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ハフポスト日本版 泉谷編集長に聞く「コロナ禍で激変したメディアと広報の関係性」



「メディアとの付き合い方」。PRパーソンにとって永遠ともいえるこのテーマ。昨今は働き方の大幅な変化により、さらに難しい・・と感じるようになった方も多いのではないでしょうか?そこで今回は新聞社から職歴をスタートし、その後海外NGOで広報職も経験。現在はハフポスト日本版編集長を務める泉谷由梨子さんに当社の小倉真由子が直撃。その本音について迫りました。
電通PRコンサルティングでは、メディアの皆様からの声を反映して、新時代のメディアリレーションズ活動のポイントや注意点をまとめた資料「メディアリレーションズ活動:2022年度版 最新メディア・プロモート事情【3つの前提と3つの新常識】」を制作しました。無料配布しておりますので、是非、日常のPR活動にご活用ください。(電通PRC‐PRX事務局)

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目次[非表示]

  1. 1.「企業の存在の大きさ」について改めて関心を持つように
  2. 2.コロナ禍で浮き彫りになった、価値ある「記者発表会」の作り方
  3. 3.PRパーソンは「企業の演出家」






「企業の存在の大きさ」について改めて関心を持つように


―最近どのようなテーマに関心をもっていますか?

改めて「企業の存在価値」について関心を持つようになりました。社会環境がどんどんと変わる中、国の制度変更などが追いつかない状況も散見されます。そのような中、企業は国家を超え、新しい課題設定を行い、ルールメイキングを先導しています。企業自身が世界のゲームチェンジャーになりうる存在になっています。

このように企業の存在感がどんどん増す中、どのように社会の舵取りをしていくのかという点について注目しています。もう少しミクロの視点で考えると、従業員一人一人の思いというか、そこで働く人がどのように企業を変えていきたいと考えるか。これからの時代を切り開くためには、そういった思いがより必要になってくると感じています。



コロナ禍で浮き彫りになった、価値ある「記者発表会」の作り方



―その「企業」という存在が自らの存在を伝えるために活用するのが「記者発表会」ですね


記者発表会は企業と直接接点を持つという意味において、とても大切な場です。この発表会について、最近ちょっと感じることがあったんです。

それは発表会に出席して自分の記事を書くときに、「内容に疾走感というか、臨場感が足りないな・・」と感じて悩むケースが見られたことです。これはなぜなんだろうと思っていたら、それらに共通していたのが「オンライン発表会」に参加して書かれたものだったのです。


―コロナ禍において、企業はオンライン発表会を積極的に取り入れるようになっていますね


オンライン発表会が増えて、よいことと悪いことがありました。よいことでいうと、やっぱり参加しやすくなったことですね。これまで物理的に一日あたり1〜2件が限界だったのですが、リモートになって3件以上出席することも可能になりました。これまでは「興味はあるけど今書くかどうかはちょっとわからないな・・」と参加をためらっていたものも参加できるようになり、情報収集や勉強がしやすくなってきたというメリットがあります。




―逆に課題はどのようなことなのでしょうか?


先ほどお話ししたように、自分の記事以外でも書かれた記事に熱量が足りないというケースが散見されたことです。画面越しだと、オフラインの発表会に比べて現場の空気が伝わりにくい環境です。そのような中、あいさつ、商品や事業の説明、質疑応答と淡々とフォーマット通りに進行していく内容を見ていると、これまで以上に伝わりにくくなっているのではないかなと感じます。

そういった意味で、オンライン発表会で浮き彫りになったのは、改めて「記者発表会の価値」を考えるということでした。記者発表会というのは、繰り返しになりますが企業とメディアが直接接点を持つ場です。もっといえば、発表内容に対する「熱量」を伝えられる場なんです。

なぜその商品やサービスを開発したのか、どのような思いを込めたのか。その企業、もっというと発表される方が持っている「この会社でやりたいこと、変えたいこと、達成したいこと」を、熱をもって自分の言葉で説明してもらえると、記者も「書きたい」という感情が沸き起こりますし、その結果、読者の心を動かす原稿になると思います。

これはオフラインでもオンラインでも本来変わらないことですが、オンライン発表会という形式でその重要性が浮き彫りになったものだと感じています。オンラインでは物理的な距離感が生じてしまうのは否めないので、これまでの「記者発表会の作法」に捉われず、「どうやったら伝わるか」を改めて検討いただき、ぜひ今後の記者発表会で「熱い思い」を聞かせていただきたいです。


PRパーソンは「企業の演出家」



―直接「熱量」を伝えるということが重要なんですね。


「熱量を伝える」という発表者本人の思いも必要ですが、それと同じくらい重要なのが、「その内容に企業の哲学や未来が見えるか?」という物語です。単純に商品やサービスの訴求内容だけでなく、社会を俯瞰したときになぜこれが必要になるのかというところも。

PRパーソンは、こういったストーリーを作り上げる「演出家」だと思うんですよ。大きな物語を考えて、その中で主人公である発表内容を際立たせる、そんな役割を果たしてくれるといいなと思っています。


―メディアにとって「頼りになるPRパーソン」にはどういうスキルが求められると思いますか?


