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メディアが語る、知っておくべき世の中の潮流セミナーレポート

2025年4月7日、電通PRコンサルティングでは、「メディアトレンドレポート2025(電通PRコンサルティング作成/2024年11月発行)」をベースに、4月までにアップデートされた内容を盛り込み、メディアの編集長クラスの3人が登壇するトークセッションを開催。


ビジネス映像メディア「PIVOT」CEO佐々木 紀彦氏、世界的ビジネスメディア「Forbes JAPAN」執行役員 Web編集長 谷本 有香氏、ファッション&ビューティのニュースメディア「WWDJAPAN」編集長 村上 要氏をお迎えし、激動の2025年、編集長たちは社会の変化をどう捉え、何をどのように考えているのかについて、徹底議論しました。


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目次[非表示]

  1. 1.メディア編集長による、知っておくべき世の中の潮流や社会の変化とは
    1. 1.1.2025年4月時点で「経済不安増加」現象に、企業はどのように対応すべきか?
    2. 1.2.2025年4月時点で「環境不安増加」現象に、企業はどのように対応すべきか?
    3. 1.3.高まる「不安」心理から生まれる動きに、企業はどのように対応すべきか?
    4. 1.4.メディア視点で取材したい、企業の動きや信頼できる情報とは?
      1. 1.4.1.登壇者プロフィール


メディア編集長による、知っておくべき世の中の潮流や社会の変化とは


(左から)電通PRコンサルティング チーフコンサルタント 細田知美(モデレーター)
「PIVOT」CEO佐々木 紀彦氏、「Forbes JAPAN」執行役員 Web編集長 谷本 有香氏、「WWDJAPAN」編集長 村上 要氏

2024年11月に発行した「メディアトレンドレポート2025」で登場したさまざまな印象的なキーワード。これらの言葉の背景として、人々の心の中にある漠然とした「不安」が浮かび上がってきました。そして、日々の暮らしや将来に対する不安などが社会の随所に表れてきている中で、2025年4月時点で出てきた「経済不安増加」と「環境不安増加」の現象。各編集長は、現状をどのように捉えているのでしょうか。

2025年4月時点で「経済不安増加」現象に、企業はどのように対応すべきか?

※2025年4月7日時点

「PIVOT」CEO佐々木 紀彦氏
佐々木氏(以下、佐々木):世界の中でいうと、今の日本の状況は相対的にいいと私は思っています。1985年のプラザ合意以降、日本は国際経済において約40年間不利なポジションが続いてきました。それ以前の強すぎた日本の国力を弱めたかったんですね。一方で、日本がひいきされるような環境になってきた今はチャンスであり、トランプ大統領といかに交渉し、いい地位を勝ち取っていくかが大事です。
 
また、この数十年は、経済と政治が分離されてきましたが、いよいよ一緒になってきています。YouTubeに人気の経済動画メディア「ReHacQ」が登場したり、それが兵庫県知事選を大きく動かしたり。政治が自分たちの生活に直結するという実感を持つことができる時代になった今、経済不安というテーマと政治をセットで考えることが、企業および個人にとっても重要になってきています。

「Forbes JAPAN」執行役員 Web編集長 谷本 有香氏
谷本氏(以下、谷本):2025年問題があり、人口減少、高齢化していく中で、なかなか日本ではイノベーションが生み出されてこない、そこはかとない不安が長年続いてきました。また、自然災害や戦争も、対岸の火事ではなくなり、不安感は今後の生活行動や投資行動に影響を与えることと思います。
 
しかし、今、その象徴として出てきたトランプ関税問題は、もはや不安を通り越して、“恐怖”ですよね。一方で、今回のような、“恐怖”レベルの大きなインパクトがないと、日本は変わらないのも事実です。よって、この問題は、新しい世代においての経済の混乱期の戦い方や戦略を練る、議論を固めていくための、いいきっかけになると考えています。もちろん、政治と経済、民間も一体となっていかなければいけないですが、民間は私たちができることを考えていく、いいタイミングになるとも思っています。

「WWDJAPAN」編集長 村上 要氏
村上氏(以下、村上):円安の進行と物価上昇、労働力不足に伴う人件費高騰などは、今ファッション業界に大きなインパクトを与えています。3月には、これまでインバウンドと次世代富裕層の恩恵を受け、売り上げを伸ばし続けていた大手百貨店4社全ての売り上げが、前年同月比を割りました。ラグジュアリーブランドの日本人による売り上げを見ても、前年超えはごくごく限られたブランドのみ。昨年秋以降、潮目が変わってきています。
 
取材を通じて、業界の人々全般が、この先どうなるのかと不安に思っているのも感じ取れます。特に、日本ではこれまでラグジュアリーブランドが大切に育んできた中間層が減っている。今後、欧米のような社会構造になってしまうのか?注目しています。

2025年4月時点で「環境不安増加」現象に、企業はどのように対応すべきか?

※2025年4月7日時点

佐々木:格差社会、富裕層と高齢者の影響力の拡大というキーワードがありましたが、彼らと中間層・現役世代との分断を、日本の場合は激しくしないことが、今後大事ですよね。富裕層と中間層それぞれの利害が、懸け離れているのも、今起こっている不安につながっていると思います。よって、誰の利害のために動くのか、といった視点の違いでも、モノの見え方が全く変わってきますよね。
 
谷本:これまでも環境不安については、人々にとって関心の高い問題ではありましたよね。しかし、そこに加えて、経済不安や恐怖を考えるようになると、マズローの欲求5段階説にもあるように、まず自分自身が明日のお米が食べられるのかということにフォーカスしていきます。よって、SDGsやESGは、今までのような勢いがなくなっていくと考えられます。一方で、日本はそういう姿勢でいいのかという視点でも考えていくべきです。
 
例えば、世界的な動きでは、トランプ大統領の政策のように、ESGやLGBTQ+の縮小傾向もしくは廃止の動きが出てきている中で、私たち日本は、倫理権もある、サステナブルな国であるということを、標榜(ひょうぼう)していくが故に、ここをきっちり大事にしていく姿勢を示していかなければいけないと思いますね。

高まる「不安」心理から生まれる動きに、企業はどのように対応すべきか?

