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効果的な「採用ブランディング」とは?市場動向からみる"選ばれる企業"の特徴

『企業の採用活動は、もはや“選ぶ”時代ではなく、“選ばれる”時代へ――。』

求職者の価値観が大きく変化し、採用戦略に大転換が求められる中、企業が優秀な人材を確保するためには、従来の採用広報にとどまらず、経営戦略としての採用ブランディングがますます重要になっています。

本記事では、最新の採用市場動向の分析を通じ、求職者から選ばれる企業の特徴を解説し、効果的な採用ブランディングの在り方を探ります。

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目次[非表示]

  1. 1.苦戦する企業…重要性高まる「採用戦略」
  2. 2.就活生や転職者たちの状況
  3. 3.存在感増す“親“の存在 「オヤカク」とは?
  4. 4.「採用広報」から「採用ブランディング」へ
  5. 5.電通PRコンサルティングが支援する「PR思考による採用ブランディング」


苦戦する企業…重要性高まる「採用戦略」


少子高齢化とそれに伴う労働人口の減少により、日本の採用市場は現在、かつてないほどの「超売り手市場」に突入しています。

リクルートワークス研究所が行った労働需給シミュレーションによると、2040年には、日本全体で約1,100万人の労働供給が不足すると試算されており、企業は今後ますます優秀な人材の確保が難しくなると予測されています。


参考:リクルートワークス研究所
未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる

https://www.works-i.com/research/report/forecast2040.html


また、同研究所の「大卒求人倍率調査(2025年卒)」によると、25年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.75倍となり、新型コロナウイルス感染拡大以前の水準に回復。

参考:リクルートワークス研究所
第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)

https://www.works-i.com/surveys/item/240425_recruitment_saiyo_ratio.pdf


一方の企業側ですが、求める人材の確保に苦戦しています。

就職みらい研究所の「就職白書2024」によると、採用計画に対する充足状況で 、「採用予定数を充足できた 」と答えた企業は全体の36.1%で2022年から16ポイント以上減少。また、採用数が計画より少ない理由に目を向けると、「選考応募者が予定より少なかった」という回答が最も高く、前年より14.5ポイント上昇している一方、「内定辞退が予定より多かった 」という回答の割合は減少しており、内定出しよりも手前の選考応募者の確保から苦戦している様子がうかがえます。

参考:株式会社リクルート 就職みらい研究所 就職白書2024
https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2024/04/hakusho2024_0424-2.pdf


中途採用市場においても、企業は人材確保に苦戦しています。

リクルートワークス研究所の「中途採用実態調査」(2023年度下半期 )によると、中途採用によって必要な人材を「確保できなかった」と回答した企業は53.2%であり、2023年度下半期以降最も高い数値となりました。

このような中、採用活動のデジタル化やハイブリッド化が急速に進んでいます。特に、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業の採用活動はオンライン化が加速し、リアルとデジタルを組み合わせた「ハイブリッド就活」がスタンダードとなりました。

また、デジタルツールの普及により、求職者がSNSや口コミサイトを活用して企業のリアルな情報を収集するケースが増加しています。

これにより、企業は求職者に対して、透明性の高い情報発信が求められるようになり、採用戦略の重要性が一層高まっています。


就活生や転職者たちの状況


かつては、安定した雇用や高い給与が企業選びの主な基準とされていましたが、近年、Z世代を中心とした学生や求職者の企業選択基準は大きく変化しています。

株式会社ペンマークが実施したZ世代の就職活動に関する調査において、就職先を決める上で、重要だと考える項目として「スキルアップや成長の機会が多く、市場価値が高められるか」という点に男女ともに最も多くの回答が集まりました。

参考:株式会社ペンマーク
【Z世代3万人調査】Z世代の就職観、「市場価値を高められるか」が最重要。重視する点の男女差が明らかに

https://corp.penmark.jp/news/20240619#index_ce2JbZTC


このような背景には、急速に変化する社会環境や、働き方改革の影響があると考えられます。

特に注目すべきは、いわゆる「配属ガチャ」と呼ばれる現象です。これは、就職後の配属先や担当者が入社前に確定しないことで、学生や求職者が不安を抱く状況を指します。

株式会社電通の「Z世代の就職活動に関する調査」 によると、入社後の勤務場所・エリアを確約してほしいという就活生は88.8%、入社後の職種・配属先を確約してほしいと考える就活生は87.3%おり、働き方・業務内容の両面において、入社前に具体的な進路が確約されている状態を多くの就活生は望んでいることが分かります。


参考:株式会社電通
「Z世代就活生 まるわかり調査2024」

https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/0415-010715.html


また、面接において対面した面接官との相性が悪かったことによって、選考に落ちてしまうことを懸念する「面接官ガチャ」という言葉も話題になるなど、就職活動における「不確定要素」を1つでもなくそうとする傾向が現代の就活生には強く見受けられます。

また、中途採用市場では、即戦力となる人材の確保が難しくなっており、未経験者やアルムナイ(元社員)の採用に力を入れる企業が増えています。

参考:株式会社リクルート
未経験求人が 2018 年度比で 3.2 倍に増加。2022 年度で急増 新たな業界・職種へチャレンジできる機会が増加

https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20240129_work_01.pdf

参考:株式会社マイナビ2024年1月度 中途採用・転職活動の定点調査
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20240301_71292/


存在感増す“親“の存在 「オヤカク」とは?


