
入社式を“情報発信の場”に。PR視点で考える新年度の始め方
もうすぐ新年度。4月1日には、多くの企業で入社式が行われ、新たな仲間を迎えることでしょう。
入社式というと、「人事部の担当業務」というイメージが強いかもしれません。
でも実は、企業の姿勢や思いを社内外に伝える、広報・PRにとっても“絶好の機会”です。
入社式を単なる「毎年の恒例行事」として終わらせるのではなく、自社らしくステークホルダーに情報発信する機会として、人事や広報、事業部などと連携しながら社内外に情報発信してみてはいかがでしょうか。今回は、広報・PRの立場から、入社式を活用するポイントをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.入社式から見える、発信の切り口
- 1.1.■その企業らしさ
- 1.2.■世の中の関心事への対応
- 1.3.■社会課題への対応
- 1.4.■著名人によるサプライズ演出
- 1.5.■信頼回復
- 2.入社式の4つの効果とは?
- 2.1.① 新入社員との関係構築
- 2.2.② 社内のエンゲージメント向上
- 2.3.③ 社会への発信
- 2.4.④ 学生(就活生)への発信
- 3.入社式を“一度きり”にしないために。準備段階から考えたい広報の視点
入社式から見える、発信の切り口
2025年の入社式でも、各社がさまざまな切り口で情報発信をしていました。ニュースとして取り上げられていた切り口としては、次のようなものがありました。
■その企業らしさ
例えば、航空会社であれば飛行機の格納庫、水族館であれば大きな水槽の中など、自社特有の場所やサービスと絡めて発信するケースが見られました。新入社員が実際に自社の商品やサービスを体験できるコンテンツを取り入れたりと、「自社ならでは」の資産やノウハウを活用し、視覚的にも、企業らしさを分かりやすい「画」とともに発信する企業が多くありました。
■世の中の関心事への対応
昨今の、世の中の働き方や意識の変化に伴い、これまで続いてきた慣習を変える企業や、注目を集める新しい領域への対応について発信する企業も多くありました。
例えば、●多様性の尊重:
入社式の服装をスーツに限定せず「自由」に。●AIへの対応:
AIや次世代技術を活用したコンテンツ、あるいはそうした新領域の技術職の積極採用といったメッセージを強調。●働き方改革:
入社式の時期を4月1日前後から別の時期にずらすことで、従業員の年度末の業務の集中を回避。
■社会課題への対応
社会課題と向き合う姿勢は、入社式に限らず、メディアにとっても注目ポイントの一つです。今年は、物価高に対して初任給の引き上げや生活コストへの配慮を打ち出した企業が多く取り上げられていました。
また今年に限った話ではありませんが、コロナ禍で入社式を経験できなかった若手社員を対象に、あらためて入社式を開催する企業や、新入社員へのリアルな体験の提供を重視する企業も多くありました。
■著名人によるサプライズ演出
入社式にCMで起用している俳優やタレント、ゆかりのあるアスリートなどの著名人を招く演出も複数の企業で見られました。新入社員を中心に社内のエンゲージメントを高めるほか、社長などトップのメッセージと併せて、企業文化や関係性を外部に伝える手段となっています。
■信頼回復
過去1年で不祥事などがあった企業では、再発防止や信頼回復に向けたトップのメッセージを入社式の場で発信する例もありました。公の場でしっかりと誠実な姿勢を示せるかどうかをメディアや世の中、そして何より従業員も注視しています。
入社式の4つの効果とは?
こうした事例を整理してみると、入社式には多様な活用の仕方があることが分かります。さまざまな考え方があると思いますが、ここではその効果を4つに整理してみました。

① 新入社員との関係構築
入社式の大きな役割のひとつは、何と言っても「新入社員との関係構築」です。前述のように、自社が関わるプロジェクトの一端を入社式で体感してもらうことで、新入社員の理解や関心が深まり、モチベーションの向上にもつながります。CM起用のタレントなど著名人を招くことも、自社の規模やカルチャーに対して誇りを持ってもらうきっかけの一つになります。
何より、新入社員に楽しんでもらおうとする企業の姿勢を示すことが大切です。その姿勢が、「歓迎されている」「本気で向き合ってくれている」といった実感につながり、入社後のエンゲージメント向上にも寄与する可能性があります。
② 社内のエンゲージメント向上
入社式は、新入社員だけでなく、現職の従業員とのエンゲージメントを高める機会にもなり得ます。単にセレモニーを淡々と行うよりも、従業員を含めた会社全体で新入社員を歓迎する姿勢を示すことで、自社への愛着が生まれやすくなります。
また、新入社員向けに自社の強みや資産を発信するコンテンツを用意し、それを全社にも公開することで、従業員一人ひとりが改めて自社の魅力に気付き、モチベーション向上につながる可能性もあります。
③ 社会への発信
メディアは、企業の動きに注目しています。世の中の関心が高まっている社会課題や、社会の変化への自社の考え方や対応を発信することで、メディアに注目してもらう機会が増えます。企業のビジョンや姿勢、目指す姿をメッセージとして発信するだけでなく、アクションに落とし込むことで、より説得力を持って伝えることができます。
④ 学生(就活生)への発信
特にBtoB企業などでは、就活生など学生に対し、社内の雰囲気やカルチャーを知ってもらう機会や発信するネタはなかなかない…という悩みもあると思います。入社式という機会を活用して、式や交流の様子をオウンドメディアなどで発信するだけでも、「こういう規模の企業なんだ」「意外と和やかな文化なんだな」などと、就活生が企業の内側を知るきっかけになります。
入社式を“一度きり”にしないために。準備段階から考えたい広報の視点
こうした多様な効果を踏まえた上で、自社として何を重視すべきかは、広報戦略や組織課題によって異なります。入社式の直前になってから、人事と連携して入社式をきっかけに情報発信しようと思い立っても、社内連携に時間がかかったり、プログラムが既に決まっていたりして、実現できなかった…という声もよく聞きます。
なるべく早い段階で、人事や関連部署と情報を共有しておくことがおすすめです。社内の広報資産として入社式をどう生かすか早めに議論を始めておくことで、より精度の高い準備ができます。
ただし、入社式はあくまで“新入社員のための場”であることを忘れてはいけません。どれだけ発信や演出に力を入れたとしても、主役は新入社員であり、新入社員が楽しみ、自社に愛着を持ってもらうことが最優先です。発信が「新入社員を“利用している”ように見える」ような印象を与えないよう、常に一歩引いた視点と誠実な姿勢が求められます。
電通PRコンサルティングでは、生活者への深いインサイトに基づき、企業の広報活動・ブランド戦略策定・マーケティングをトータルにご支援しています。ぜひお気軽にご相談ください。
※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。
▼Z世代・ミレニアル世代向けメディア「AMP」媒体資料をダウンロード
▼PR視点で企業の思いを届ける制作スタジオ「AMP BRAND HOUSE」サービス資料を見る
▼ビジネスメディア「AMP」のZ世代特集概要をダウンロード
▼関連記事
・「メディアトレンドレポート2026」発表 電通PRコンサルティングが分析する“6つの変化”




