【ニュースになる会社/ならない会社】PRストーリー設計の秘密、教えます。
#テレビPRプロモーターチームが秘伝のノウハウ公開
#PRストーリー設計は共創クリエイティブ
テレビや新聞などの「経済ニュース」や「情報コーナー」で自社の取り組みや商品、サービスを取り上げてもらうこと。広報パーソンにとっては一番の腕の見せどころであり、やりがいを感じられる場面かもしれません。しかし、ニュースに取り上げられることは非常に難しく、さらにコロナ禍で、メディアの編集・制作傾向に大きな変化が生じていることも、注視しなければなりません。
そこで今回は、長年、テレビプロモーターとして活躍してきた実績を持つ、当社の萩原裕一朗と今井慎之助とが、「ニュースになるPR文脈の創造術」や最近の取り組みについて紹介します。
今井は現在も現役のテレビプロモーターとして活躍しながら、組織横断型プランニング専門チーム「PRX Studio-Q」の一員としても活動。最近ではニューノーマルPRの構築にも従事しています。また萩原は、長年のテレビプロモーターとしての実績を武器に、現在、当社関西支社の一員として、テレビの現場で得た「知恵」を体系的に整理して、お客様に適したPRストーリーの提案を行っています。
また、PRストーリー設計に関するポイントをまとめた「お役立ち資料」も制作しました。無料でダウンロードいただけますので、是非日々のPR活動やメディアリレーション活動、マーケティング活動にお役立てください。
目次[非表示]
テレビで紹介されることの価値と情報流通構造®
―まず、テレビに取り上げられることの効果について教えてください
萩原
全国に放送網があり、世代問わず一斉に情報を伝えられるテレビ。国内で最も影響力があるメディアであるといえます。最近はWebを中心にさまざまなメディアが台頭してきているとはいえ、そのカバー率はとても大きく、「テレビに取り上げられただけで、商品の棚が空になった」という事例も数多くあります。
―やはりテレビは今でも影響力が強いんですね!
萩原
さらに、テレビに紹介されたことの2次効果に注目している企業も多くあります。テレビが発信元となり、WebニュースやSNSなどでピックアップされるケースも数多く、メディアtoメディアの「情報流通構造®」においても、ますます重要なポジションになってきているように思います。インターネットの検索トレンドに上がったキーワードを調べると、その発信元はテレビだったというケースも珍しくありません。
今井
この事は、テレビ番組で紹介されることがメディアPR活動のゴールではない事を意味していると考えています。テレビ番組で報道された内容が起点となって、そこに新しい情報や個人の感想を加えられることで、WebメディアやSNSで2次的に話題を拡大。直接的な関心層ではなかった方々をも巻き込んで、その紹介文脈の幅を広げながら、話題として成長し、再度、新たな切り口でテレビで紹介される事も少なくありません。情報流通構造の重層化が進む現在のメディア環境において、これをデザインしていく際には、以前にも増して、テレビの持つ影響力の強さから目が離せないと考えています。
なお、私も参加する、組織横断型プランニング専門チーム「PRX Studio-Q」では、この情報流通構造®の研究を行っています。「情報が広がる仕組み」と「情報流通デザインのポイント」をまとめた記事(※1)も公開していますので、是非ご覧ください。
萩原
また、対生活者以外でのコミュニケーションに生かしている事例もあります。ある企業では、「テレビで紹介されたことで新しい棚が取れた」など営業活動に活用していたり、「社員のモチベーションアップにつながった」といったインナーコミュニケーションに役立てているという話もあり、テレビの影響力の大きさを改めて感じているところです。
(※1)情報流通構造における、情報が広がる仕組みについては、こちらをご参照ください。
【徹底解説】情報流通構造®~PR戦略に欠かせない「情報が広がる仕組み」とデザイン
組織横断型プランニング専門チーム「PRX Studio-Q」について
メディアプロモーターは「ストーリーテラー」
―ところで「テレビプロモーター」はじめ「メディアプロモーター」とはどのような仕事なのでしょうか?
今井
一般的にテレビプロモーターはじめとする、メディアプロモーターは「企業の商品やサービスなどの情報を番組担当者に伝え、取り上げてもらうための交渉をする仕事」というイメージが強いかなと思います。しかし、意外かもしれませんが、交渉だけではなく、番組担当者の皆さんにも喜んでいただける、ストーリーづくりに注力することが最も大切な仕事だと認識しています。
というのも、テレビ番組が求めているのは、企業の商品やサービス単体の情報ではなく、「視聴者にとって価値のある情報」なんですよね。私たちはクライアントの情報をこの「視聴者にとって価値のある」ものとするためのストーリーづくりのプロとして活動しています 。手紙を配達するだけではなく、その手紙をわかりやすく、魅力的に書くという役割も担っているということですね。
全テレビ番組の「社会ニュース番組化」に注目
―なるほど。企業の商品やサービスを魅力的に見せるための「ストーリーテラー」の役割を果たしているんですね。ちなみに日ごろ、テレビ番組と接していて、何か感じることはありますか?
