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「NewsPicks」編集長・佐藤留美氏に聞く、注目トピックと展望  目指す記事は「賛否両論」

電通PRコンサルティングでは、各著名メディアの編集長やプロデューサーにメディアとしての関心事や興味、課題感、問題意識、また新たに取り組まれていることなどをお伺いし、広報担当者のメディアリテラシー力を高めることを目指しています。

今回は、NewsPicks事業執行役員・編集長の佐藤留美氏にインタビューしました。


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佐藤 留美

NewsPicks 事業執行役員/NewsPicks 編集長

青山学院大学文学部卒業後、出版社、人材派遣関連会社勤務を経て、2005年編集企画会社ブックシェルフを設立。「週刊東洋経済」「PRESIDENT(プレジデント)」などに人事、キャリア関連の連載記事を多数執筆。2014年7月からはニューズピックスにて編集部の立ち上げ、プロピッカー制度の設立などに従事。2015年にNewsPicks副編集長就任後、2020年にNewsPicksの姉妹キャリアメディアJobPicksを立ち上げ、編集長に就任。2022年7月より執行役員CCO(Chief Community Officer)を務める。2023年10月NewsPicks編集長に就任。2018年『仕事2.0』を出版するなど著書多数。

 
「NewsPicks」とは?

NewsPicks編集部が作成するオリジナル記事など国内外100以上のメディアのニュースを配信するソーシャル経済メディアです。各業界の著名人や有識者が投稿したコメントとともに、多角的にニュースを読み解くことができます。


目次[非表示]

  1. 1.キュレーション・コメント・コンテンツ…NewsPicks「3つのC」
  2. 2.企画決定の基準にも 「メンタルモデル」とは
  3. 3.目指すのは「賛否両論ある記事」今後の注目トピックは?


キュレーション・コメント・コンテンツ…NewsPicks「3つのC」


―編集長視点で「NewsPicks」の媒体紹介をお願いします!

 「NewsPicks」は、2013年に誕生し、今年で11年目を迎える経済メディアです。NewsPicksの価値は、3つのC(Curation・Comment・Contents)がそろっていることだと考えています。
 
まず、1つ目のキュレーションですが、NewsPicksは現在200以上のメディアと契約しており、キュレーションを行っています。今後は海外メディアとの契約を強化していきたいと考えています。
 
2つ目のコメントについては、プロピッカーによる記事へのコメントですね。固定のプロピッカーだけでなく、例えばAIの盛り上がりに対してAIプロピッカーを新設するなど、その時のイシューに応じた時期型プロピッカーも設けています。
 
そして、3つ目のコンテンツですが、NewsPicksでは記事だけでなく、さらに深掘り解説をする番組や動画コンテンツも力を入れて展開しています。特集は5話で構成することが多いのですが、最近その内の1つには動画を入れるようにしています。

動画の方が情報量が多いので、身振り手振りなどを含めて動画で届けることで、特に人物の魅力が伝わりやすいですね。

キュレーション、コメント、コンテンツ、この3つのCの価値を高め切り、読者にいかに価値を出すかということを常に考えています。


企画決定の基準にも 「メンタルモデル」とは


―編集部について教えてください。 

編集部30人ほどで、4つの班に分かれています。動画班が1つ、ビジネス班が2つ、もう1つがストーリー班といって、キャリアやマネーなど今の時代の潮目の変化を捉えて、それをストーリー調の特集に仕立てるチームです。

記者は半導体担当や金融担当など個人で大きく担当が分かれていて、各チームのリーダーが副編集長を務めています。


―企画を決める基準、過程を教えてください。 

基本的には編集部の全員が企画を出して、まずはチームごとの会議が行われます。そこから通ったものが、私も参加する企画会議に上がってきて、副編集長や編集委員、ベテランの編集者たちと共に、企画を通すかどうか、時期はいつにするかなどを相談しながら決めています。ただ、それだけだとユーザーが求めている今の旬を捉えきれないこともあると思うので、私からこの企画を行ったらどうかとお願いすることもあります。
 
企画を通す基準については、「メンタルモデル」を捉えているかを重視しています。メンタルモデルというのは心理学用語なのですが、無自覚な言語化されていない人々のうずきのような声や思考のことを指します。
 
例えば、今の読者の中にはこのまま日本円だけを稼ぐ暮らしで大丈夫なんだろうかと思っている人が多くいると思っていて、その心の動きを捉えて「NEO出稼ぎ」という見出しを打ち出してみるというようなことです。お客様が内心で欲しているものを出すというシンプルなことですが、非常に重要であると考えています。
 
メンタルモデルを捉えるためには人とたくさん会って話を聞くことが大切だと思うので、そういった意味でも広報ヒアリングなどはできる限り受けた方が良いと記者には伝えています。


目指すのは「賛否両論ある記事」今後の注目トピックは?


―「NewsPicks」ならではの記事のこだわりを教えてください。

他の経済メディアと違うのは、記者が自分のオピニオンを丸出しにするということです。
 
記者が自分の意見を出すことで反対意見も含めてコメントが付くんです。思わず口を出したくなるような記事は「メンタルモデル」を捉えているとも言えますよね。なので、記者には賛否両論のある記事を目指せと日頃から伝えています。
 
また、記者は全てのコメントを読んでいます。コメント欄で「こんなものが見たい」というリクエストが出てきたら、急きょ特集に取材を追加したりすることもあります。


―今後の注目トピック、展望について教えてください。
 
仕事、お金、AIは外せないキーワードですね。
 
AIが仕事を奪うというトピックは5年ほど前からいち早く取材してきましたが、いよいよその時代がやって来たと感じています。
 
お金については、NISAは言うまでもなくですが、学生が投資を始めているような動きも出てきており、引き続き注目しています。また、大きな流れとしてグリーンも無視できないトピックですし、出稼ぎを含めたグローバルにも注目しています。
 
今後の展望としては、「メンタルモデル」の追求ですね。
 
メンタルモデルの移り変わりが早い今の世の中で、それを捉えることと社員のウエルビーイングをどう両立するのかなど、課題は多いと思いますが、全員がメンタルモデルを捉えることができる仕組み作りができたら理想的だなと考えています。

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インタビュー担当:電通PRC 松本みか


※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。


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PRX編集部
PRX編集部
電通グループ内のPR領域における専門会社「電通PRコンサルティング」が運営するオウンドメディアです。1961年の創立以来、国内外の企業、団体をサポートしてきた経験・実績をベースに、電通PRコンサルティングならではの視点で、PRの基礎から最新PRトレンドやソリューションまで幅広くお届けします。

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