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BtoB広報とは?マーケティング・採用・IRを支える「想起」のつくり方

BtoB企業において、新規取引がなかなか増えない、社名を言っても通じない、採用で求人への応募者が集まらない、投資家や株主からの理解が深まらないといった課題がよく聞かれます。

こうした状況は、新規取引や採用、IRといった個別の部門の課題である以前に、企業としてどのように認識され、どんな存在として想起されているかが整理されていないことに起因している場合が多く見られます。

本記事では、BtoB企業の広報を企業ブランディングの基盤として捉え直し、「認知・想起」を起点に、マーケティング・採用・IRへとつなげていく考え方を整理して紹介します。

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目次[非表示]

  1. 1.BtoB広報とは?|その役割と目標
  2. 2.BtoB企業が「知られていない」状態に陥りやすい理由
  3. 3.BtoB広報の起点は「想起」にある
    1. 3.1.マーケティングにおける想起の重要性
    2. 3.2.採用における想起の重要性
    3. 3.3.IRにおける想起の重要性
  4. 4.調査から見えるBtoB広報の効果
  5. 5.BtoB広報の打ち手|フェーズ別に考える
    1. 5.1.【フェーズ①】未着手|まず「語れる状態」をつくる
    2. 5.2.【フェーズ②】立ち上げ|「伝わる接点」をつくる
    3. 5.3.【フェーズ③】強化|「想起を積み上げ、成果につなげる」
  6. 6.まとめ|BtoB広報は、企業理解と想起を育てる取り組み

BtoB広報とは?|その役割と目標


広報(PR)とは、Public Relationsの略であり、企業と社会、ステークホルダーとの間に良好な関係を築くためのコミュニケーション活動です。広告のような短期施策ではなく、企業が中長期でどのように理解・評価されるかを設計する点に本質があります。

近年、BtoB企業で広報の重要性が高まっている背景には、市場成熟による差別化の難化や、「知られていなければ選ばれない」環境の常態化があります。採用やIR、取引拡大といった経営課題の多くが、企業への認知や理解の不足に起因しているケースも少なくありません。

BtoB広報は、顧客だけでなく採用候補者、社員、投資家など幅広いステークホルダーに向き合い、企業の価値や姿勢を一貫した文脈で伝える役割を担います。そのため成果は単一指標では測れず、レイヤー構造で捉えることが重要になります。
まず土台となるのが、企業やサービスがどれだけ認識され、思い出されているかという「認知・想起」です。

認知・想起(共通基盤KPI):認知数、想起母数、メディア露出数、掲載媒体の質・文脈

この基盤の上に、次の3つの成果領域が積み重なります。

マーケティング:企業や事業が想起されることで、検討や対話の対象になる
採用:企業理解や共感が形成され、就職志望や安心感につながる
IR:事業内容や強みが理解され、継続的な関心や評価につながる

BtoB広報とは、認知・想起という基盤を整え、マーケティング・採用・IRを横断的に支える企業理解と信頼の構造をつくる活動だと言えます。

BtoB企業が「知られていない」状態に陥りやすい理由


BtoB商材は、日常生活の中で接触する機会がほとんどありません。そのため、意識的に探されない限り、企業やサービスは記憶に残りにくい構造にあります。

また多くのBtoB企業では、

・技術や実績はあるものの、何をどう語ればよいか分からない
・情報が部門ごとに分断されている
・メッセージが統一されていない

といった状態に陥りがちです。

結果として情報発信は点在し、「知る人ぞ知る存在」のままとどまってしまいます。

これは努力不足ではなく、設計と整理の問題とも言えます。

BtoB広報の起点は「想起」にある


BtoB広報において特に重視すべきは「想起」です。認知が「見聞きしたことがある」状態だとすれば、想起とは「必要な場面で、ヒントがなくても思い出される」状態を指します。

