【調査PR 活用事例】リリースのタイミングは?「モーメント」で成果を最大化

データを活用した「調査PR」には、多くのメリットがあります。

開発した「データコンテンツ」をしっかりと生活者に届けるには、どのようなタイミングで企画し、発信していくのがよいのでしょうか。

1年以上にわたる、調査PRの「最新掲載実態調査」と「モーメントカレンダー」を基に、 電通PRコンサルティング データストラテジー部の齋藤大輔が紹介します。


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目次[非表示]

  1. 1.タイミングで「調査PR」効果を最大化する!
  2. 2.モーメントから逆算する調査設計


タイミングで「調査PR」効果を最大化する!


―調査PRを行うとき「モーメントが重要」とのお話ですが、その理由を教えてください。

企業が情報を発信するときの目的は、ターゲットを中心に多くの人に企業や商品・サービスについて知ってもらうことです。その際に効果的なのが、テレビやWebなどのメディアにニュースとして取り上げてもらうこと。つまり、データコンテンツを活用したPR活動においても「メディアが取り上げたくなる」モーメント(きっかけ)を見計らって情報を発信することが重要になります。
 
この「メディアが取り上げたくなる」モーメントは、大きく分けると以下の4つが挙げられます。

  1. 「○○の日」などの記念日(●●週間・月間などの強化期間も)
  2. 年次イベントの前後(お花見、夏休み、受験、忘年会、クリスマスなど)
  3. 季節の変わり目、年度の切り替わり
  4. 社会的トレンド、ニュースのタイミング

―そのような背景を踏まえて、今回ご紹介いただく「調査PRモーメントカレンダー」は開発されたのですね。カレンダーについて詳しく教えてください。

開発のきっかけは、調査PRを数多く行う私たち自身の研究でした。年間を通して、どのようなモーメントで、どのような内容でメディアに取り上げられているのかを研究しようということで調査を開始。「Yahoo!ニュース」で取り上げられている調査関連の記事を1年間を通して毎日チェックし、カレンダー化していきました。どのようなモーメントでの露出が多いのか、各モーメントでどのような調査内容が出ているのか、モーメントとの掛け合わせでよく出るキーワードは何かといったようなことまで分析を行っています。
 
結果、その年の社会的環境の変化や世論を反映して、当初の予想とは異なるとてもユニークな結果が得られたと考えています。また、「Yahoo!ニュース」読者の興味・関心傾向を捉えた結果になっていると言ってよいかもしれません。このカレンダーを開発したことによって、クライアントの皆さんとディスカッションするときも年間を通して俯瞰(ふかん)し、モーメントと商品やサービスと掛け合わせた調査設計ができるようになるなど、大きな効果が出ています。


モーメントから逆算する調査設計


―Yahoo!ニュースではどのようなテーマが取り上げられやすいのでしょうか?

皆さんもよく知る「こどもの日」や「ひな祭り」は意外にも話題に上らず、「防災の日」や「敬老の日」「いい夫婦の日」といったモーメントが数多く取り上げられました。
 
また、上位に入ったテーマは「働き方」「お金」「子ども」「健康」「食」などに関する調査です。これらは年間を通して関心が高いキーワードですが、その内容には特徴があり、その多くが「子育て〜シニア世代」を対象とした話題として取り上げられているのです。

働き方や健康といったそもそもこの世代に関心の高いテーマはもちろんのこと、お金関連では投資・資産形成や終活・葬儀費用、美容関連ではアンチエイジングや白髪に関する話題など、そのカテゴリの中でも同世代が注目するようなテーマが多く露出しています。
 
一方、Z世代関連のニュースも多く取り上げられています。ただし、Z世代自身ではなく、「今の若者層はこう」というような、年上の世代が関心を持つニュースになっているのが特徴的です。

―なるほど。Yahoo!ニュースの読者層が見えてくる結果となっているのですね。その他特徴はありましたか?

