catch-img

【コロナで変わった危機管理広報】企業の「謝罪会見」はリアル?オンライン?


新しい1年が始まりました。

「withコロナ」という言葉もあまり耳にしなくなるほど、「新型コロナウイルス感染症」への対策をしながらの生活が日常になった2022年が終わり、今年はどのような1年になるのか、楽しみです。寒さが苦手なので、まずは早く春が来てほしいところですが…

こんにちは、危機管理広報コンサルタントの小野です。

危機管理広報ではなかなか「2023年こうなる」という予想は難しいので、昨年を振り返りつつ、「コロナ禍」を経て危機管理広報に変化はあったのか、を考えてみたいと思います。



目次[非表示]

  1. 1.「平常時の備え」こそが大切
  2. 2.世間の注目は、法令違反から道義的な問題へ
  3. 3.記者会見はオンラインのみで大丈夫? リアル会見の重要性



「平常時の備え」こそが大切



企業の不祥事は、どんなに対策をしていても100%防げるものではありません。昨年も不正により逮捕者が出た事件や、工場火災の事故などで謝罪会見がありました。テレビや新聞の報道を見て「自分の会社で起きたら対応できるのか」「どのような情報をまとめておけば記者会見で持ちこたえられるのか」と不安に思う広報担当者の方も多いかもしれません。

実際に、危機を感知してからどう対応するかは「事前準備」や「覚悟」が必要です。それを身に着けるためにも、何も起きていない平時の対策が重要となります。自分の会社には、各部署にはどのようなリスクが潜在しているか、ニュースで起きている事案が自社に起きうるかどうかなど、いわゆるレピュテーションリスク(企業の評価・評判の損失に関わるリスク)に備えた体制づくりや広報マニュアルは、災害など緊急事態が起きた場合に事業を継続するためのBCP(事業継続計画)を作成するのと同じように、整えておかなければなければなりません。

昨今、取り上げられているニュースの中にも、このような平常時の備えが不足していたと考えられるケースがあったのではないでしょうか。また不祥事案発覚後の記者会見において露呈した「情報開示の遅れ」「判断のまずさ」「立ち居振る舞い」など、起きた事案そのものよりも、その組織がどう対応したかに批判が集まるケースも目立ちます。普段からリスクが顕在化したときにどう対応するのかを決め、トレーニングまで行うなど周到な準備、対策をしておかないと、さらに企業のレピュテーション(評判)への影響が大きくなる可能性があるのです。



世間の注目は、法令違反から道義的な問題へ



ソーシャルメディアの普及に加え、「コロナ禍」で加速したデジタル技術の導入で、世間を騒がせる企業の不祥事にこれまでとは違う傾向が出てきたように感じています。

例えば発覚の経緯。これまでは官公庁の発表や報道機関のスクープなどが中心でしたが、近年では録音録画の公開をはじめとするソーシャルメディアを起点としたもの、もしくはソーシャルメディアを介した内部リークも目立ってきています。世間の注目も事件事故、品質問題、法令違反といった事案よりも、より道義的な問題(不適切な発言・認識・対応への批判)に集まるようになってきた印象です。

この「道義的な問題」は、その多くがソーシャルメディア上で提起され、あっという間に拡散し、Webメディアが繰り返し報道して騒動がさらに大きくなるというサイクルが半ば定着しつつあります。「プチ炎上」という言葉があるように、テレビや新聞で大きく報道されるような不祥事だけでなく、ソーシャルメディア上の企業や商品・サービスによる「公式アカウント」や「個人アカウント」に批判が集中するケースも増えてきています。

誰もがソーシャルメディアで自由に匿名による情報発信ができる現代の世の中では、「1人の告発」に大きな影響力が与えられるようにもなりました。いわゆる「炎上」につながる不適切な発言や対応などには明確な基準があるようにも見えますが、ふとしたきっかけで大きく流れが変わってしまうことがあります。ジェンダーに関する発言が分かりやすいかもしれません。これまでは世間で見過ごされてきた発言も、一人が「おかしい」「不快だ」と声を上げることをきっかけに、大きな批判のうねりが生まれるようになりました。

​​​​​​​




記者会見はオンラインのみで大丈夫? リアル会見の重要性



危機管理広報の観点では、たくさんの人が集まることを制限される中での「記者会見のオンライン化」も進みました。新型コロナウイルス感染症が日本でも拡大し始めた2020年ごろは「謝罪会見もオンラインで対応可能か」という相談が筆者の元にも多く寄せられました。今では、オンラインのみの謝罪会見、あるいはリアルとオンラインとの併用など、感染状況に応じた柔軟な対応がスタンダードになりつつあります。

この流れは、これからどう進んでいくのでしょうか。

オンラインでは記者の追及を肌で感じることなく、より落ち着いて説明に臨むことができ、聞き手の「納得感」を得られやすいケースもあります。ただ、社会がどういう状況にあるにせよ、企業の姿勢や気持ちが伝わりやすいと考えるのはやはり、リアルな場です。

特に「謝罪会見」を開かなければならない場合、まず記者やその先にいる生活者に「気持ち」がしっかりと伝わることが重要です。リアルならではの緊張感や空気感は、言葉だけでは伝えることのできない、気持ちを表現できる情報の一つです。

もちろん、オンラインでは気持ちが全く伝わらないというわけではありません。有事の際、企業や組織が何に対して謝らなければならないのか、そして誰にその気持ちが伝わらなければならないのかを考えながら、状況に合わせて、リアルな場での謝罪や説明を選択できることも、今後より重要になっていくのではないでしょうか。

