
ついにアクティブユーザー数でXを超えた「Threads」!いま押さえておきたいThreadsの強みと企業活用の視点
2023年7月にローンチされたMetaによるテキスト共有アプリ「Threads(スレッズ)」。
Instagramチームが開発したSNSである一方で、画像や動画中心のInstagramとは異なり、会話やアイデアの共有に特化しているのが特徴。ローンチから約2年かけて、月間アクティブアカウント数が4億(2025年8月時点)、デイリーアクティブアカウント数が1.5億(2025年10月時点)にまで急成長を遂げています。
企業によるSNSを活用した広報・PR活動が広がるいま、Threadsを含め多様化するSNS全体をどんな戦略をもって使い分け、運用していくべきなのでしょうか。
今回は、Metaのパートナーシップス担当・大平かりん氏と、SNSマーケティング専門会社コムニコ社の梅津翔太氏への取材をもとに、広報担当者が押さえておきたいThreadsの現在地と、向き合い方に関するヒントを探ります。

大平 かりん(おおひら かりん)/ Meta日本法人 Facebook Japan グローバルパートナーシップス
東京生まれ。雑誌「GINZA」Web「ginzamag.com」「BRUTUS.web」の編集部を経て、2022年にMeta日本法人に入社。InstagramやThreadsなどMetaのプラットフォームを活用するクリエーターの支援に加え、ファッション、エンターテインメントなどさまざまな業界との協業プログラムの企画・実施に携わる。

梅津 翔太(うめつ しょうた)/ 株式会社コムニコ ビジネスデベロップメント局 アカウントマネジメントチーム アカウントマネージャー リーダー
2022年に入社。大手企業を中心に幅広い業界のSNSマーケティングに従事。戦略立案からコンテンツ企画、広告配信、キャンペーン設計、レポーティングまで一貫して担当し、企業アカウントのコンサルティングを行う。X、Instagram、Facebook、LINEなど主要プラットフォームでの運用実績を持つ。
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目次[非表示]
- 1.Threadsが“いま伸びている”背景に、「共感」や「本音」を語る場が求められているSNS潮流の変化あり
- 2.「多様なコミュニティーと、ゆるく、深く、つながれる」SNSとして台頭するThreads
- 3.Threadsの現在地:エンタメから日常のささいな関心ゴトまで 多様なコミュニティーでユーザー同士の会話広がる
- 4.Threadsの現在地:ユーザーと企業とのフラットな会話でエンゲージメントの深化を実現
- 5.企業・広報はThreadsにどう関わるべきか?企業によるThreads活用事例
- 6.複数のSNSを使い分けるユーザー 企業がThreads上で発信時に意識すべきは「双方向コミュニケーション」
- 7.Threads上での発信に重要なポイント「モーメント」「問いかけ要素のある投稿」「返信リアクション」
- 8.企業における複数のSNS運用時には、始める前の「目的に応じた発信情報の設計」と継続的な見直しが肝
Threadsが“いま伸びている”背景に、「共感」や「本音」を語る場が求められているSNS潮流の変化あり
──Threadsがユーザー数を伸ばしている最大の理由を、SNSマーケティング専門会社としての視点から伺えますでしょうか。
梅津翔太(以下、梅津):Threadsは、Instagram連携機能により開設しやすく、さらにローンチ当初はフォロワーを引き継げる設計により、初めからフォロワーがいる状態を保てていたことが理由のひとつと考えます(現在はユーザー自らフォロー設定する仕様に変更済み)。
また、他のSNSにはない、独特な穏やかさかつ温かい空気感があります。代表的なテキスト中心のSNS・X上にあるような対立意識や攻撃的な反応が比較的少なく、ユーザーが心理的安全性を感じられることが継続利用につながっているのではと思います。一方で、ユーザーがSNSに求めているものが変化しているようにも感じられます。
「拡散」より「共感」、「正解」より「本音」で語れる場、会話を楽しめる場を求めているユーザーが増加しており、社会的背景には、生活者のなかで炎上や情報過多による疲れがあるようにもうかがえます。よって、目的に応じてプラットフォームを使い分けているユーザーも少なくないでしょう。
──他にも多数のSNSがあるなかで、企業にとって、Threadsはどんな目的で活用しやすいSNSといえるのでしょうか。
