【調査PR 徹底攻略01】PRで「データ」を活用する~課題や兆しをあぶり出す「調査PR」
広告だけでなく、SNSやオウンドメディアなど、自社から発信する手法も数多くある中、自社の取り組みに対して、「世の中ゴト」として注目を集めていくためには、テレビや新聞、雑誌などマスメディアで紹介してもらいたいもの。しかし、ニュースリリースを一生懸命作って送っても、なかなか取り上げてもらえないのは今も昔も変わりません。
また、「うちは定番商品がメインでリリースにできるような新しい情報がない… 」といったようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
そんな時には「データコンテンツ」の活用、すなわち「調査PR」を考えてみませんか?
今回は、PESOメディアでの情報発信の効果を最大化し、社会的承認や合意形成を獲得するPR手法である「調査PR」徹底攻略シリーズ第1回として、「データ」を「コンテンツ」として活用することのメリットや具体的手法について、電通PRコンサルティングのデータストラテジー コンサルタント 酒井繁が紹介します。
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社会現象や兆し、社会課題をあぶり出す「データコンテンツ」
―PRにおいて「データを活用する」とはどのようなことでしょうか?
通常、メディアに向けて情報提供する際、リリースを作成してメディアに配信します。しかし、リリースは各メディアに1日何百通も届くこともあり、「なかなか取り上げてもらえない…」という悩みを持っている広報担当者は多いと思います。そもそも、年に何回も新商品やサービスをローンチできる企業はそう多くありません。そういった広報担当者の方に「データ」を活用することを提案しています。数字の羅列のように見えるデータも、うまく活用することで大きな効力を発揮するのです。
―データにはどのような効果があるのでしょうか?
まず、「メディアに取り上げられる」ためにはどうするかから考えてみましょう。これは当社がまとめた「ニュースになる3つの要素」です。
「ニュースになる3つに要素」について、
詳しくはこちらの記事をご覧ください
前提として、メディアは企業の宣伝はできません。社会の現象(今起きていること)を伝えることを使命としています。また、世の中の困りごと(社会の課題)を解決する情報は積極的に取り扱う傾向があります。その一事例としてであれば、企業のサービスや商品を取り上げることができるのです。データの効果はいろいろありますが、この「社会性のあるストーリー・社会課題が見える化できる」というところが大きいと考えています。
例えば最近、政府や企業が進める少子化対策の影響もあって「男性育休」というキーワードが広まっていますよね。でも、実際のところ「どのくらいの人が育休を取っているのか」や「以前と比べてどのくらい育休取得者数が伸びているのか」は分かりません。しかし、その時に育休取得率や時系列での推移といったデータを見ると一目瞭然です。データに特徴があれば、メディアとしても「今取り上げるべき」と判断する材料になります。子育てに関連する商品やサービスを提供する企業がこのような情報を出していけば、調査データとともに事例として紹介してもらえる可能性が生まれるのです。
また、トレンドの「兆し」を生み出すことができるのも調査データの魅力です。例えばバレンタイン。以前は「女性が男性に対して、チョコレートとともに思いを伝える」イベントとして認知されていましたが、10年ほど前に「女性が同性の友達にチョコレートをプレゼントする」という兆しが調査データで明らかにされ、「友チョコ」というトレンドが生み出されました。最近では「自分へのごほうび」としての意味合いも強くなっているので、それに合わせて企業は商品開発やサービスを行っています。自社商品が定番商品であり、なかなかニュース性を生み出せない場合、こういった「トレンドの兆し」をデータによって把握し、それにマッチする商品として、商品やブランドの価値や意味を「リポジショニング」していくことが可能になります。
「データ」の説得力と「コンテンツ」としての魅力
―「データコンテンツ活用」には具体的にどのような手法がありますか?
「データコンテンツ活用」とは、企業が発信する情報に「データ」の説得力と「コンテンツ」としての面白さの両方を持たせて生活者に届けるPR手法全般のことを指します。先ほど、データを「うまく」活用すれば効果を発揮するとお話ししましたが、情報過多の現代では、たいていの調査やデータは読み飛ばされてしまいます。ですので、PRで活用する際にはこの「コンテンツとしての面白さ」を生み出せるような「ストーリー」設計に寄与する工夫を凝らすことが重要です。
具体的には、企業が自社のサービスや商品に関連する調査を実施し、プレスリリースとして配信する「調査リリース」を活用しながら、さまざまなPR施策を展開していく形になります。“今”企業が伝えたいことと、生活者の知りたい世の中の“今”をコンテンツとしてまとめたものが調査リリースです。つまり、企業による一方的な発信にならず「生活者の知りたいこと」を調査で導き出すことが重要になるのです。
調査リリースは「データコンテンツの三段論法」を使って作成しよう
―調査リリースの制作のポイントを教えてください
調査リリースを制作する際に最も気をつけるべきポイントは、単純に調査結果を並べるのではなく、全体で伝えたいメッセージを意識しながら「内容にストーリー性を持たせること」です。そのため、調査設計時からどのようなストーリーにしたいかというアウトプットのイメージを意識することが重要です。絶対に「とりあえず調査しよう」という形で進めるのはやめましょう。そのために、「データコンテンツの三段論法」を使って作成することをお勧めしています。
現状の提示(世の中ゴト)
世の中の現状を広く捉えた調査データの紹介。読者に「うん、そうだよね」「やっぱりみんなこう思ってるんだ」と感じてもらうためのフェーズです。
例:「自粛期間で料理をする頻度が〇%増加」など。
課題(悩み/意識)の提示
「現状の提示」のトレンドをさらに深掘りし、焦点を絞っていきます。読者に「え!そうなの?」「確かに言われてみればそうだ」という、「驚き」を与えることを意識しましょう。
例:「テレワーク中の料理の悩みは『買い出しに行く時間がない』」
解決策の提示(商品やサービスへの落とし込み)
「課題の提示」で深掘りした生活者や世の中の課題感に対しての解決策に導きます。読者に「これは生活者目線で考えられたサービスなんだ」「この会社は世の中のためになることをしているんだ」と感じてもらえるような内容にしていきます。
例:「定期的に食材が家に届いてほしいと思うと答えた人は〇%」
このような形で逆三角形をイメージしながら「社会の現状→課題→解決策」という形で組み立てていくと、インパクトがあり、かつ関心を持たれやすいストーリーを生み出すことができるのです。
―「データコンテンツの三段論法」、非常に分かりやすい流れですね!そのほか、気を付けるポイントがあれば教えてください
調査リリースもプレスリリースの一種なので、メディアに関心を持ってもらうため、見出しにインパクトを持たせられるかというところはしっかりと考えていかなければなりません。また企業の宣伝だけにならず、社会性を持たせることも重要です。
もちろん、データの正確さはいうまでもありません。調査結果に対する理由づけは十分か、グラフは正確で見やすいか、調査概要は明記されているかといった点には十分注意しましょう。
※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。
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