村上:こういう時代だからこそ、企業としてどんな姿勢を示していくのかということが問われています。一緒に次の時代に向かって歩んでいきませんか?と寄り添って優しく背中を押すのか、もしくは、不穏な時代に対峙(たいじ)する消費者をエンパワーメントして前進を促すアクションを起こしていくのか?「不安」や「不穏」と叫ばれる時代のミラノやパリのファッション・ウイークでは、こうした2つの考え方がトレンドとなって現れています。
 
例えば、バレンシアガを率いたクリエイティブディレクターは、時代に合わせて世の中に発信し続けるメッセージが力強いため、ここ10年、若い世代から一定の支持を得ています。ロシアによるウクライナ侵攻が始まったタイミングでは、侵攻開始の1カ月後に発表したコレクション会場で、ウクライナの国旗をほうふつとさせる青のTシャツを配布。発表したデザインも青に黄色の配色でした。デザインと発表方法を通じて、明快なメッセージと姿勢を発信したといえるでしょう。
ビューティー業界の事例を挙げるなら、カネボウ化粧品も時代に対する明快な姿勢を発信されていますね。

メディア視点で取材したい、企業の動きや信頼できる情報とは?

佐々木:消費も大事ですが、今後はいろんなところが統合されていくと思います。人も減っていく中で、消費者以上に従業員サイドの方が大事になってきていて、そもそもつまらない企業やトップが良くない、商品も良くない企業に人は集まらないし、存続もできなくなります。また、いかに面白い個人を会社の中でつくっていけるかというのは、企業をアピールするためにもすごく大事になっていますよね。
 
選択眼が求められる時代、みんなが迷う中でも、本当にお薦めしたくなるようなものかどうか、というのが本質ではないでしょうか。
 
谷本:若い世代の感覚によると、メディアとは、一方的に享受するものではなく、横の人たちを含めたコミュニティーに入ったり、自分がそこにいたいと思える場所であったり、そういった視点で選んでいるようです。
 
私たちメディアも、そういう場所をつくりたいと思いつつ、つくれていないのですが、新しいコミュニケーションの形をつくっている企業には取材をしたいと思います。
 
最近、戦争の反対語は何か?を周囲で話し合う機会があったのですが、「安心」であるという結論に至りました。今の時代のニーズとして、心が安らぐことが求められていることからも、今後、企業が出していく商品やサービス、コミュニケーションの中で、そうしたニーズに応えていくと、現状に対抗するような力にもなると思います。
 
村上:企業もメディアも、中の人が、勇気を持って、自分たちの言葉で語っていくしかないと思っています。正々堂々と、この製品で世の中がこうなったらいいと、夢を語ってほしい。オウンドメディアなどを通じて、発信し続けることが、企業姿勢にもつながります。
 
正々堂々と、語りたい人が語れる世の中が、健全に多様な人の共感を誘って市場を回していく、大きな解決と方向性なのかなと考えます。


登壇者プロフィール

「PIVOT」CEO 佐々木 紀彦
1979年福岡県北九州市生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、東洋経済新報社に入社。IT・自動車業界などを担当。「東洋経済オンライン」編集長を経て、NewsPicksの初代編集長に。動画プロデュースを手がけるNewsPicks Studiosの初代CEOも務める。2021年にビジネス映像メディアを手掛けるPIVOTを創業。YouTube登録者数No.1のビジネスメディアに育てる。スタンフォード大学大学院で修士号取得(国際政治経済専攻)。著書に『米国製エリートは本当にすごいのか?』『5年後、メディアは稼げるか』『日本3.0』『編集思考』『起業のすすめ』。大のサッカーオタク。


「Forbes JAPAN」執行役員 Web編集長 谷本 有香
証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカー後、米MBA取得。日経CNBCキャスター、同社初女性コメンテーター。オードリー・タン台湾デジタル担当大臣、アップル共同創業者スティーブ・ウォズニアック等、4,000人を超えるVIPにインタビュー。現在、フジテレビ「サン!シャイン」、ABEMA TV「FOR JAPAN」、TOKYO MX「おはリナ」のレギュラーコメンテーター。立教大学大学院 社会デザイン研究所 研究員/兼任講師/アドバイザリーボードメンバー。2022年1月1日より現職。


「WWDJAPAN」編集長 村上 要
静岡県生まれ。東北大学教育学部で障害児教育を専攻。大学卒業後は、地元の静岡新聞に入社し、社会部で事件記者を務める。一身上の都合で退職後、ニューヨークの州立ファッション工科大学(F.I.T.)でファッション・ジャーナリズムを含むファッション・コミュニケーションを専攻。帰国後、INFASパブリケーションズに入社し、「WWDビューティ」デスク、「WWDモバイル」デスク、「ファッションニュース」編集長、「WWDJAPAN.com」編集長などを経て、2021年から現職。



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※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。



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PRX編集部
電通グループ内のPR領域における専門会社「電通PRコンサルティング」が運営するオウンドメディアです。1961年の創立以来、国内外の企業、団体をサポートしてきた経験・実績をベースに、電通PRコンサルティングならではの視点で、PRの基礎から最新PRトレンドやソリューションまで幅広くお届けします。

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