梅津:商品やブランドの世界観を重視したInstagram、日本ではビジネス層向けにブランドコーポレート情報の発信などに適したFacebookに対して、Threadsは企業の親しみやすさやキャラクターを知ってもらいやすく、企業とユーザーの「関係構築」や、企業やブランドの「人格形成」がしやすいのが特徴だと感じています。写真・動画の投稿も可能で、その機能を活用するユーザーも多いため、ハイブリッド型SNSともいえるかもしれません。
一方、Xのニュース・速報性の高さは、これまでと変わらず強みです。電車の遅延情報など、最新情報の拡散力やトレンド性の高さからも、引き続き、他のSNSと併用して使い続けられることが想定されます。ただし、拡散力が高い分、ネガティブな投稿も広がりやすく、炎上リスクは相対的に高い点には留意が必要です。Threadsにもリスクがないわけではありませんが、現状ではXの方が議論が過熱しやすい傾向があるといえるでしょう。

「多様なコミュニティーと、ゆるく、深く、つながれる」SNSとして台頭するThreads
──MetaによるThreadsは、どのような目的や思想で開発・設計されたアプリなのでしょうか。
大平かりん氏(以下、大平):2023年7月にローンチされてから約2年半経ちますが、当初の構想としては、非常にシンプルに新たなテキストベースのプラットフォームを提供しようということでした。世界的にみると、日本は以前よりテキストベースのアプリが人気という背景もありましたが、他にも台湾やベトナムなど、アジアで利用が盛んな国が多い状況です。
──現在、“燃えないSNS”とも呼ばれているThreadsですが、どのような体験・機能設計にその理由があるとお考えですか。
大平:Threadsが大事にしていることは、建設的に意味のある会話をしていく上で、安心できること。安心して会話やアイデアが表現できるよう、例えば自分の投稿に返信可能な人を設定できるようにするなど、安全性を重視した機能を導入し、ユーザーの意見も機能改善や拡張につなげています。
それらの機能の存在も、“燃えないSNS”と呼ばれている理由のひとつかもしれません。もちろんInstagramと同様、コミュニティー規定に違反する投稿は削除などの対応をして安全性を高めています。また、昨年10月に追加された新機能「ゴースト投稿」は、シェアした投稿が24時間後に自動的に消える機能ですが、消えるからこそ自分の本音を話せる場として好まれています。

Threadsの現在地:エンタメから日常のささいな関心ゴトまで 多様なコミュニティーでユーザー同士の会話広がる
──どんなユーザーが、何について会話しているのでしょうか。
大平:利用者の属性比率は、現在開示していませんが、Threadsのアカウントを開設するには、Instagramのアカウントがあることが必須条件です。よって、特に初期の間は、ユーザーの趣味嗜好(しこう)はInstagramにある情報に近かったといえますが、現在Threads上で広がっている会話やコミュニティーからは、若年層をはじめ、子育て世代など幅広い層に利用されていることがうかがえます。
投稿の内容は、ユーザーが好きなアーティストから、料理、生活の知恵、一人では抱えきれない生活や育児、仕事の悩み、吐露したいちょっとした気持ちなど。本音を語れる場所として、ささいな日常の会話を通じて、同じ環境に置かれている人同士が情報交換や交流でつながっています。スポーツ、音楽、エンタメなどの “推し活”の場としても機能しています。
──複数あるSNSのなかでも、ユーザーにとってThreadsの利用価値はどんなところにあるのでしょうか。
大平:狭く深いコミュニティーが強い点です。投稿に気軽に返信する文化も根付いており、他のユーザーとの交流を通じたコミュニティーが形成されやすいといえます。また、自分にとって有益な投稿を見つけたい、特定のトピックについて他のユーザーの意見を聞きたいなどといったニーズを持って利用するユーザーもいます。
企業やブランドに関する投稿も多く、ユーザーの購入履歴がうかがえる情報として、日用品に関する投稿も話題に上がりやすいです。例えば、昨年、某化粧品メーカーの商品が、他のSNSで自虐的なワーディングで紹介された動画をきっかけに話題となった際、Threads上では「実際に買ってみた」「使ってみた」などといった口コミと共感で盛り上がるコミュニティーが生まれ、メーカー側は商品の増産体制に入るといった事象もありました。
さらに、Threads上でファンダムを形成しているクリエーターが生まれています。ユーザーの投稿に、温かいコメント返しをする人気アカウントが多いんです。例えば、昨年アカウント開設から3カ月でフォロワーが20人から約8万人に伸長したクリエイターは、Threads上での投稿や温かいコメント返しがマスメディアでも取り上げられ話題になりました。同クリエーターのアプローチは、手抜きを自称するユーザーの文章や写真投稿に対して、 “あなたは十分やっているよ”といった肯定のコメント(返信)を残すというスタイル。コメントをもらった人の自己肯定感を高めるような内容は、ファンを多く集めています。
