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企業ブランディングのKPIを可視化する新モデル「魅力度ブランディングモデルVer.3」

ブランディング戦略を展開する中で、「企業ブランドの効果測定やKPI(重要業績評価指標)設定をしたい」という悩みはよく聞きます。

企業広報戦略研究所(電通PRコンサルティング内)が開発した「魅力度ブランディングモデルVer.3」は、企業活動を一つ一つの「ファクト」として分類し、生活者が企業に“魅力”を感じるファクトをスコア化しました。

ブランド調査の多くが、「洗練された」や「先進的な」などの抽象的なイメージを調査項目としているのに対し、本モデルは、より具体的な企業の活動(ファクト)に注目したものとなっています。これは、「企業ブランドは、イメージ戦略だけではつくれない。活動(ファクト)が伴ったブランディング戦略が必要である」という考えに基づいています。

本記事では、魅力を活用したブランディングモデルとは何なのか、そして、最新の調査で見えてきた、生活者が「企業に魅力を感じる要素」を明らかにします。

ぜひ、企業のブランディング戦略の設計にお役立てください。

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目次[非表示]

  1. 1.企業の魅力をスコア化する「魅力度ブランディングモデルVer.3」とは
    1. 1.1.モデルの概要
  2. 2.企業ブランディングへの活用方法
    1. 2.1.活用方法①:自社の強み・弱みの発見
    2. 2.2.活用方法②:効果測定やKPIとしての利用
      1. 2.2.1.「生活者が魅力を感じる要素」は?(最新調査結果より)
      2. 2.2.2.企業の3大魅力は「イシュー対応」「安定・透明性」「技術」
      3. 2.2.3.業界別の魅力の違い
  3. 3.まとめ

企業の魅力をスコア化する「魅力度ブランディングモデルVer.3」とは


企業戦略の核ともいえるブランディング。多くの企業が直面してきた課題として、“ブランド”という目に見えない要素に対し、その価値を高める“イメージ”は決定したものの、“具体的に何をすればよいのか”“どの活動を取りあ上げればよいのか”といったことがあります。こうした実行フェーズでの課題は、広報・PRの現場でも頻繁に話題になります。

そこで2016年に企業広報戦略研究所が開発したのが「魅力度ブランディングモデル」です。このモデルは、企業が情報発信するさまざまな活動(ファクト)の中から、生活者が魅力”に感じるものを測定・評価し、ブランディング戦略に活用できるデータとして提供するものです。

2016年以来毎年、全国の生活者1万人を対象として調査をしてきました。そして2025年、7年ぶりに「魅力度ブランディングモデル」の改訂を行いました。

2018年の改訂以降、コロナ禍を経て世界情勢も大きく変動し、改めて、社会課題解決、グローバル対応、マルチステークホルダー対応など、企業を取り巻く社会・経済の環境変化を踏まえて、従来の魅力度の指標の見直しが必要と判断し、改訂に着手しました。

また、生活者(顧客、個人投資家、就活生などのステークホルダー)が企業のどのような活動(ファクト)に魅力を感じるかは、年々変化しています。そのため、「ダイバーシティ」「DX推進」「グローバル」「技術」など、時代に即してさまざまなファクトの追加・変更が必要であると考え、魅力の項目や構成の見直しを行いました。モデルの改訂に当たっては「ステークホルダー思考」を重視しています。 

そして、2025年の調査では、企業200社の「魅力度ランキング」「業界別ランキング」「魅力を感じた情報源」「企業イメージ」などについての新たな分析を行いました。

モデルの概要

「魅力度ブランディングモデルVer.3」は、企業が持つ魅力を「人的魅力」「社会的魅力」「商品的魅力」という3つの要素に分け、それをさらに24の領域、48の項目に分類して、スコア化する方法です。

人的魅力(8領域16項目)
パーパス・ビジョン、インテグリティなど、法人として醸し出す「人格」や、経営者や技術者など「人」から伝わる魅力。
項目例:「イノベーション(技術革新)に積極的な経営をしている」「グローバルにビジネスを展開・進出している」など
社会的魅力(8領域16項目)
ダイバーシティ、イシュー対応など、企業を取り巻く社会やステークホルダーとの「つながり」から伝わる魅力。
項目例:シニア・外国人・女性・子育てなど多様な人材に配慮している」「社会の発展や社会課題解決に貢献している」など
商品的魅力(8領域16項目)
感動・共感、独創・革新性など、商品・サービスを通じて、企業が「提供する価値」から伝わる魅力。
項目例:「開発ストーリーに共感できる商品・サービスを提供している」「ファン・顧客を大切にしている」など