萩原
番組の構成が大きく変わってきていることを感じますね。以前からその傾向がありましたが、コロナ禍を経てより強くなってきたのが、「全番組の社会ニュース番組化」です。以前は生活情報番組なども多く存在していましたが、最近は全体的に減少傾向。そのかわり、いわゆる社会ニュースに時間を多く使おうと考える番組の数が増えてきました。これはコロナ禍を経て、「視聴者の社会ニュースへの意識が高まってきた」と局や番組側が捉えているからだと考えます 。
―商品紹介なども多かった生活情報番組の減少は、企業にとっても頭の痛い話ですね。
今井
そうですね。シンプルに企業の商品やサービスを紹介するコーナーは激減しています。報道番組で取り上げてもらうには番組の意図を理解し、それに合わせた情報を提供することが必要です。
なお、テレビに限らず、企業情報を取り上げる担当者にプロモートする際に必ず言われることが以下の3点です。
1. 企業の宣伝はできない。
2. 社会の現象(今起きていること)を伝える。その一事例としての企業の取り組みであれば取り上げられる。
3. 世の中の困っている人(社会の課題)を解決する情報は積極的に出す(公共の利益に値する情報であることが重要)。
つまり、「社会の現象(トレンドや社会課題)に向けた、企業の新たな取り組み」として伝えるストーリーづくりが重要になってきているのです。
「ストーリーづくり」に必要な視点と3大原則
―ストーリーづくりに必要なことを教えてください。
今井
一番は企業の商品・サービスを超え、社会視点で考えることですね。
❶その時に必要なのが報道するきっかけとなる「季節・時節性+社会(業界)の課題」、
❷取り組みの狙いを伝える「社会性のあるストーリー」、
❸そしてニュースには欠かせない「新規性」という3つの視点です。
更に、テレビの場合は「絵になる」事も欠かせません。説明を最小限に、動画でしっかり伝えることが出来るための、「絵づくり」が求められます。最近はテレビ局からの「放送」に加えて、番組Webサイトからのインターネット動画として発信される事も多くなっています。この動画はさらに、別のWebメディアやSNSでも紹介されやすくなっているため、この「絵づくり」の重要性はますます高まっていると言えます。
これらの要素を整理した上で、企業の情報をどのように位置づけるかを考えていくというステップを踏むことが大切です。
―紹介いただいた視点の中でも「新規性」については、そもそも広報担当者が設定できる可能性が少ないのではないのでしょうか?
萩原
とても良い、そして、とても難しい質問だと思います。往々にして、我々のような外部のPR会社に相談を頂く場合は、この「新規性」が担保されていることが多いのですが、企業の社会活動が活発化するなか、「新規性」が見当たらない「活動」や「商品・サービス」をテーマにしたご相談も増えています。
「じゃあ、どうするの?」という事ですね。これについては、当社のPRプランナーやテレビ/メディアプロモーターが日夜取り組み、お客様やメディアの皆さんに提案している、メソッドがあります。一言でいえば、「視点を変えて、新規性を発見する」という事。もちろん、お客さまの「コミュニケーション投資」のKPI達成に貢献できる形である事も忘れてはいけません。詳しくは、ぜひ一緒にお仕事をする中で、具体的にご紹介させてください。
PRストーリーづくりの3大原則
PRストーリー設計の秘密は「共創クリエイティブ」にあり
―商品・サービスの情報だけでなく、「企業の取り組み」「社会の話題」へと昇華させる形が必要ということですね。おふたりは、どのようなことを考えてストーリーづくりをしていますか?
萩原
私がいつも一番に考えているのは、「その企業がカッコよく、魅力的に見えるためにはどうすればよいか?」ということです。言い換えると、「『企業の使命が、社会課題の解決にある』ということを理解してもらうために、何ができるのか?」と言ってもよいでしょう。ある社会的な課題に対して、真っ先に立ち向かうヒーローは、みんなが応援してくれますし、魅力的だと感じるので、そのような構図に、企業とその取り組みが当てはまるかを、まず考えます。
これはテレビに限らず、新聞やWebニュースなど経済ニュースを扱うメディアはどこも同じです。視聴者や読者が「共感できるストーリー」をつくる意識をもって取り組むことがとても大切ですね。
―社会課題に立ち向かうヒーローとしての「企業」という視点はわかりやすいですね。ちなみにストーリーづくりのスキルを鍛えるために取り組んでいることはありますか?
萩原
当たり前の話ですが、「ニュース番組を徹底的に見る」ということです。特にテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」はストーリーを作る上での「型」を学ぶためには最適です。私たちの会社でも、新たに配属される人にはまずはWBSを毎日見るように伝えています。また、Webニュースのコメント欄を見ながら「こういう打ち出し方だとこういうコメントがつくのか」ということをチェックすることも、生活者の反応を見る上で参考になりますね。
今井
「自分のことは自分が一番よくわからないものである」という言葉があります。これは、ヘーゲル哲学に由来する言葉(「小論理学」岩波文庫)だと言われています。「うちの商品ってそんなに魅力がないから・・」「新商品じゃないから・・」など、それぞれいろいろな悩みを抱えている企業の担当者は少なくないと思います。しかし、メディアプロモート、PRプランナーの立場からら見ていて「それってものすごく魅力的なポイントですよ!」と言いたくなることが本当によくあります。
当社のテレビプロモーション専門チームや、メディアプロモーション専門チームはもちろん、お客様に寄り添うプランニング・セクションの担当者もみんな、社会的な視点を持って、隠れた魅力を見つけ・引き出すプロフェッショナルとして活動をしています。PRストーリーの設計に困ったときには、ぜひ、ご相談ください。
萩原
ストーリーづくりは一人ではなく、多くの視点があることが本当に重要です。担当者ひとり、広報部単独で悩むのではなく、多くの部局の方々や、社内外の方々も巻き込むことが肝要であると考えています。もし当社にご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ一緒に、PRストーリーの共創クリエイティブをしましょう!
電通PRコンサルティングのテレビプロモーション専門チームにご相談ください。
(情報流通デザイン局ソリューションデザイン5部)
※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。
当記事でもご紹介しております、PRストーリー設計に関するポイントをまとめた「お役立ち資料」も制作しました。無料でダウンロードいただけますので、是非日々のPR活動やメディアリレーション活動、マーケティング活動にお役立てください。
関連記事:ハフポスト日本版泉谷編集長に聞く「コロナ禍で激変したメディアと広報の関係性」