SNS上のやり取りが、単なる情報発信や自己表現の場を超えて、誰かにとっての心のケアや、社会的なサポートの場としても機能しはじめています。

──誰にとっても何か共感できるトピック、話題が多く存在している場なんですね。他のSNSと比べて、Threadsのユーザーにとって心理的な利用ハードルはどう異なりますか。
大平:Threadsでは、グローバルの全体閲覧数のうち、50%を占めるのが「返信」なんです。投稿を見るだけでなく、投稿への返信(コメント)を読んで楽しんだり、自分自身も返信したりするなかで、交流が生まれています。そこが参加ハードルの低さにつながっているのかなと思います。
Threadsの現在地:ユーザーと企業とのフラットな会話でエンゲージメントの深化を実現
──Threads上で企業アカウントによる発信は現在どのような状況でしょうか
大平:Threads上で、積極的にユーザーと直接コミュニケーションをしている企業は増えています。
企業による発信は、第1次情報としてリアリティーと信頼性があることから、ユーザーに好意的に受け入れられる傾向にあります。受け入れられやすい情報としては、新商品やおすすめ商品についての最初の会話のきっかけとなる投稿です。
企業の公式アカウントがあれば企業側から質問したり、または一般ユーザーによる「皆さん、ここで買ったよかったものを教えてください」といった投稿に乗り込んでいくこともできます。お礼コメントや、「実はこんな使い方もありますよ」といった、その企業だからこそ言える豆知識的なコメントなどで会話の中に入っていくこともできます。
──ECサイトなどの口コミやレビューに近い情報が広がりそうですね。
大平:どうしたらUGC(口コミ)を集められるかを考えている企業にも活用してみてほしいです。会話に参加しているユーザーにとっては“本家登場”といった驚きとともに、企業の担当者が見てくれているということが、ユーザー側のその企業への信頼感や好感度の高まりにつながり、結果的に企業とユーザーとのエンゲージメントが深まっているように感じます。
企業・広報はThreadsにどう関わるべきか?企業によるThreads活用事例
──企業によるThreads活用事例を教えてください。
大平:某老舗のキッチン用品メーカーは、アカウント開設から約20日間でフォロワーが3万人を超えました。フォロー外リーチが高いのもThreadsの特徴のひとつで、知名度が低かったり、フォロワー数が少なくてもチャンスがあることがThreadsの魅力です。
また、農家のアカウントは人気なアカウントカテゴリーのひとつで、「通りすがりの農家」というトピックがはやっています。なかでも、石川県の某農家アカウントが人気の理由は、積極的なコメント返しです。食べ方や鮮度の見分け方などを紹介するだけでなく、ユーザーによる「もうこれ食べられないですよね」などといった投稿に、的確かつユーモアあふれるツッコミや決め台詞などのリアクションで双方向のコミュニケーションを図っているのが特徴。
1対1というよりも、そのやりとりを見ている他のユーザーも巻き込んだ交流を広げており、新しい企業と消費者とのあり方(つながり方)だと思います。
複数のSNSを使い分けるユーザー 企業がThreads上で発信時に意識すべきは「双方向コミュニケーション」
──Threadsユーザーは、Instagramをはじめ、SNSをどのように使い分けているのでしょうか。具体的な投稿の仕方に違いはありますか。
大平:Threadsを利用するためにはInstagramのアカウントが必須ですが、最近は使い分けが進んでおり、全体の1/3のユーザーは双方でフォローしているアカウントの大半が異なることが分かっています。
Threadsは、Instagramよりも気軽に発信できるのも特徴です。写真や動画がなくても“おはよう”といったあいさつひとつでも成立する場で、さらに返信がつきやすいので、気軽に返信もしやすいんです。
──企業が、Threadsの投稿時に意識すべきことはどんなことでしょうか。
大平:双方向のコミュニケーションです。例えば、自社製品について疑問に答える、使ってくれた人のレビューにコメントを残すなど。単なるお礼ではなく、丁寧な返信をすることで、その会話を見た他のユーザーによる「自分のところにも来てくれないかな?」といった期待感の醸成にもつながっているんです。そして、関連投稿が増えることでコミュニティーの拡大・強化につながっています。Threads全体の閲覧数の50%が返信なので、そこに出現するかしないかだけでも、ユーザーに見つけてもらえる確率が変わってくると思いますね。