マーケティング、採用、IRといった領域では、この想起の有無が意思決定に直接影響します。

マーケティングにおける想起の重要性

BtoBの購買検討では、比較検討の初期段階で思い出される企業やサービスは、そもそも限られています。

商談の場面でも、「この領域ならあの会社」と具体的な企業名が想起されるかどうかが、提案機会の有無を左右します。

またマーケティングの観点では、指名検索や特定のキーワード検索は、想起が顕在化した行動の一例です。

企業名やサービス名、独自のキーワードで検索される状態は、広告や営業活動以前に、選択肢として想起されている証拠だと言えます。

採用における想起の重要性

採用の分野でも、想起は重要な役割を果たします。

BtoB企業、とりわけ新卒採用においては、「企業を知らない」「名前を聞いたことがない」ことが応募の障壁になりがちです。

また、就職活動において学生が最も相談する相手は親である、という調査データもあります。

参考:パーソルキャリア株式会社「「4人に1人」の大学2、3年生が、就活の企業選びにおいて「親」の意見を最重視すると回答 「自身の就活やキャリア観醸成に影響を与えた人や経験・体験」に関する調査」(2023年12月19日、PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000016455.html

就職活動をする本人だけでなく、その周囲の人々までもが企業名や事業内容が想起できる状態をつくることが、安心感の形成や求人への応募につながります。

誰に想起してもらうべきかを意識したコミュニケーション設計が、BtoB採用では欠かせません。

IRにおける想起の重要性

IRの分野においても、想起は企業評価の前提となります。

特に個人投資家は、限られた情報接触の中で投資判断を行うため、「どんな事業をしている企業か」「どの分野に強みを持つ企業か」が想起されなければ、比較や検討の対象にすらなりません。

決算情報やIR資料に触れる以前に、企業としてどの領域でどんな価値を提供しているのかが想起されていることが、継続的な関心や理解につながります。

BtoB広報は、IR活動を支える基盤としても、想起を意識した設計が求められます。

調査から見えるBtoB広報の効果


当社が実施した企業の技術分野の広報に関する調査では、研究開発や技術情報の発信に関わる技術者の多くが「自社の技術力には自信があるが、その価値を十分に発信できていない」と感じていることが明らかになりました。

また、技術情報の発信が以前より積極的になった企業では、そのことが契約増や売上増につながったと実感している割合が高いという結果も出ています。具体的には、東証プライム上場企業の技術者の45.6%が「以前より情報発信が積極的になった」と回答し、そのうち約7割(67.0%)が契約増・売上増につながったと実感しています。

一方で、情報発信が「以前より消極的」と回答した企業で契約増・売上増を実感している人は28.6%にとどまり、40ポイント近い差が見られました。

出典 電通PRコンサルティング 『技術広報に関する実態調査』(2025)

これはあくまで技術広報という一領域の調査ですが、専門性の高い情報発信が、企業評価と結びつく可能性を示唆していると言えます。

BtoB広報の打ち手|フェーズ別に考える


BtoB広報は、いきなり高度な施策から始めるものではありません。企業の状況や成熟度に応じて、段階的に取り組む手法が存在します。

ここでは、BtoB広報を「未着手」「立ち上げ」「強化」の3フェーズに分けて整理します。

【フェーズ①】未着手|まず「語れる状態」をつくる

このフェーズでは、

• 広報活動が体系化されていない
• 情報発信が属人的・断片的
• そもそも何を伝えるべきか整理できていない

といった状態にある企業が多く見られます。

この段階で重要なのは、施策を増やすことではなく、企業としての軸を言語化することです。

主な施策
メッセージ制作

企業として何者なのか、どんな価値を提供しているのかを整理し、技術・事業・経営の考え方を貫くストーリーを言葉に落とし込みます。個別の強みを並べるのではなく、企業の姿勢や意味づけを明確にすることで、記憶に残るメッセージを形成します。

