【Z世代トレンド】400人調査で判明!消費行動のカギは「自分軸」と「信頼感」

Z世代の消費行動や価値観は、これまでの世代とは異なるといわれます。しかし、Z世代のトレンドで語られる「サステナビリティ重視」「広告嫌い」といったイメージは、本当に正しいのでしょうか?

Z世代やミレニアル世代など若年層のビジネスパーソン向けのメディア「AMP」が実施したZ世代の調査(対象:400人)では、Z世代の消費行動に関する意外な実態が明らかになりました。

今回は、AMPの編集長・堀部祐太朗が、最新の調査データをもとに、Z世代の消費行動の実態を解説。さらに、企業がZ世代へのアプローチを成功させるためのマーケティング・コミュニケーション戦略のヒントを紹介します。

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目次[非表示]

  1. 1.「Z世代のイメージ」は思い込み?実態を調査
  2. 2.【Z世代 調査】400人アンケートで判明!消費行動の意外な基準
    1. 2.1.⚫︎サステナブルよりコスパ・金額重視
    2. 2.2.⚫︎“広告嫌い”というより“内容重視”
    3. 2.3.⚫︎口コミやレビューなどリアルな声を重視
    4. 2.4.⚫︎自分ゴト化には、デザイン性と世界観、信頼性が大事
  3. 3.Z世代調査で分かった コミュニケーション設計3つのポイント
    1. 3.1.広告を自然な情報接触の一つとして設計
    2. 3.2.文脈に沿ったインフルエンサーとの連携
    3. 3.3.共感を生む、デザイン性と信頼性の高さが必要
  4. 4.まとめ:“リアルな”Z世代を知り「共感」から始める


「Z世代のイメージ」は思い込み?実態を調査


Z世代とは、1990年代後半から2010年代初頭に生まれたデジタルネイティブ世代を指します。他世代と比較して、SNSを中心とした情報収集を行い、多様性や個人の価値観を重視しているといわれています。

「Z世代のステレオタイプ」として、次のようなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

・自己表現や多様性を重視
・サステナビリティへの意識が高い
・SNSネイティブで情報収集が得意
・オンラインでの購買行動が中心
・広告を嫌う傾向がある

これらには当たっている部分もありますが、Z世代の本人たちからは「イメージが先行している」「実態とは違う」という声も聞かれます。そこでAMPではZ世代の消費行動の把握につながる調査を行いました。

【調査概要】
調査期間:2024年12月5日~6日
調査機関:QiQUMO
調査方法:インターネットによる任意回答
有効回答数:400人(男性200人/女性200人)
回答者の年代:10代 50%/20代 50%


【Z世代 調査】400人アンケートで判明!消費行動の意外な基準


⚫︎サステナブルよりコスパ・金額重視

まず、商品やサービスを選ぶ際の重要なポイントを聞きました。すると、「サステナビリティ(環境配慮)」と答えたのは、全体のなんと2.8%。サステナブルな取り組みに一定の関心を示す層はいるものの、半数以上が「価格」(51.3%)、次に「機能性や実用性」(14.8 %)と、実利的な要素を重視していました。


⚫︎“広告嫌い”というより“内容重視”

次に、「Z世代は広告を嫌う傾向がある」という思い込みについて、確かめてみましょう。
広告に対する態度や行動を質問しました(複数回答可)。
「途中で広告だと気づいた場合、内容によっては見るのをやめる」が25.0%だったのに対し、「広告かどうかは気にせず、興味があれば見る」が23.5%と、ほぼ同率でした。
つまり、広告そのものを否定的に捉えているわけではなく、内容に興味を持てるかどうかを判断軸にしていることが分かります。


さらにZ世代が広告に対して、どのくらい信頼を寄せているか、深掘りしました。

広告を「信頼している」と答えた層が約4割(39.8%)、「どちらでもない」層も約4割(39.5%)を占め、「信頼していない」層は約2割(20.7%)にとどまりました。

この数字から、Z世代は広告に対して「ある程度は信用するが、全面的に信じているわけではない」という、中立的な価値観を持っていると考えられます。

では、どのような広告の内容なら、信頼できるのでしょうか?

広告を「信頼している」層に、「信頼できる広告の内容」を質問しました(複数回答可)。
一番多かったのは「誇張された表現がない」(36.5%)、続けて「過去に利用して良い印象を持ったブランドである」(30.8%)、「実際の利用者の声が含まれている」(28.9%)、「製品やサービスの詳細が具体的に記載されている」(28.3%)でした。

Z世代から信頼を得る広告とは、誇張表現がないことに加え、利用者の声や丁寧な解説といった「判断を失敗しないための情報」が鍵になることが分かります。


逆に、広告に不信感を抱く場合はどういった理由なのでしょうか?

広告を「信頼していない」と答えた人にその理由を聞くと、TOP3は以下のような回答になりました。

・1位:内容が誇張されていると感じる(32.5%)
・2位:広告の出所が不明確(13.3%)
・3位:具体的な事実やデータが不足している(12.0%)

誇張された表現や不十分な情報を嫌がる傾向は、広告を信頼する層と同様と言えます。加えて、過剰な広告表示も信頼性を下げる要因になるため、押しつけがましくない広告が必要と言えるでしょう。

⚫︎口コミやレビューなどリアルな声を重視

Z世代が最も信頼する情報とは何でしょうか?

