企業に求められる9つの広報力とは?「企業広報力調査」で広報課題を浮き彫りに
メディア、株主・投資家、顧客、従業員、学生など様々なステークホルダーを対象にする企業の広報活動。その内容は非常に多岐にわたり、多様なスキルが求められます。
そうした広報活動の中で、自社は何を強みとし、どんな課題を抱えているのか、きちんと把握できているでしょうか。広報力を向上させていくためには、まず、自社の広報力を把握することが肝心です。
今回は企業の広報活動の強みや課題を明らかにし、企業広報力の向上を後押しする「企業広報力調査」についてご紹介します。
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企業広報は各ステークホルダーとのコミュニケーション活動へ
そもそも、企業が行うべき広報活動とは何でしょうか。
これまでの企業の広報活動はメディア向けの情報発信を主流とし、露出を獲得していかに話題を創出するかという「話題づくり」に重点が置かれてきました。
しかし、時代とともに企業を取り巻く経営環境・広報環境は変化。企業の広報活動は単なる「話題づくり」だけでは不十分となってきました。これは、当社の研究組織である企業広報戦略研究所(C.S.I.)が実施した調査からもうかがえます。
C.S.I.が上場企業を対象に行った「企業広報力調査」から、企業が重視する広報ターゲットについて見てみましょう。ランキングには「株主・投資家」「顧客」「従業員とその家族」「取引先」「メディア」とさまざまなステークホルダーが並び、広報活動の対象が幅広いことが分かります。
これを2014年と2022年とで比較してみると、2014年に3位であった「メディア」は、2022年には5位にランクダウン。一方、「従業員とその家族」と「就活生・学生」は大きくポイントを伸ばし、2022年には3位と6位に。企業がメディア以外のステークホルダーも重視するようになってきたことがうかがえます。
これらの結果からも企業の広報活動がもはやメディア向けの情報発信を主流とする活動ではなく、各ステークホルダーとのコミュニケーション活動へと変化していることが分かります。
では、企業が各ステークホルダーとコミュニケーション活動を行い、良好な関係を構築していくためにはどうしたらよいのでしょうか。
各ステークホルダーとの良好な関係づくりのために
企業が各ステークホルダーと良好な関係づくりをしていくためには、ステークホルダーにとって価値のあるファクトを届けることが重要です。企業が伝えるべき価値には、製品価値、市場価値、社会価値の大きく3つがあります。その中でも「社会価値」の重要性が近年高まっています。
C.S.I.が行ったESG/SDGsに関する意識調査(「ESGレピュテーション調査」2022年)では、企業のESG/SDGsの取り組みを知った後に、企業のウェブサイトを閲覧するなど何らかの行動をした人の割合は43.8%。4割以上の人が社会価値につながるファクトを認知後にアクションをしていることから、社会価値に関する情報発信の影響力がうかがえます。
また、先の「企業広報力調査」でも、広報担当者の業務テーマとして「CSR、SDGs」「ESG」が増えていることから、多くの企業が社会価値に関連した広報活動を重視するようになってきていることが分かります。
これらの調査結果から、各ステークホルダーとの良好な関係づくりを行っていくためには、企業が伝えるべき市場価値や製品価値に「社会価値」を内包させ、ステークホルダーにとってより価値のあるファクトをつくり、届けていくことが重要だと考えられます。
これらを踏まえ、企業が行うべき広報活動を整理したものが「価値づくり広報モデル」です。
「価値づくり広報モデル」
「価値づくり広報モデル」は、「課題把握力」「目標設定力」「ファクト力」「クリエイティブ力」「PESO活用力」「エンゲージメント力」「インパクト評価力」「リスクマネジメント力」「広報組織力」の9つの広報力で構成されます。
各広報力は「Strategy」「Activity」「Management」の3つの領域に分類されます。
Strategy領域:「課題把握力」「目標設定力」「ファクト力」
・「課題把握力」は、広報目標達成に向け、広報ターゲットの期待や不安を捉え、広報課題を発見・設定する能力。
・「目標設定力」は、企業の社会的価値や社会的影響力を考慮し、広報目標を設定する能力。
・「ファクト力」は、広報目標達成に向け、必要な企業の活動をプロデュースする能力。
Activity領域:「クリエイティブ力」「PESO活用力」「エンゲージメント力」
・「クリエイティブ力」は、戦略に基づき、企業や商品の魅力を伝えるストーリーを策定し、コンテンツ設計を行う能力。
・「PESO活用力」は、戦略に基づき、複合的にメディアを駆使し、タイムリーかつ継続的に情報発信する能力。
・「エンゲージメント力」は、重要広報ターゲットとの信頼を深め、社会的価値を共創する能力。
Management領域:「インパクト評価力」「リスクマネジメント力」「広報組織力」
・「インパクト評価力」は、戦略の精度向上を図るため、広報活動の社会的影響を継続的に測定する能力。
・「リスクマネジメント力」は、企業リスクを予測・予防するとともに、リスク事案が発生した場合に自社資産や信用への被害を最小限にとどめるための組織的能力。
・「広報組織力」は、経営戦略と広報戦略を連携させるための、意思決定の仕組み、スキル向上などの組織的能力。
企業が行うべき広報活動を3つの領域・9つの広報力で整理した「価値づくり広報モデル」。
この「価値づくり広報モデル」に沿って、各企業の広報力を診断するのが「企業広報力調査」です。「企業広報力調査」を実施することで、自社の広報活動の中でどのスキルが不足しているかなどの課題を浮き彫りにし、今後の広報活動の改善につなげることができます。
それでは「企業広報力調査」から具体的に自社のどういったことが分かるのか。C.S.I.が2022年に上場企業450社を対象に行った調査からご紹介します。
上場企業を対象に行った「企業広報力調査」(有効回答450社)
これは450社の広報力の平均スコアを表したものです。「PESO活用力」が高いことから情報発信型の広報活動をメインとする企業が多いことが分かります。また、多くの企業が「ファクト力」「インパクト評価力」に課題を抱えていることがうかがえます。
広報力スコア(総合評価)の業界ランキングでは、1位「電力・ガス」、2位「食料品」、3位「繊維・化学・医薬」という結果になっています。
また、各社がどのように広報活動の効果測定を行っているかを見ると、最も多かったのが「新聞や雑誌で報道された件数、分量」で、6割以上の企業が実施している結果になりました。次に「Webメディアでの報道量」「自社Webサイトのアクセス数・滞在時間など」「テレビで報道された件数、秒数」と続くことから、多くの企業が広報活動の成果を量で測る方法をとっていることが分かります。
まずは「企業広報力調査」で広報課題を明らかに
このように「企業広報力調査」を行うことで、企業に求められる9つの広報力の中でどのスキルを満たし、どのスキルが不足しているかを把握することができます。
また、ご紹介した上場企業450社のデータと貴社の広報活動を比較分析し、貴社の強みや課題を明確にすることも可能です。分析結果を基に電通PRコンサルティングのコンサルタントが貴社の広報課題解決に向けた改善策を提案・支援いたします。
「企業広報力調査」に関するご質問・ご相談など、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。
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