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【広報効果測定】KPIの設定方法は?フレームワーク「KPIピラミッド」で可視化しよう

広報PRの効果は、商品の売り上げなど分かりやすい数字で測れない場合があったり、他のコミュニケーションとの融合で単体の効果を示しにくかったりと、「社内で費用対効果を明確にしづらく、広報PR活動の予算が取りにくい…」という声を聞くことが、少なくありません。

定量的な効果測定をする場合には、「メディアにどれだけ取り上げられたか」がひとつの基準になることもありますが、報道はいわゆる「生モノ」。その日に起きたさまざまな事象によって、ニューストピックの優先順位が突然入れ替わり、自社ではコントロールできない部分でKPIの達成がかなわない、ということも。こうした効果予測の難しさから、ついKPI(重要業績評価指標;Key Performance Indicator)の設定を敬遠してしまう…という方も多いのではないでしょうか。

しかし、費用対効果を示しにくい広報PR分野でも、KPIを味方にできれば、社内での広報PRの信頼と評価を上げることにつながるとも考えられます。

今回は、KPIを味方にするための2つの考え方と、それぞれに合わせたツール「KPIピラミッド」と「KPTフレーム」をご紹介します


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目次[非表示]

  1. 1.広報効果測定のフレームワーク「KPIピラミッド」とは
  2. 2.中長期的なプロジェクトには、次につなげる「KPTフレーム」がオススメ


広報効果測定のフレームワーク「KPIピラミッド」とは


広報PRのKPIではアーンド(Earned:E、下図参照)領域が重視されることが多いです。一方、ニューストピックは時々刻々と入れ替わるので、自社ではコントロールが難しく「報道数で目標設定をしてしまうと、最終的に達成できるだろうか…」と不安になることもあると思います。

しかし、昨今の生活者やステークホルダーが情報に触れるメディアは当然、アーンドメディアだけではありません。



いわゆる「PESOメディア」と呼ばれる、

・ペイド(Paid:P)メディア:広告など
・シェアード(Shared:S)メディア:ソーシャルメディアでの反応など
・オウンド(Owned:O)メディア:企業/ブランドのウェブサイトやソーシャルメディアアカウントなど

これらも、生活者が日常的に接するメディアです。

従って、KPIを考える際には、生活者やステークホルダーが日常的に接するあらゆるメディアにおいて、効果を検証する必要があります。そして「定量的」な視点だけでなく「定性的」な視点も重要です。

こうした幅広いメディアを踏まえた、多面的なフィードバックに役立つのが「KPIピラミッド」です。PRにおいて「認知拡大→意識変化→態度変容」の段階を踏むピラミッド型のフレームワークは、かねて重視されてきました。



今回ご紹介する「KPIピラミッド」は、下記の図のように、この3段階を「定量」と「定性」の2つに分け、合計6つのゾーンで指標を整理し、効果を検証します。もちろん、これらの指標は、企業/ブランドの活動目的に応じて、それぞれ個別に設定する必要があります。


KPIピラミッド


例えば、「認知拡大」のフェーズでは下図のような指標で整理します。



〔定量〕
・総メディア露出 件数
・オウンドメディア リーチ数
・ペイドメディア(CM/OOHなど)リーチ数  など


〔定性〕
・自社の公式SNSアカウント 投稿内容
・オウンドメディア コンテンツ内容
・プレスリリース 内容  など


「意識変化」のフェーズでは、下記のような指標で整理します。



〔定量〕
・報道メディアからの取材申込件数/露出件数
・自社発信以外のSNS投稿件数
・自社への意識変化(イメージ/魅力度調査の数値など)  など


〔定性〕
・報道メディアでの露出内容
・自社発信以外のSNS投稿内容(ポジネガ/具体内容など)
・KOL/インフルエンサーの反応  など


「態度変容」のフェーズでは、下記のような指標で整理します。



〔定量〕
・購買状況  ・会員数/サイト登録者数
・キャンペーンやイベント等への参加人数
・取引先企業からの引き合い/問い合わせ件数


〔定性〕
・購入した商品やサービスの感想/反響
・キャンペーンやイベント等への参加者の感想/反響
・取引先企業からの引き合い/問い合わせ内容  など


例えば、なかなかソーシャルメディア投稿数やメディア露出数が伸びていない場合でも、オウンドメディアの閲覧数が予想以上に伸びていた、といったこともあり得ます。

特定の指標のみで判断してしまうと、「リーチができていない」「意識変化につながらなかった」と結論づけてしまう可能性がありますが、多面的な指標で振り返ることで、効果を可視化することができます。


中長期的なプロジェクトには、次につなげる「KPTフレーム」がオススメ


中長期的なプロジェクトや複数の施策を進行するプロジェクトでは、どこで区切りを設けるのがよいか迷う場合があります。一定の短いスパンや施策ごとに区切りをつけ、KPIをトレースすることがポイントです。

そこで活用できるのが、「KPT」と呼ばれる、下図のような3つの視点で振り返りを行うフレームです。



「 KPTフレーム」とは、

・Keep(よかったこと・継続したいこと)
・Problem(問題だったこと・改善したいこと)
・Try(挑戦したいこと・やりたいこと)


の3つの要素を整理し、施策のフィードバックを行うフレームワークです。


よかったこと(Keep)だけでなく、問題や改善(Problem)に加え、さらに、それらを踏まえて今後挑戦したいこと(Try)もセットでフィードバックすることで、次の取り組みに活用することができます。

また、短いスパンで確認を繰り返すことで、早い段階でチューニングでき、プロジェクトが終了した後になって、ふたを開けてみたらKPIを全く達成できていなかった…ということを防ぐことができます。社内でこまめに進捗を共有する機会を確保し、合意を取りながら進めることもできます。

企業/ブランドによって、振り返るポイントや指標はもちろん異なりますが、フレームを活用したフィードバックは、下記のようなイメージです。


【参考】KPTフレームの活用イメージ


〔Keep〕 
・世の中のXXというモーメントに合わせた情報発信を設計できた
・報道メディアの獲得数は計画数未達だったったが、シェアードメディアでリーチ数は計画を上回る数値となった
・〇〇さんや△△さんといった、インフルエンサーのポジティブな発信が大きく影響し、ソーシャルメディア上でのリーチにつながった


〔Problem〕
・報道メディアが獲得できなかった理由としては、○○が考えられる。今後は改善していきたい
・アクションに応じて、どのメディアカテゴリーとの相性がよいのかを毎回議論し見極めた上で、情報発信やメディア毎のKPI設定が必要である


〔Try〕
・ブランドの△△な情報が、ソーシャルメディアでの関心が高いことが分かった。今後はソーシャルメディアで△△を定期的に発信していく
・インフルエンサーとのリレーション構築していくために◇◇を行っていく


このフレームの肝は「Try」の部分。もちろん、KeepやProblemの観点で整理ができている前提ですが、Tryでは「次にどうするか」「前回を超えるにはどうするか」というポジティブな未来の視点を含めた話ができます。次の取り組みにおけるKPI達成のための、大きなヒントになるはずです。


今回は、費用対効果を示しづらいPR/広報領域のKPIについてまとめました。

KPIを敬遠するのではなく、「味方」として使いこなすことで、取り組みをよりよいものにするだけでなく、社内における説得力を高め、今後の活動にもつながります。ぜひ、KPIピラミッドを活用してみてください。

出典: https://note.prx-studio-q.com/n/nb33e06422a73
※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。


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