新型コロナ感染症の流行を経て社会は大きく変化しました。その変化に合わせて企業も体制を見直したり、新たな備えが求められたりしています。新しい1年のスタートに「新しい備え」について社内でぜひ考えてみてください。




出典:https://note.prx-studio-q.com/n/n40ba3ec54d78

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。




電通PRC―PRX事務局からのご案内


❶変化するリスク判断基準基準から組織を守る!
電通PRC流「危機管理広報プログラム2023」決定版

電通PRコンサルティングでは、「危機管理広報」に必要なスキルを、総合的に5領域のペンタゴンモデルで整理。国内屈指の対応実績などを武器に、変化し続けるリスク判断基準から組織を守る、当社ならではの「危機管理広報プログラム」をご提供しています。

  「危機管理広報プログラム2023」決定版 リスク・イシューの多様化に伴い、企業経営や事業運営は常に危険にさらされています。では各社ともにクライシス発生防止の取り組みを強化し、また対応準備も進めているにもかかわらず、なぜクライシス事象は無くならないのでしょうか? その大きな要因のひとつが、企業クライシスやリスク・イシューに向けた価値判断基準が、社会環境とともに常に変化している事にあると考えます。つまり、広報担当者は、メディアやステークホルダー等における判断基準の変化や、生活者の声の変化を総合的に分析し、適切なパースペクティブ(視座・見通し)をもって、「社内の常識」を絶えず点検。対外/対内向けの取組やメッセージをチューニングしなくてはいけません。 電通PRコンサルティングでは、「危機管理広報」に必要なスキルを5領域のペンタゴンモデルで整理。豊富なステークホルダー・エンゲージメント・ネットワークによる「変化する社会価値判断基準への適応力」、「国内屈指の対応実績」とそこからの絶え間ないリバース・エンジニアリングなどを武器に、変化し続けるリスク判断基準から組織を守る、当社ならではの「危機管理広報プログラム」をご提供しています。 「PR X」マガジン|すべてのビジネス領域に、PRの技術を|株式会社電通PRコンサルティング


❷企業ウェブサイトに潜む、リスク表現もキャッチ!
「PR思考のウェブサイト診断・活用プログラム2023」

当社では、自社サイトに対するターゲット/ステークホルダーの反応から逆算した、オウンドメディアの点検、ならびに運用コンサルティング・プログラムを提供しています。中でも長年運用されているウェブサイトの場合、古い社会常識に則って記載された表現が、現在の価値観にあわず、SNSを起点に企業クライシスを引き起こすといった事象も。。。①ユーザビリティ、②リスク回避、③ポジティブ反応の追求。3つの視点をもとに、100種類以上に及ぶ診断項目を通じて、改善対策/活用提案を行っています。

  PR思考のウェブサイト診断・活用プログラム2023年版|PR X マガジン|電通PRコンサルティング 【資料を全面刷新しました。2022/12/21】 企業の意思決定におけるデータ活用の重要性が高まる中、企業広報活動にとっても、outcomeはソーシャルメディアの反応やオウンドメディアへのアクセスの形に変換され、今や効果的な活動企画・検討に欠かすことのできない要素になっています。 そういった中、オウンドメディアの制作運営に対して「効果が出ているのかわからない」「改善の方法が解らない」といった声が数多く寄せられているいます。そこで当社では、「PR思考」=自社サイトに対するターゲット/ステークホルダーの反応から逆算した、オウンドメディアの点検、ならびに運用コンサルティング・プログラムを提供しています。ポイントは①ユーザビリティ、②リスク回避、③ポジティブ反応の追求。以上3つの視点をもとに、100種類以上に及ぶ診断項目を通じて、改善対策/活用提案を行っています。 なお、2023年度版資料として、ご案内資料を刷新するとともに、新たに具体的な診断事例なども多数追加しました。 「PR X」マガジン|すべてのビジネス領域に、PRの技術を|株式会社電通PRコンサルティング


❸電通PRコンサルティングの「パートナープログラム」

お客様の課題や戦略に応じて、最適なチームを編成し、コンサルティング、プランニングサポート、さらには効果的なソリューションの提供、効果測定とKPIマネジメントまで、一元的にご提供。お客様の企業成長に貢献してまいります。

  【WP】パートナープログラム~「話題づくり」から「価値づくり」へ 広報/PRによる、お客様の課題解決。近年では、企業ブランド、事業ブランド、商品ブランドなどの「話題づくり」はもちろん、「価値づくり」による課題解決を期待されることも少なりありません。電通PRコンサルティングでは、「PR X:全てのビジネスにPRの技術を」という考えの元、企業価値向上/事業価値向上/商品価値向上に貢献できる「パートナープログラム」をご用意しました。お客様の課題や戦略に応じて、最適なチームを編成し、コンサルティング、プランニングサポート、さらには効果的なソリューションの提供、効果測定とKPIマネジメントまで、一元的にご提供。お客様の企業成長に貢献してまいります。 「PR X」マガジン|すべてのビジネス領域に、PRの技術を|株式会社電通PRコンサルティング




小野 真世
小野 真世
株式会社 電通PRコンサルティング PRX Studio Q PRコンサルタント(元記者) 某通信社記者を経て、2015年電通PR入社。リスクマネジメント、パブリックアフェアーズに関するコミュニケーション施策を専門にコンサルティングを行っている。コロナ渦におけるコミュニケーションの変化についても関心アリ。 ❤ 子どもの観察 カラオケ 漫画

 


 

お役立ち資料
  無料ダウンロード

サポート・プログラム資料
  無料ダウンロード

人気記事ランキング【月間】


❹人
気記事ランキング【通期


❺タグ一覧

ページトップアイコン