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【メディアプランニング新時代:04】広報部こそ、PR視点でデジタル広告を使いこなそう!



広報部永遠の課題(?)である「パブリシティー」。ハマった時の効果は絶大ですが、「露出するか分からない」「狙ったところで紹介されないかもしれない」「ワンチャンスしかない」など、リリース前の不安は尽きません。そんなパブリシティー活動を補完するだけでなく、相乗効果を生み出すこともできるのが、実は広報部にとって守備範囲外と考えがちな「デジタル広告」。

情報接触環境が変化してきた今、PR視点で活用するデジタル広告は大きな効果を生み出すチャンスがあります。そんなデジタル広告の価値、活用の方法について、当社デジタルアクティベーション部の部長 新井健太が解説します。




目次[非表示]

  1. 1.SNSが重要な位置付けを占める現代の情報環境において「デジタル広告」活用は広報パーソンにとって必須スキルに
  2. 2.「刈り取り」ではなく「起点づくり」で活用するのがPR発想でのデジタル広告活用
  3. 3.電通PRC-PRX事務局からのご案内








SNSが重要な位置付けを占める現代の情報環境において「デジタル広告」活用は広報パーソンにとって必須スキルに



―「広報部も積極的にデジタル広告を使おう」という提言をされていますが、その背景や理由を教えてください。


まず前提として、広報部がマーケティング部のように「従来の広報活動をやめてデジタル広告を徹底的に使いこなしていこう!」という話ではありません(笑)。あくまでデジタル上における情報の影響が大きくなっている中、「広告は広報部の守備範囲外」と切り捨てるのではなく、広報活動の延長線上でできる広告の可能性を見ていこう、という提案をしています。

これまで情報接触のメインであり、パブリシティー対象となっていたテレビや新聞などのマスメディアは、法律と倫理規定によってコンテンツ(記事やニュースなど)と広告が枠や時間で完全に切り分けられています。そこで多くの企業では報道は広報部、広告はマーケティング部の管轄といった形で担当分けをしてきました。しかし、現代は情報収集のメインがWeb・SNSに移ってきて、広報部の業務範囲も従来の報道対応だけでなく、SNSやオウンドメディアの運用にまで広がってきています。

SNSはニュースや友人の投稿だけでなく、広告も「ネイティブ広告」として同じ形で表示されます。その中でユーザーは、 SNS上で表示される投稿がニュースなのか、友人の投稿なのか、広告なのかというより、一つのコンテンツとして「それが自分にとって価値のあるものなのかどうか」をフラットに判断するようになっています。そういった環境を踏まえると、「ユーザーに情報を届ける機会を増やす」という意味で広告という枠もうまく活用する必要が生じているのです。



―「パブリシティー」と「デジタル広告」両方を活用することに対してのメリットをもう少し詳しく教えてください。



先ほどお話ししたように、今やユーザーはニュースなどのコンテンツと広告を明確に分けることなく、「それが自分にとって価値のあるものなのか」を判断するようになっているので、単純に「接触頻度を高める」という意味で、パブリシティーとともに広告を活用することに価値が生じています。

また、それと同じくらい重要なのが従来のパブリシティーが苦手としている「ターゲティング」です。もちろん、「ビジネスパーソンにアプローチしたいので、テレビ経済番組での露出を狙いましょう」といったようなことは言えますが、確率や精度はあまり高くありません。一方、デジタル広告はこのターゲティングセグメントが一番得意な手法です。例えば「Z世代にアプローチしたい」「企業のIT決裁権者にアプローチしたい」というニーズがある場合、パブリシティーだけでクリアするのはなかなか難しいですが、デジタル広告を活用し、年齢や年収、職種などでセグメントして適切なターゲットにアプローチすることで大きな効果を生み出します。

また、ターゲティングができるということは、すなわち関心の高い層にアプローチできるということでもあります。今やメディアもソーシャルメディアを活用した情報収集を実施しており、ターゲットの中にメディア記者や編集者がいることも考えられるため、メディア関係者へのアプローチ機会の一つになっているとも言えるのです。実際ある企業では主催するセミナーの告知を目的にデジタル広告を打ったところ、ニュースリリース経由ではなく広告経由でメディア関係者から取材申し込みがあったというような好事例もありました。







「刈り取り」ではなく「起点づくり」で活用するのがPR発想でのデジタル広告活用



―なるほど。副次的効果として、メディアへのアプローチにも寄与するということですね。ちなみにデジタル広告はどのようなタイミングで活用するのがよいのでしょうか?