これらの要素を定量的に評価することで、企業の魅力を見える化し、他社との比較をしたり自社の強み・課題を明確にすることができます。

「魅力度ブランディングモデル」の根幹となる考え方は学術的にも高く評価されており、日本マーケティング学会での受賞歴もあります。

企業ブランディングへの活用方法


「魅力度ブランディングモデルVer.3」は実際、どのように企業ブランディングへ活用できるのでしょうか。企業の目線に立って、具体的な活用方法を説明します。

活用方法①:自社の強み・弱みの発見

このモデルを活用することで、生活者視点での、自社の強みや課題を明確に把握できます。例えば、魅力度分析レポートとして提供している「競合3社との魅力領域比較、魅力項目比較」では、企業の“魅力”を構成する指標で競合企業と比較できるので、自社の優位点や改善ポイントなどを一目で把握することが可能です。

<魅力領域比較のサンプル例>

<魅力項目比較のサンプル例>

競合との比較の他にも、生活者が魅力を感じる領域を特定し、それをPR・商品戦略に反映したり、社内での人材育成や文化醸成の指針として活用したりすることも可能です。

活用方法②:効果測定やKPIとしての利用

自社の魅力度のスコアを年次で追跡することで、展開するブランディング戦略の進捗(しんちょく)や効果を測定・把握できます。

さらに、改善が必要な領域をデータに基づいて特定し、具体的な施策を導き出したり、次年度のKPI設定に生かしたりすることも可能です。

<経年比較サンプル例>

※魅力24領域での経年比較は2026年11月からとなります(現在は18領域比較のみ)。

「生活者が魅力を感じる要素」は?(最新調査結果より)

このモデルを活用して2025年に行われた第10回魅力度ブランド調査では、生活者が企業に感じる魅力について、次のような結果が得られました。

・3魅力要素のうち、魅力に感じるトップは「人的魅力」で、全体の37.1%。

・次いで「商品的魅力」が33.4%、「社会的魅力」が29.5%。

※魅力度スコアの総量(魅力総量)の割合。20業種×n=500、全体N=10,000、魅力総量N=344,240ポイント。1魅力項目=1ポイントとして算出。魅力総量は、魅力48項目から複数回答で選択した魅力の選択項目を全回答者にわたって合計したもの。

企業の3大魅力は「イシュー対応」「安定・透明性」「技術」

魅力を構成する領域のランキングでは、生活に欠かせない課題への取り組みである「イシュー対応」(48.8%)が1位。2位には安心感・経営の信頼性にひもづく「安定・透明性」(48.6%)。3位は、高い技術力やノウハウを表す「技術」(45.5%)がランクインし、上位5位中3つが「人的魅力」となりました。

業界別の魅力の違い

生活者が企業に対して感じた魅力項目の合計選択数を業界別で見ると、上位3位は、「輸入EV自動車・自動車関連部品(タイヤ)」(21,322ポイント)、「食品」(20,789ポイント)、「飲料」(20,712ポイント)となりました。

また、1位の「輸入EV自動車・自動車関連部品(タイヤ)」は、2位の「食品」以下と比較して、「人的魅力」の値が大きいことが分かりました。

※20業種×n=500、全体N=10,000、魅力総量N=344,240ポイント。1魅力項目=1ポイントとして算出。

「輸入EV自動車・自動車関連部品(タイヤ)」の業界にはテスラやメルセデス・ベンツ、ブリヂストンなどグローバルで注目される企業が含まれており、この業界に魅力を感じている人には、幅広い多くのファクトが認知されていて、かつ、それらのファクトを魅力に感じている様子がうかがえます。

第10回となる本調査では、“魅力”が購入/投資/就職に影響するのか、業界別の違いなども明らかにしています。これらのデータを参考に、今、自社として活動や発信を強化すべき“魅力”は何か、を見直してみるのはいかがでしょうか?

まとめ


企業のブランディング活動の効果を最大化するには、データに基づいた分析が不可欠です。企業広報戦略研究所の「魅力度ブランディングモデルVer.3」を活用すれば、生活者視点での企業の魅力を把握し、自社の強みを生かした戦略の立案が可能となります。

本モデルの考え方に基づいた調査は、こうしたデータドリブンなアプローチを支える重要な指標となります。

電通PRコンサルティングでは、社内シンクタンクである企業広報戦略研究所のデータを活用し、ブランディングに関するコンサルティングを実施しています。最新の魅力度ブランド調査の自社の結果を知りたい方は、お問い合わせください。

また、自社の企業ブランディングの「現在地が分からない」「KPI設定や効果測定がうまくできない」等のお悩みがある方や、「自社の環境が特殊である、重視するポイントが他社と異なる」などのビジネス環境を考慮した指標を作成したい方には、指標のカスタマイズも可能です。お気軽にご相談ください。

こちらのリリースもご参照ください。
https://www.dentsuprc.co.jp/releasestopics/news_releases/20251020.html

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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PRX編集部
PRX編集部
電通グループ内のPR領域における専門会社「電通PRコンサルティング」が運営するオウンドメディアです。1961年の創立以来、国内外の企業、団体をサポートしてきた経験・実績をベースに、電通PRコンサルティングならではの視点で、PRの基礎から最新PRトレンドやソリューションまで幅広くお届けします。

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