか。



出所)SHIBUYA109エンタテイメント「Z世代のSNSによる消費行動に関する意識調査」男女15~24歳


さらに、こうした変化は「興味・関心」「理解」や「比較」のフェーズだけではありません。「認知」獲得においても、同様のことが言えます。

これまで主流であったテレビや新聞などのニュースメディアによる情報との出会いのみならず、多元的な情報流通を通じて、新しい情報との出会いの場が生まれています。つまり、「認知」フェーズにおいても、これまで主流であったテレビ、新聞等の広告情報(Paid)や記事情報(Earned)のみならず、新たにソーシャルメディアの果たす役割が大きくなっていることを意味します。特に、「Z世代」においては、情報接触行動の約70%がデジタルデバイスからの情報であり、さらにその大半がインフルエンサーの発言やソーシャルメディアのUGCから収集を行っていますので、当然、Sharedメディアの中で新しい情報と出会い、かつ、無数のコンタクトポイントで理解と信頼を高めながら、購買行動を起こすことも増えてきているわけです。




動画投稿・共有サイトYouTube/TikTokの特徴


―ここからは、全世代に人気が高く、特にZ世代においては約80%の人が利用する、動画投稿・共有サイトの活用について、押さえるべきポイントについて教えてください。


多数存在する動画投稿・共有サイトの中で、特に注目すべきは「YouTube」「TikTok」でしょう。実はこの二つのサイト、個性も機能も全く異なるプラットホームであり、現代のコミュニケーションデザインや情報流通デザインを考えるマーケッターやプランナーにとっては、今や必須知識と言っても過言ではありません。今回のこの二つの動画投稿・共有サイトの特徴についてご紹介したいと思います。


YouTubeとは

一言で言えば「検索を中心とするストック型の動画プラットホーム」だと覚えてください。ユーザーは、まず検索行動を起こし、見たい動画を能動的に情報取得するのが特徴です。加えて、YouTubeユーザーには「求めている動画や情報」があるため、検索を行った後はサイドバーに表示される「動画サムネイル」を見て、さらに能動的に視聴する動画選択を重ねていきます。

つまり、YouTubeでの情報接触をデザインする場合、既にチャンネル登録者数の多い大きいアカウントが有利であるという原則のもと、「検索流入」「関連動画への表示」「サムネイルへのクリック率」などが重要なKPI指標となってくるわけです。

そして、こうした特性を通じて考えられる、「YouTube」の特徴は、ファン層への深い理解促進を狙うプラットホームであると言えます。


TikTok とは

次に、「TikTok」です。これは、「AIリコメンドによる、フロー型の動画視聴」だと整理できます。短尺のショート動画が特徴であり、画面をフリックしながら興味のあるものだけザッピングして視聴を重ねます。 (「フリック」は、画面を指で触れて上下左右にはじく操作。スワイプよりも画面に触れる距離が短く、素早く払うようなイメージ。文字入力(フリック入力)や、画面を素早くスクロールさせたい場合に使用。)

この「TikTok」の特徴は、「AIリコメンド」を通じた、新しい情報との出会いにあります。よって、動画投稿すると一定の視聴は必ず獲得できますし、好反応、すなわち「LIKE」「保存」「コメント」などエンゲージメントが上がったコンテンツは良いコンテンツだとAIに評価されて、さらに閲覧回数が上がっていくメディアとも言えます。コンテンツが良ければ(評価されれば)、アカウントの規模に関係なく再生され、視聴回数はどんどん上昇するのも特徴の一つです。


注意点も

なお、これらの特徴はあくまで現在(2022年12月時点)の、アルゴリズムや提供サービスに基づく特徴であるため、今後もどんどん変化していくことが考えられます。例えば、現段階でも「YouTube」ではショート動画に取り組み、「TikTok」では長尺動画を見られるようになっています。こうした変化を観測し、常に最適化していく視点が、今後ますます重要になるのではないでしょうか。



(続く)




今回は、ソーシャル動画マーケティング領域において国内最大級のプロモーション実績を誇るBitStar(※2)共同創業者 原田直さんと共に、Z世代における「変容するコミュニケーション構造」を分析。さらに、同世代に強い影響力を持つ動画投稿・共有サイト、「YouTube」と「TikTok」の特徴などを紹介しました。続編では、インフルエンサー・マーケティングの基本知識、ならびに「YouTube」と「TikTok」の具体的な実践的活用術や注意点などを紹介します。(2022年12月19日(月)公開)


<後編>【TikTok/YouTube実践活用術】インフルエンサー動画活用 成功のポイント

  1.  新時代のインフルエンサー・マーケティング
  2. TikTok/YouTube徹底活用術(「YouTube」におけるインフルエンサー像/「TikTok」におけるインフルエンサー像)
  3. 最後に~Z世代と情報流通デザイン
  【TikTok/YouTube実践活用術】 インフルエンサー動画活用 成功のポイント ソーシャル動画マーケティング領域において国内最大級のプロモーション実績を誇るBitStar共同創業者 原田直さんと共に、Z世代において変容する情報流通の在り方を踏まえつつ、動画投稿・共有メディアYouTube、TikTokの徹底活用術を、全2回にわたり紹介(本記事が2回目)。今回は「実践編」として、インフルエンサー動画活用に注目。プラットホームの特徴を捉え、視聴者の行動モチベーションを反映したインフルエンサー起用のポイント、更には効果的なインフルエンサー起用文脈等を具体的に整理しています。(協力:株式会社BitStar) 「PR X」マガジン|すべてのビジネス領域に、PRの技術を|株式会社電通PRコンサルティング


※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。​​​​​​​



PRX編集部
PRX編集部
電通グループ内のPR領域における専門会社「電通PRコンサルティング」が運営するオウンドメディアです。1961年の創立以来、国内外の企業、団体をサポートしてきた経験・実績をベースに、電通PRコンサルティングならではの視点で、PRの基礎から最新PRトレンドやソリューションまで幅広くお届けします。

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