コミュニケーション基礎資料の作成

策定したメッセージを、広報・マーケティング・営業・IR・採用など部門横断で使える基礎資料として体系化します。共通言語を整えることで、発信のブレや属人化を防ぎ、継続的な広報活動を支えます。

このフェーズは、マーケティング・採用・IR全ての土台をつくる工程です。ここが曖昧なまま次の施策に進むと、メッセージは分散し、想起されにくくなります。

【フェーズ②】立ち上げ|「伝わる接点」をつくる

企業としてのメッセージが整理できたら、次はそれを外部に伝え、接点をつくる段階です。

まだ大規模な露出を狙う必要はなく、まずは「正しく理解される」ことを重視します。

主な施策
トップコミュニケーション

経営層の言葉を通じて、企業の意思決定の軸や中長期的な方向性を伝えます。トップ自らが語ることで、事業や技術の背景にある思想や覚悟が明確になり、長期的な信頼形成や想起につながります。

PESOメディアを意識した情報発信の設計

PR(Earned)を起点に、オウンドメディアやSNSなどを組み合わせ、メッセージが一貫した文脈で伝わるよう設計します。第三者性のある発信と継続的な接触を重ねることで、理解と想起を段階的に高めます。

このフェーズでは、「どれだけ出したか」よりも、「どう理解されたか」が重要です。

【フェーズ③】強化|「想起を積み上げ、成果につなげる」

広報活動が一定の形で回り始めたら、次は想起を強化し、成果との接続を明確にするフェーズです。
ここで初めて、広報は“活動”から“経営資源”へと進化していきます。

主な施策
イベント・セミナー(メディア共催という選択肢)

企業の考え方や専門性を深く伝えるために、対話型・体験型の接点を設けます。
メディア共催にすることで、集客力や第三者視点での文脈づくりが可能になり、その後の編集記事化・二次活用へとつなげることができます。

PESOメディア横断での展開強化

PR露出、オウンドコンテンツ、広告などを連動させ、同じメッセージが複数の接点で繰り返し触れられる状態をつくります。接触の積み重ねによって、想起の定着を図ります。

効果測定と改善

認知・想起からサイトへの訪問数、求人エントリー、株価などの変化を捉え、広報の成果を可視化します。結果を基に施策を改善し、企業が設定する目標への貢献度を高めていきます。

このフェーズでは、広報がマーケティングや、採用、IRなどの成果にどう寄与しているかを説明できる状態を目指します。
こうした考え方を実践するための一つの手段が、当社が提供するPRism Insightです。

メディア露出数といった前段の変化から、サイト訪問数や指名検索数、採用エントリー数などの行動の兆しまでを横断的に捉えることで、広報活動がどのフェーズにあり、どのような影響をもたらしているのかを構造的に把握できます。

まとめ|BtoB広報は、企業理解と想起を育てる取り組み


BtoB広報は、プレスリリースや情報発信の量を競う活動ではありません。企業として何を大切にし、社会にどのような価値を提供しているのかを丁寧に伝え、どう想起されたいかを設計することが、その本質です。

認知や想起が形成されて初めて、マーケティングや採用、IRといった個別の活動が意味を持ち始めます。その根幹となる企業像やメッセージをどう描くかは、自社だけで考え切ることが難しいテーマでもあります。

電通PRコンサルティングでは、これまで多くのBtoB企業の広報・ブランディング支援に携わってきた経験を基に、「私たちは何者なのか」「どのように想起されたいのか」という根幹から、企業と共に考えてきました。

広報の方向性や伝え方に悩まれている場合は、ぜひ一度ご相談ください。

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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PRX編集部
PRX編集部
電通グループ内のPR領域における専門会社「電通PRコンサルティング」が運営するオウンドメディアです。1961年の創立以来、国内外の企業、団体をサポートしてきた経験・実績をベースに、電通PRコンサルティングならではの視点で、PRの基礎から最新PRトレンドやソリューションまで幅広くお届けします。

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