catch-img

Impress Watch編集長に聞く“注目トピック” 重視する「自分事化できる」記事とは?

電通PRコンサルティングでは、各著名メディアの編集長やプロデューサーにメディアとしての関心事や興味、課題感、問題意識、また新たに取り組まれていることなどをお伺いし、広報担当者のメディアリテラシー力を高めることを目指しています。
 
今回は、「Impress Watch」編集長の臼田 勤哉氏にインタビューしました。


「メディアが記事にしたくなる」リリースの作り方 お役立ち資料をダウンロード

メディアリレーションズ「メディアとの関係の築き方」お役立ち資料をダウンロード

広報戦略に活用できる「フレームワーク集」をダウンロード


臼田 勤哉
Impress Watch」編集長

 
1998年、大学時代にパソコン・PC雑誌社でバイトを始める。1999年、インプレスに入社。「PC Watch」編集部に所属。PC自体は好きだったが、当時流行した「自作PC」などのマニアックな話よりも、インターネットによって社会、人々の生活の何が変わっていくのかというところに関心があったという。2001年より「AV Watch」編集部に異動したときも、“デジタル”はテーマにあり、オーディオ、テレビ、家電業界全般と広く取材。当時、ブラウン管から液晶テレビへの移行を筆頭に、デジタル家電の盛り上がりを追いかけた。2011年4月には「AV Watch」編集長に。
そして、2018年9月「Impress Watch」を自ら創立し、編集長に。編集に20年程携わってきたなかで、業界誌として専門的なことを突き詰めるよりも、横串で業界同士を繋げていく、スマホもPCもテレビも“スクリーン”という意味では分ける必要が無いと思っていて、そこで何をどう体験するのか、という部分をもう少し整理してあげたいという思いで創立。創立から5年、現在も編集長として活躍を続ける。


目次[非表示]

  1. 1.マニアックなテーマでも分かりやすく…意識する“コト軸”
  2. 2.毎日必ず1本…読み応えある“勝負記事”を
  3. 3.「シェアリング」と「人手不足」に注目


マニアックなテーマでも分かりやすく…意識する“コト軸”


―編集長視点で「Impress Watch」の媒体紹介をお願いします!
 
「Impress Watch」は、インプレスの他のメディアとは少し違った立ち位置で、IT・ネットや家電、クルマなどのニュースをジャンルや業界を横断して紹介しています。
 
創立時より、 「Impress Watch」で取り上げるニュースは、業界特化にならないようにつくる、あるいは業界誌っぽくつくったものを分かりやすいように翻訳することで、マニアックなテーマを扱いながらも、そこまで詳しくない読者にも分かりやすい記事を目指しています。



 
また、紹介する記事の切り口としては、“サービス/モノ軸”ではなく、サービス/モノを通して読者の日常の生活やビジネスシーンで何ができるのか、という“コト軸”を重視しています。
 
ほかのメディアではサービス/モノ軸のところも多いかと思うのですが、コト軸で考え、幅広い業界を扱いながらも、読者に自分事化して関心を持ってもらうことを常に意識しています。
 
例えば、スマートウオッチの紹介でも、商品そのものだけではなく、デジタルの力でどう自分の生活改善につなげていくのかというコト軸で考えていたり、街づくりの話題では、読者にとって自身の生活圏がどう変化するのかということを軸に考えていたりしています。


毎日必ず1本…読み応えある“勝負記事”を


―編集部について教えてください。
 
編集部は合計6人で、「家電 Watch」や「ケータイ Watch」「Robot Watch(2009年12月末に休刊)」で経験を積んだスタッフや、子育て中の社員など、それぞれ立場もさまざまに、興味関心、得意テーマがあります。
 
編集部外のライターさんにも30名ほどお願いしています。
 
―記事更新や、企画を決める過程を教えてください。
 
ストレートニュースや発表会などの取材記事は随時発信していますが、そのほかに読み応えのある、数千字規模のしっかりとした連載記事や、勉強になる記事を毎日必ず1本、その日の“勝負記事”として用意しています。
 