実際、Threadsユーザーの4人に3人は、少なくとも1つの企業アカウントをフォローしているという利用データが出ています。企業アカウント=広告という印象は薄く、面白く、温かい、そして親近感を感じられる投稿を重ねて運用していると、ユーザーから交流を続けてもらえるでしょう。
一方で、たとえフォロワーが少なかったり、狭いコミュニティーのなかでの会話であったりしても、投稿が多くの人に見られている、という意識を持つことが、リスク回避につながります。
Threads上での発信に重要なポイント「モーメント」「問いかけ要素のある投稿」「返信リアクション」
──今後、企業側はFacebook、Instagram、Threadsをどう使い分けるべきでしょうか。
大平:企業により、ターゲットとしている消費者との得意なコミュニケーションは異なると思います。一方で、複数のSNSの使い分けにちゅうちょするのではなく、それぞれのプラットフォームに存在していることが非常に大事です。
プラットフォームごとに人と人のつながり方は異なります。
Instagramはビジュアル中心のコミュニケーション、Facebookは実名登録だからこそ、リアルの世界でつながる同級生や仕事相手との交流が中心です。Threadsは消費者との深いつながりが生まれやすいことから、会社や商品、サービスを好きになってもらうことにも貢献できるのではと思います。
企業における複数のSNS運用時には、始める前の「目的に応じた発信情報の設計」と継続的な見直しが肝
──企業側は、今後どのように複数のSNSプラットフォームを使い分けるべきでしょうか。
梅津:使い分けに成功している企業による発信の方向性は同じで、各SNSのコアユーザー属性に合わせて、最適な発信内容をはじめから設計しています。運用しながら手探りで変更も加えつつ、ブレずに運用している印象です。
Threadsは独自のアルゴリズムによって、情報を届けたい人に届きやすい、つまりフォローしていなくても、ユーザーが興味関心を持っている情報が集まる傾向が強いです。なので、企業規模を問わずチャンスが生まれるSNSだと思います。
また、企業アカウントでありつつも、人間味のある発信でスキを見せていくことも運用手法の1つです。例えば、老舗菓子メーカーが製造過程を見せることで、懐かしさや企業努力などへの共感を生み、少しずつファンを増やしていくイメージです。
Threadsを強化することで、新規に獲得したフォロワーがMetaの他プラットフォームであるInstagramやFacebookにも波及しやすくなります。Threadsでの発信がハブとなり、InstagramやFacebookへの接触機会を自然に増やすことも期待できます。3つのSNSそれぞれで見せる企業の顔に変化をつけると、新たなファンづくりにつながるのではないかと思います。
一方で、各SNSの特性に応じて、企業との相性も見極めるべきです。例えば、硬派な企業がブランドコーポレート情報を発信していきたいのであれば、Facebookやnoteなどの方がマッチしている可能性もあります。

──Threadsは他のSNSと比較して、運用時のKPIをどのように設定すべきなのでしょうか。
梅津:Threadsは投稿内にリンクを埋め込むことができ、他のSNSリンクへ誘導が可能です。よって、そのクリック率で効果を測りやすい面があります。
加えて、投稿一つ一つがどんなエンゲージメントにつながったかを重視した方がよいともいえます。その効果は数字では測りづらいものの、投稿や返信の質を見抜いたり共感を得たりすることで、企業の好感度や関係性を少しずつ育てていくしかないと思います。
──今後、企業において、Threads含め多様なSNSの運用は、より幅広い人々への発信につながりそうですね。
梅津:SNSごとにユーザー層がもちろん異なるため、企業が何を伝えていきたいのか、その運用目的に合わせたSNSの選定は非常に大事です。
すでにFacebookやInstagramのアカウントを活用している企業にとっては、Threadsは始めやすい選択肢の1つです。企業とユーザーが近づける場、親しみやすくなる場として、まずは運用してみると良いでしょう。
ThreadsをはじめとするSNSにおいて、「共感」や「本音」を起点としたコミュニケーションの重要性は、今後さらに高まっていきます。企業にとっても、一方的な情報発信ではなく、ユーザーとの関係性を築く設計が求められています。
電通PRコンサルティングでは、SNS活用やデジタルコミュニケーションの戦略設計から運用支援まで、企業と生活者のより良い関係構築をサポートしています。Threadsを含めたSNS活用に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。
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