広報・PRの効果測定 評価指標や検証方法について詳しく解説
広報効果測定は、企業の広報活動の成否を判断する重要な指標です。しかし、複雑化するメディア環境や多様な情報源の中で、効果を正確に測定することは容易ではありません。
広報効果測定では、企業の目的に合った「方法」や「指標」を正しく選び、的確な測定を行うことが重要です。
本記事では、広報活動の成功を支える具体的な指標とその活用方法について解説します。効果的な広報戦略の構築にぜひお役立てください。
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多くの企業が取り組む「広報効果測定」
広報実務者のための専門誌「広報会議」が113社を対象に行った「企業の広報・PR活動に関する調査2022」によると、広報活動の効果測定を行っている企業は、72.6%と、7割以上に上ります。また、広報効果測定の活動に重要度については、41.6%の企業が「重要度が上がった」と回答しており、その結果を重要視していることが分かります。
多くの企業が取り組む広報の効果測定ですが、経済広報センターが行った調査によると、7割以上の企業が、「広報活動の効果測定が難しい」と回答しています。
なぜ、多くの企業にとって、「広報の効果測定は難しい」と感じられるのでしょうか。
効果測定が難しい理由は「広報」と「広告」の違い
その理由は、広告とは異なった、広報・PRならではの特徴にあります。
そもそも、PR(=パブリックリレーションズ)とは、双方向のコミュニケーション活動を通じて行う「企業(行政・団体)とパブリック(世の中)との、良い関係づくり」をいいます。
パブリック(世の中)とは、一般生活者や顧客、株主や投資家、社員や就職希望者など多岐にわたり、それらの対象者に情報を届けるのに期待されるのが、メディアによる番組や記事としての情報発信です。
しかし、番組・記事(ニュース)は、広告と異なり、いつ、どのメディアが、どのような内容で、しかも、露出するかどうかも分かりません。広告では、情報発信の決定権が広告主側にあるのに対し、番組や記事の場合、その決定権はメディア側にあります。
効果測定に当たり、広告の場合は、GRPやページ数、PVなどの結果が広告投下予算から予測ができる一方、広報・PRの場合、効果測定に用いるメディアへの露出件数や広告換算金額などの結果が予測できないのです。
さらに、今は、いわゆるマスメディアと呼ばれるテレビ、ラジオ、新聞、雑誌の影響力は相対的に低下し、ソーシャルメディアが普及・台頭しています。
このように、露出を追うべきメディア環境が多様化・複雑化することで、広報の効果測定がさらに難しくなってしまいました。
広報効果測定 ポイントは「PESO」による“見える化”
では、このように複雑化したメディア環境の中で、企業は、どのように広報効果測定に取り組めばよいのでしょうか。
重要なのは、情報の流れを構造的に理解し、今、どこのデータを収集・分析しているのかを明確化することです。
具体的には、生活者が接触するメディアを「PESO(ペソ)」の4つに分類し、コミュニケーションの設計図で“見える化”します。
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このPESOを、3つの段階=①自分が「語る」段階、②誰かに「語られる」段階、③誰かが「受け取る」・誰かが「動く」段階に分けて考えるのが、広報効果測定のポイントです。
この3つの段階は、「インプット」「アウトプット」「アウトカム」と言い換えると分かりやすく、それぞれの段階ごとに、導き出せる指標があります。この段階の中で、自分が今、どのポイントのデータを収集・分析しているのかを整理して考えることが重要です。
広報効果測定「①インプット段階」の測定項目
この3段階ごとに、測定すべき指標をみていきます。
まず、インプット(投入)段階では、下記のような指標を測定します。
〈定量指標〉
・発表件数(ニュースリリース配信件数等) |
〈定性指標〉
・開示/発表情報の妥当性 |
〈コスト指標〉
・人件費(平均賃金×業務時間等) |
以上のように、リリースの配信件数や記者発表会の回数など、自社で測定できるものが多いことが分かります。また、それ以外にも、他社が何を実施しているのかをスコア化し、自社と比較する調査方法があります。
電通PRコンサルティングのオリジナル調査「企業広報力調査」では、個別診断レポートや、業種別活動実態ランキングなどのデータから、自社が実施している広報活動状況(インプットの活動)が、他社と比較して十分なのかどうかを相対化し、今後の広報活動計画を見直すためのデータとして活用することができます。
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広報効果測定「②アウトプット段階」の測定項目
次に、アウトプット(結果)段階では、メディアへの露出件数や、広告換算金額算出などの定量的指標を用いたものや、報道論調分析などの定性的な測定等があります。
〈定量指標〉
・メディア露出件数(TV・新聞・WEB等) |
〈定性指標〉
・テーマ/領域分類 |
電通PRコンサルティングでは、「リーチポイント分析」という、潜在リーチを統一計測基準で測定して分析する手法を導入しています。独自の広報効果測定指標で、 TV/新聞・雑誌/WEB/SNS(X等)で対象の情報に接触した可能性のある人数を推計し、日別の「延べ接触人数(リーチの合計)」で比較・分析を行っています。
広報効果測定「③アウトカム段階」の測定項目
最後に、アウトカム(成果)段階での測定項目では、生活者へのアンケート調査等を実施する方法が一般的です。最近では、SNS上でどのような評判が拡散しているかを調べる「ソーシャルリスニング」を実施する企業も多くなっています。
〈定量指標〉
・顧客影響度調査(認知度、好意度、行動変容等) |
〈定性指標〉
・顧客の感想/満足状況 |
電通PRコンサルティングのオリジナル調査「魅力度ブランディング調査」は、生活者や個人投資家が、企業のどのような活動や事実(ファクト)に“魅力”を感じるのかを「人的魅力」「財務的魅力」「商品的魅力」の3要素で検証するブランディングモデルです。
2016年から実績を重ね、日本広報学会の評価も得て定着したコーポレートブランディングモデルとなっています。
▼企業広報戦略研究所(C.S.I.)ファクトブック概要版をダウンロードする
効果的な広報効果測定のために
さまざまな方法や測定指標がある広報効果測定ですが、全てを捉えていくことは、容易ではありません。
難しさの原因である、広告との違いを正しく理解し、さらには、昨今の多様化&複雑化したメディア環境を認識しつつ、“何の効果”を明らかにしたいのか(例:PR施策のリーチや反響? 記者の評判? SNSでの投稿内容?)その目的に応じて、効果測定のポイントを絞っていく必要があります。
企業ごとに、異なる環境・背景を持っていて、掲げる戦略もさまざまです。日々、データを蓄積し、戦略に合わせた効果測定の方法を導入していくことが大切といえます。
電通PRコンサルティングでは、企業ごとの課題に合わせた、広報効果測定プログラムをご提案しているほか、メディア露出の統一基準での評価や企業・ブランドの露出状況の解析を行うビジネスインテリジェンスツール「PR Matrixダッシュボード」を販売しています。
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ツールの活用によって、KPI設定や効果測定が容易となり、効率的なデータ活用ができるほか、常時アクセス可能なダッシュボードで、広報活動の現状把握と改善ができます。
広報・PR効果測定に関するご相談がございましたらましたらぜひ、お気軽にご相談ください。
※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。
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