「SNSネイティブで情報収集が得意」「オンラインを中心に商品を購入する」といった特徴をイメージされがちなZ世代ですが、アンケート結果を見ると異なる一面が見えてきます。

「興味を持つきっかけ」を聞いたところ、以下の結果になりました(複数回答可)。

・1位:友人や家族からの情報・意見(38.0%)
・2位:SNSの投稿やレビュー(37.3%)
・3位:インフルエンサーからの情報・意見(33.8%)
・4位:実店舗で触れた情報(30.8%)
・5位:TV(番組・CM)(27.8%)

SNSの情報だけでなく、友人や家族、実店舗といったアナログな情報も、Z世代にとって大事な情報源だと分かります。

次に、購入時に参考にする情報源を質問しました(複数回答可)。

・1位:SNSの投稿やレビュー(34.3%)
・2位:友人や家族からの情報・意見(32.0%)
・3位:実店舗で触れた情報(31.5%)
・4位:インフルエンサーからの情報・意見(26.8%)
・5位:オンラインショップのレビュー(16.3%)

先ほどの、興味を持つきっかけと、ほぼ同じ回答が並びました。

興味深いのは、口コミやレビュー、インフルエンサーの情報をかなり信頼する一方で、「専門家・有識者の意見」(11.3%)はあまり参考にしない点です。

つまり、Z世代は「リアルな声」を重視していることが分かります。実際に使った人の感想や、日頃から信頼関係のある人の意見を特に大切にしています。

さらに特徴的なのは、判断軸が「自分の納得感」にあることです。

「自分でSNSから見つけた情報」(商品に対するフラットな意見)
「自分で実際に行ってみた体験」(手触り感やリアル感)
「自分が信頼する人の意見」(友人や信頼するインフルエンサー)
といった、さまざまな情報をどう集めてかみ砕けばいいかを理解しているようです。

「誰かが言っているから」だけではなく、「自分が納得できるから」信じる——
そんなZ世代の情報との向き合い方が見えてきます。

⚫︎自分ゴト化には、デザイン性と世界観、信頼性が大事

広告に対しZ世代からの信頼を高めるためには「ユーザーの声」が重要なことや、Z世代には“自分”を軸に置いた判断傾向があることが分かりました。

では、どうしたらZ世代に“自分ゴト”として捉えてもらえるのでしょうか。

そこで、ブランドや商品・サービスに対して共感や親近感を抱く瞬間を質問しました(複数回答可)。

突出して多かったのは、「デザインや世界観が自分に合っていたとき」(44.5%)「実際のユーザーの声を聞いたとき」(43.3%)という回答結果となりました。

さらに、「広告を閲覧・クリック・シェアしたくなる理由」を質問したところ、以下の回答がTOP3を占めました(複数回答可)。

・1位:お得なキャンペーンや特典の明記(24.5%)
・2位:デザイン性の高さ・美しいビジュアル(22.0%)
・3位:知っているブランド・信頼できる企業の発信(21.0%)

自分の価値観を大切にするZ世代は、自分を体現する「デザイン性」、そして失敗したくないからこその「ユーザーの声」や「企業/ブランドの信頼性」を重視しているという推測ができます。
“自分ゴト”と捉えてもらい、共感を得るためには、このポイントが大事な要素になりそうです。


Z世代調査で分かった コミュニケーション設計3つのポイント


調査で分かったリアルなZ世代像をヒントに、コミュニケーション設計する上で大切なポイントを整理してみます。

広告を自然な情報接触の一つとして設計

Z世代は広告そのものを否定的には捉えていません。重要なのは、YouTubeやInstagramなど、日常的に利用するプラットフォームにおいて、押しつけがましくない形で情報提供することです。
特に信頼を損なわないよう、誇張した表現や過剰な広告表示は避けるべきですし、判断材料になるような丁寧な説明や利用者の声も大切です。

文脈に沿ったインフルエンサーとの連携

Z世代はリアルな声と、信頼している人からの情報を頼りにしていることが分かりました。そこで企業がアプローチしたい層から親近感を持たれているインフルエンサーと連携することも一つの手です。

ここでは、インフルエンサーの影響力だけでなく、その人が持つ文脈やファンとの関係性などもしっかり汲み取った上で連携することが重要になります。単なる商品紹介にとどまらず、企画段階からインフルエンサーと協力し、普段のその人らしさを尊重しながらコンテンツを作ることで、より商品に対する“リアル”さを引き出すことができます。

共感を生む、デザイン性と信頼性の高さが必要

調査では、「デザインや世界観が自分に合っていたとき」に共感や親近感を抱くという結果が出ています。ただしクオリティーといった点では、AIの普及などにより高品質なクリエイティブが世にあふれ、表面的な「かっこよさ」にユーザーも見慣れてきています。

そのため企業は、デザイン性、クオリティーの高さはもちろん、その商品やブランドに適した世界観で魅力を伝えて「共感」を得るとともに、ブランドの背景やストーリーを丁寧に伝えることで信頼関係を築くことが求められます。また信頼できる情報として、実際のユーザーの声やインフルエンサーなど“身近な声”を活用し“リアル感”を反映するといいかもしれません。


まとめ:“リアルな”Z世代を知り「共感」から始める


Z世代はコスパを重視しながらも、自分に価値観の判断軸を置き、身近な人やリアルな声の情報発信を信頼しながら、フラットな視点で判断、行動していることが分かりました。

そのために企業は、マスマーケティング的な一方通行のアプローチではなく、“リアルな”Z世代を知り「共感」から始める双方向のコミュニケーションが重要です。

つまり企業の取り組みにおいて、生活者の関心や興味から逆算して、文脈・語り口を考えていく「PR思考」が大切と言えます。

PR思考についてもっと知りたい方は、こちらの記事がおススメです。

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※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。


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