今お話ししたように、「演出家」になってくれることと同時に、私たちメディアと「人と人とのコミュニケーション」ができることが重要だと考えています。例えば私たちのメディアをしっかり見ていただき、関心がありそうなテーマについてお知らせをしてくれること。一斉に配信されるメールやFAXではなく、「泉谷さんに関心のありそうな内容なので、ぜひご検討ください!」と言われる方がうれしい。

これは普段の友人や同僚とのコミュニケーションと大きく変わらないですよね。そういった部分を意識していただけると、「この広報さんとは長くいい関係でいたい」と思えるような感じになります。

編集部も基本リモート体制となりました。コロナ後に入社したメンバーが半数近くおり、文化や細かな部分の伝達の難しさを感じています。そういった中で、コロナの感染者数が落ち着いているタイミングでは週1回出社しての編集会議を行なっていますが、直接話すことのよさを痛感しています。

これは私だけかもしれませんが(笑)、やっぱり直接話したいんですよ。カジュアルな雑談の中から生まれることって本当に多いんです。とはいえこういう状況の中で、どうしても以前の人脈に頼ってしまっている自分がいるのも事実。どんどん広げていきたいので、ぜひ色々と話しましょう!



ハフポスト日本版について 

2005年にアメリカで創設され2013年に日本版がローンチしました。Twitter、Facebookフォロワー数がそれぞれ約40万人と多くの読者を抱えています。ハフポスト日本版は、さまざまなライフスタイルや多様性を尊重する価値観を大切にしています。政治・経済の専門家だけでなく個人の声も多く拾い上げていくメディアとして、時事ニュースやオピニオンなどの記事を発信しています。

ハフポスト日本版の2022年媒体資料はコチラからご覧いただけます。



<編集後記>

泉谷さんも私も昨年出産し、約一年ぶりとなるご対面。編集長である泉谷さんはおそらく私の100倍忙しくしているのではと思っていましたが、予想通り!怒涛の日々を送られていることが伺えるメールをいただきました。

そんな多忙な中、リアルでお会いすることがかなったのですが、そこで感じたのは泉谷さんの熱い「バイブス」。取材する側だからこそ我々が聞きたいことをさらに超えて回答を準備してくださっていました。

「価値ある記者発表会の作り方」について、日頃私たちが課題に感じていたことは泉谷さんも同感だったということ。オンライン発表会を活用できるようになり、多くの方に参加頂ける環境が整った一方「今日の発表会どうでしたか?」と現場で生の声を聞く機会が減ってしまい、もどかしい部分があるのも本音。企業の熱量を伝えるためにはどうすればよいかをもっと時間をかけて議論する余地があるなと感じました。

またお話の中で「メディアリレーションも普段の友人や同僚とのコミュニケーションと大きく変わらない」という言葉が。日頃「メディアとどのようにリレーションを築けばよいか」という相談をよく受けますが、結局は人と人。相手を思いやる、誠実に付き合う、いざという時に頼りになる、気負わず普段通りにメディアの方とも気持ちよくお付き合いできるとその関係は長く続き、よきパートナーになれるのではと思います。


※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。



電通PRコンサルティングからのご案内

コロナ禍や働き方改革を通じて変わる、メディアリレーションズ活動。電通PRコンサルティングでは、メディアの皆様から頂いた様々な声を反映して、新時代のメディアリレーションズ活動のポイントをまとめた、資料を制作しました。

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小倉 真由子
小倉 真由子
電通PRコンサルティング 情報流通デザイン局ソリューションデザイン部 チーフ・コンサルタント。  新卒で電通PRコンサルティング(旧電通PR)に入社。営業職、コーポレートコミュニケーション部、デジタルコミュニケーション部を経て、現在はメディアリレーションズ業務に従事。企業とともに社会課題の解決に取り組むコミュニケーション活動や新商品・キャンペーンのローンチを最大化させるサポートなどメディア知見をもとにコンサルティングや実務を担当。幅広いメディアリレーションと、企業と社会を繋げる文脈づくりや情報クリエイティブで、情報発信のコンサルティングに携わる。

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