話題の「起点づくり」「拡散づくり」「終点づくり」全てのフェーズで活用できるのが特徴ですが、一般的には、デジタル広告といえば顕在顧客の刈り取り、すなわち「終点づくり」での活用が有効であると考えられてきました。もちろんこれは正しいのですが、PR的な発想で言うと潜在顧客の可視化、すなわち「起点づくり」での活用をお勧めしています。

ある商品やサービスのローンチを行う場合、プレスリリースや記者発表会などで情報を発信しますよね。このタイミングでいかに「大きな話題とするか」が、その後の「拡散づくり」につながってくることもあり、重要なポイントとなります。つまり、PRのプランニングをスタートする時点で、
❶ 話題拡大の起点となる、コミュニケーション上の戦略ターゲットを定め、
❷ これをデジタル広告のプランを組み込んで、コミュニケーションを設計しておく事
が効果的です。プランニング段階でデジタル広告活用を考えておけば、広告用にどのようなコンテンツが必要なのかを事前に考えることができ、PRのタイムラインの中でも、効果を発揮できる設計になってきます。

逆に最もよくないのが、「パブリシティーがうまくいかなかったから、広告でカバーしよう」というような使い方です。パブリシティーが一段落したタイミングでプランする時間が必要となり、タイムラグが生じてしまいます。そうなると効果は半減してしまうので気を付けましょう。

自社ニュースによって人々の関心が高まるのを実感したことのある広報担当者であれば、そのタイミングを逃さず連続的に情報接触の機会を作っていくことが重要であることをご理解いただけると思います。





―どのような手法を活用するのがよいのでしょうか?


デジタル広告と一口に言ってもさまざまな手法がありますが、まずはPRの延長線上の発想でできる「インフィード広告」にチャレンジしてみるのがよいと考えています。すでにソーシャルメディアやオウンドメディアを運用している広報部の方も多いのではないでしょうか?その中で自分たちが発信しているコンテンツ、例えばSNSの投稿に広告をかけてブーストしたり、オウンドメディアの個別ページに誘導したり、といった取り組みです。これらはタイムラインや記事フィードの中に表示される形になるため、PR施策との親和性が高い手法と言えます。

プレスリリースやソーシャルメディアの自社アカウント投稿とセットで、このようなインフィード広告にチャレンジしながら、予算に応じてタイアップ記事の制作やインフルエンサーの活用など、プラスアルファ+αの取り組みも視野に入れる形が取り組みやすいのではと考えています。






―ありがとうございます。最後にメッセージをお願いします。


広報部が得意とする「パブリシティー」は話題づくりという意味でも、第三者からの信頼性の付与という意味でも非常に大きな効果を生み出すということは変わりません。しかし情報発信量がこれだけ大きくなり、情報接触の場が変化してきた現代においては、タイミングがワンチャンスに限られ、かつセグメントしにくいパブリシティーのみでは十分な効果を発揮しにくいことも実感されていると思います。

このような環境の中では、広報活動の視野を広げて、PESOメディア全体を踏まえながらパブリシティーと広告をうまく組み合わせて発信していくことが、今や広報部にとって自然であり、必須の取り組みと言えると考えています。私たちは社会性を伴う報道的な視点および広報視点でのプランニング・施策を得意としており、広告の活用も「PRコンテクスト」をベースとしたメディアカテゴリに依存しない最適なコミュニケーションの実現をサポートいたします。

まずは小さな取り組みからでもよいので、ぜひ組み合わせにチャレンジしてみてください。これまでも私たちは多くの企業様とパブリシティーと広告をセットにしたPRプランを設計しています。全体設計から幅広い広告メニュー活用までさまざまなアドバイスができますので、興味を持った方がいらっしゃればお気軽にお問い合わせいただければうれしいです!


※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。




電通PRC-PRX事務局からのご案内


電通PRコンサルティングでは、PRプランナーの皆様に向けたお役立ち資料をご提供しています。その中でも、 今回の記事では特に、PR視点でデジタル広告を活用する意義についてご紹介しました。PR視点でのデジタル広告の活用法や、具体的な活用プログラム例等についてお知りになりたい方は、下記よりダウンロードして、資料をご覧ください。


  PRプランナーのための「デジタル広告」活用メソッド PRにおいて大切なパブリシティ活動。これを補完するだけでなく、戦略的な視点から、相乗効果を生み出す事が出来るのが、実は「デジタル広告」です。情報環境が大きく変化した今、「情報流通デザイン」の「起点」において、特に戦略的効果が期待できる、PRプランナーの為の「デジタル広告」実践的活用メソッドについて解説します。 「PR X」マガジン|すべてのビジネス領域に、PRの技術を|株式会社電通PRコンサルティング


また、この考え方のベースとなる、PRプランナーの必須メソッド「情報流通デザイン」については下記よりご覧ください。


  情報をとどける【PESOデザイン】徹底解説 情報が溢れかえる時代。​企業が良い評判や印象を獲得するために必要な情報のつくり方・届け方とは?​多種多様なメディアの特徴を正しく理解し、組み合わせるプランニングの手法をご紹介します。 「PR X」マガジン|すべてのビジネス領域に、PRの技術を|株式会社電通PRコンサルティング








新井 健太
新井 健太
統合コミュニケーション局 デジタルアクティベーション部 部長/チーフプランナー 2011年、電通パブリックリレーションズ(現 電通PRコンサルティング)入社。PRイベントへのメディア取材動員業務を経て、デジタルセクションに異動しデジタルPR領域の立ち上げに従事。デジタルPR黎明期から、飲料業界・通信業界のクライアントを中心に、年間100案件以上のプロジェクト実施に携わる。その後、デジタルコンテンツ開発、およびそのディストリビューション(情報流通設計)を担当する部署に所属し、オンラインビデオ制作/拡散、オウンドメディア制作などに従事。現在は統合的なPRプランニングを担当。デジタルを起点としたフルファネルアプローチを得意とする。ADFEST、SPIKES ASIA、 ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSなど受賞。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会認定PRプランナー。

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