週1回の編集会議で、月ごとの大きな特集のテーマに沿ってそれぞれ企画を出してほしいという話をします。
 
特集のテーマは、時事性や社会的意義なども踏まえ、 2、3カ月くらい前からある程度考えています。
 
―取材や記事化において、重視していることを教えてください。
 
やはり読者自身の生活にどのように関係するのか、どこまで自分事化してもらえるのかは重要な視点です。
 
例えば、AIもここ数年注目しているテーマにはなりますが、AIが当たり前の存在になっていくなかで、読者自身にAIがどう関係するのか、どう活用、実装されるのかという切り口での紹介は重要だと考えています。
 
単にAIの企業導入事例だと企業固有の課題に帰結してしまいがちですが、読者が自分事として捉え、これは今までなかったな、こんなこともできるようになったのかという納得感や、新奇性、進歩、差異などを感じられるものが必要だと考えています。
 
あとは、大きな業界の流れで、大企業の動きや、参入、撤退、提携などのニュースは、ビジネスメディアとしてカバーしたい領域です。


「シェアリング」と「人手不足」に注目


―今注目しているトピックについて教えてください。
 
「人手不足」は日本の大きな社会問題ですので、デジタルがどうサポートできるのかは、注目しています。
 
その点では、直近4~6月くらいはライドシェアに注目しています。4月のライドシェア一部解禁やタクシー会社管理のドライバー募集、6月以降の規制緩和の流れがあり、世間でも盛り上がるだろうと思っています。
 
関連テーマだと、シェアモビリティ。ここ数年でカーシェアはすっかりポピュラーになりましたし、シェアサイクルも定着し、都会では当たり前になってきました。
 
ライドシェアとあわせて、シェアリングがどのように、より人手不足が顕著な地域にどのように広がっていくかは気になっています。
 
―今後の展開や課題について、教えてください。
 
媒体としては、「くらしを変えるテクノロジー」をテーマにしていますので、デジタル技術を使ってポジティブな社会変化を促すものを応援していきたいと考えています。



 
また、インプレスの社内にはPCやケータイ、クルマなど多数の専門メディアや書籍などもあります。他の編集部と協力して、こうした専門知識を、より分かりやすく、多くの人に届けていくような「ハブ」的な機能にもチャレンジしたいと思っています。
 
―広報担当者に伝えたいことを教えてください。
 
新しい情報や切り口、ビジネスパーソンにどう関係あるか、などがイメージしやすいメールは、検討しやすいので、編集部へ送ってもらえるとうれしいです。


インタビュー担当:電通PRC 岩木優佳


▼「メディアが記事にしたくなる」リリースの作り方 お役立ち資料をダウンロード

  メディアが記事にしたくなるプレスリリース作成のコツ 自社のプレスリリースを世の中に広げるには?基本のキから、メディアに取り上げてもらう勘所まで、丁寧に解説します。 「PR X」マガジン|すべてのビジネス領域に、PRの技術を|株式会社電通PRコンサルティング

▼メディアリレーションズ「メディアとの関係の築き方」お役立ち資料をダウンロード

  PRの中核を担うメディアリレーションズ メディアリレーションズとは?メディアの記者や編集者と良好な関係を構築し、良好な露出を獲得していくためのさまざまな活動のこと。企業のPR活動の「核」となるこの活動の基本の「き」、そしてこれから取り組むには何から始めたらよいのかをまとめました。 「PR X」マガジン|すべてのビジネス領域に、PRの技術を|株式会社電通PRコンサルティング

▼広報・PR「KPI・目標設定の方法」を解説 お役立ち資料をダウンロード

  KPIを味方にするPR/広報の目標設定方法 「分かりやすい数字で測れない」「自社ではコントロールできない部分でKPI の達成がかなわない」…こんな悩みから、PR/広報のKPI 設定を敬遠してしまう担当者も多いのではないでしょうか。そんな課題や問題点にお応えし、KPI を味方につける2つのメソッド「KPIピラミッド」と「KPTフレーム」をご紹介します。 「PR X」マガジン|すべてのビジネス領域に、PRの技術を|株式会社電通PRコンサルティング

▼関連記事

「メディアトレンドレポート2024」発表 電通PRコンサルティングが分析する“8つの変化”とは?
「OTEMOTO」編集長インタビュー “情報が残る時代”の価値観発信「怖くもあるが大事」
ファクトブックとは?作り方と企業の活用事例を徹底解説

PRX編集部
PRX編集部
広報・PRのトレンド情報や、電通PRコンサルティングが60年以上に渡り培ってきた様々なソリューションなどについてご紹介。