最近の採用活動において、「オヤカク」という言葉が注目されています。「オヤカク」とは、学生が内定を受け入れる際に、親の同意や確認を求める傾向を指します。

少子高齢化が進む日本社会では、親と子供の関係がより密接になり、就職という人生の大きな選択において親の意見が強く反映されるケースが増えています。2023年12月、株式会社ベネッセ i-キャリアが大学2-3年生446人を対象に行った調査では、「4人に1人」が、就職先の企業を検討する際に「親(父親・母親)」の意見やアドバイスを最重視したい(24.4%)と回答。

参考:株式会社ベネッセ i-キャリア
「4人に1人」の大学2、3年生が、就活の企業選びにおいて「親」の意見を最重視すると回答 「自身の就活やキャリア観醸成に影響を与えた人や経験・体験」に関する調査 - PR TIMES

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000016455.html


このような状況を踏まえ、多くの企業が「オヤカク」に対応するための施策を導入しています。

ある企業では、内定者の親を招待し、企業の代表と直接対話する機会を設けることで、親の不安を解消し、内定辞退を防止する施策を行っています。

その他にも、社内見学会のほか、保護者向けの手紙の送付、自社商品の送付など就活生の一番の相談相手である親に対する直接的なアプローチによって、内定受諾率の向上、選考辞退率の低下を狙う企業も増えてきています。


「採用広報」から「採用ブランディング」へ


採用広報の状況も大きく変わってきています。特に、インターンシップの活用方法が見直され、採用選考の早期化が進んでいます。

かつては、3年生の3月が採用活動の解禁日とされていましたが、現在では、インターンシップの時点で実質的な選考を行う企業が増えています。


参考:株式会社ベネッセ i-キャリア
「大学 1,2 年生向けのキャリア形成」に関する企業担当者の意識・実態調査

https://www.benesse-i-career.co.jp/news/20240719_1release.pdf


上場企業の広報部門が重視するステークホルダーは、過去10年間で大きく変化しています。

電通PRコンサルティング内の研究組織である企業広報戦略研究所の調査によると、就活生や学生に対する関心が10年前の31.9ポイント増と、 最も顕著な伸びを示しています。次いで、従業員とその家族に対する関心も22.3ポイント増加。

採用広報の通年化が進む中で、企業は求職者のみならずその家族や就活予備軍を含め、あらゆるステークホルダーに対して、企業のさまざまな魅力が伝わるように工夫していることが分かります。


参考:電通PRコンサルティング 企業広報戦略研究所
上場企業を対象とした「第6回企業広報力調査」

https://www.dentsuprc.co.jp/releasestopics/news_releases/20241121.html


言い方を変えると、ステークホルダーのニーズに対応するような選択肢(ファクト)を用意・提示しないと、競合他社に優秀な人材を取られてしまう状況といえるでしょう。

この「ファクト起点の広報」では、求職者が求めるリアルな情報を提供し、企業の実態をありのままに伝えることで、信頼性を高めることが重要です。特に新卒市場では、企業の「リアル」を知りたいという学生のニーズが高まっており、これに対応するために企業はより具体的な情報発信を行う必要があります。

そのため、人事部門だけでなく、広報部門や現場社員、さらには経営層も一体となり、全社的な連携で、経営戦略としての採用ブランディングを行うことが採用戦略の成功へのカギとなります。

広報部は、ハブとして全社のファクトを整理し、効果的なメッセージ・文脈づくりを主導していく必要があるといえます。


電通PRコンサルティングが支援する「PR思考による採用ブランディング」


このような最新の採用市場を踏まえ、電通PRコンサルティングでは、「PR思考による採用ブランディング」プログラムを展開しています。

このプログラムは、企業の視点ではなく、求職者の視点から採用戦略を設計することを重視しています。

例えば、就職活動に入る前の段階から学生とのエンゲージメントを高める企業広報を実施。学生やその家族、そして入社後の内定者や社員に対しても良好な関係を築く採用ブランディングを支援します。



電通PRコンサルティングでは、「PR思考」による採用ブランディングに関するセミナーと交流会&個別相談会を、3月19日(水)に開催します。

選ばれる時代の「PR思考による採用ブランディング」とは―?
広報と人事の連携で採用戦略をアップデートする実践的プログラムとは―?
企業に求められる攻守一体型のコミュニケーション施策とは―?

識者を招き、さまざまなデータと事例を活用しながら 徹底解説します。ぜひ、この機会を活用し、効果的な採用ブランディングを実現してください。

※本セミナーは採用担当者様向けですが、広報担当者様とのご参加をおすすめいたします。採用広報と企業広報の連携がよりスムーズになり、社内の連携体制強化にもつながります。

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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PRX編集部
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