モーメントと一口に言っても時代とともにその関心が変わってくることもあります。例えば最近注目されているのが、春と秋にある「睡眠の日」。以前はほとんど話題になりませんでしたが、今年は数多くの調査データが紹介されました。市場の拡大とともにモーメントが有名になった例と言えます。
 
さらに、同じモーメントでも時代を通して変化があります。以前からよく取り上げられていた「バレンタイン」ですが、ここ最近はそれほど多くありません。これは「女性から男性に思いを伝える日」として多くの方が関心のあったところから、「女性から女性へ(友チョコ)」、そして最近では「自分へのご褒美」という形に変化していき、関心の対象が狭まっていったことが理由と考えています。
 
最近で言うと、ChatGPTなども当初は「すごいサービスが上陸してきた」という論調がほとんどでしたが、徐々にそのリスクについて語られるケースが増えるなど、取り上げられ方が変わってきています。
 
このように、時代や世論、興味関心とともに、取り上げられやすさや取り上げられ方も変わってくるということを意識して設計していきましょう。

―モーメントカレンダーはどのように活用するのがよいでしょうか?

「カレンダーを見て、発表する‘タイミング’を決める」というパターンと、「カレンダーを見て、発表する‘内容’を決める」という2つの使い方があります。
 
■「カレンダーを見て、発表する‘タイミング’を決める」
訴求したい商品やサービス、テーマがある程度決まっている場合は、それに合わせられるモーメントを選定し、調査を設計していく形になります。例えば「家事」をテーマとした調査を発信したいと考えた場合、11月22日の「いい夫婦の日」や4月22日の「よい夫婦の日」などがその対象になります。
 
■「カレンダーを見て、発表する‘内容’を決める」
一方、テーマは決まっていない場合でも活用できます。カレンダーを見ながら、商品やサービスと掛け合わせ「この時期だったらニュースになりそうなのはこの切り口」という形で検討していくのです。

盛り込むモーメントは一つでなくてもかまいません。例えば全体のテーマを「家事」とし、4月22日のよい夫婦の日に向けて情報発信することを決めたとします。その中に、「家事にかけるお金」「子どものお手伝い」など、先ほど紹介した取り上げられやすいキーワードを盛り込んだ調査設計を行うと、各メディアがそれぞれの関心に応じた切り口で取り上げやすくなるのです。どのような露出を目指していくかを忘れてはいけませんが、数多く取り上げてもらうテクニックとして覚えておきましょう。

―調査企画はいつごろから取り組むのがいいのでしょうか?
 
調査企画から設計、リリースの完成までに2〜3カ月見ておくとよいでしょう。企画開始のタイミングはリリースの発信をいつにするか?を念頭に置くことが必要です。
 
例えば防災の日やいい夫婦の日などはほとんどが直前〜当日のみが対象となります。一方大型連休やクリスマスなどは事前に情報収集や準備をする人も多いため、1~2カ月前から話題になることも少なくありません。これらを踏まえ、企画をスタートするタイミングを決めていく必要があります。
 
―ありがとうございます。最後に読者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。 
 
新商品や新サービスなどを発表するときはさまざまな情報発信の機会がありますが、発表してから時間がたっているもの、ロングセラー商品などは改めて話題にするためのきっかけをつくるのに苦労されるケースも多いかと思います。これまでお話ししてきたように、調査はモーメントを踏まえながら柔軟に設計し、年間を通してコンテンツ化することができます。数多くの調査PRのためのデータコンテンツを生み出してきた私たちに、お気軽に相談ください! 

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。


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齋藤 大輔
齋藤 大輔
株式会社電通PRコンサルティング データストラテジー部所属。2021年に新卒で入社。以降、調査を起点としたPR業務に従事。 調査リリースを中心に、報道論調分析やファクトブック制作、ソーシャルリスニング、メディアヒアリングなどを行う。 Yahoo!ニュースに掲載されている調査PR事例をモニタリングし、モーメント・トピックごとの分析を行う事例集の作成を担当。 そのモニタリングを通じて得られたトレンドやキーワードを生かして調査企画の立案を行う。

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