一人一人が「らしさ」を体験できる入社式へ——広報視点が不可欠な理由とは?

新年度の始まりを告げる入社式は、いまや新入社員を迎えるためだけの場ではありません。

人手不足や採用競争の激化を背景に、新入社員のエンゲージメントを高める重要な機会へと変化しています。さらに近年では、その様子を社外にも発信することで、企業の価値観や姿勢を伝える「広報・PRの機会」として活用する動きも広がっています。

本記事では、2026年の入社式の傾向を基に、新入社員のエンゲージメントを高めながら、自社らしさを社内外に伝える入社式設計のポイントを、広報・PRの視点から整理します。

目次[非表示]

  1. 1.入社式はエンゲージメントを高める機会へ
  2. 2.企業の取り組みから見える、今年の入社式の3つの傾向
    1. 2.1.「一人一人」に向き合う設計
    2. 2.2.「体験」を通して自社を体感する
    3. 2.3.「自分の未来」を描かせる仕掛け
  3. 3.「自社らしい」入社式には人事と広報の連携が不可欠
    1. 3.1.「いつ実施するか」(発信モーメント)
    2. 3.2.「誰にどう見えるか」(リスク視点)
  4. 4.次の内定式・入社式に向けた連携を始めよう

入社式はエンゲージメントを高める機会へ


新年度が始まりました。4月1日には、多くの企業で入社式が行われ、新たな仲間を迎える光景が各地で見られました。

人手不足が社会問題化する中で、入社式は単なる歓迎の場から、新入社員のエンゲージメントを高める重要な機会へと変化しつつあります。

さらに近年では、その様子を対外的に公開することで、企業の姿勢や価値観を伝える「広報・PRの機会」として活用する動きも広がり、メディアでの報道量も増加の傾向にあります。



調査概要
■調査手法:クリッピング・記事検索サービスELNETにおいてキーワード「入社式」を「見出し」「本文テキスト」に含む記事数を算出
■対象期間:2007年~2026年の3月9日~4月9日
■対象媒体:全て(新聞・雑誌)

では、新入社員はもちろん、社内外のステークホルダーからも評価されるような入社式はどのように設計すべきなのでしょうか。

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企業の取り組みから見える、今年の入社式の3つの傾向


2026年の入社式でも、各社が多様な切り口で情報発信を行っていました。企業の取り組み事例から見える今年の主な傾向を3つご紹介します。

「一人一人」に向き合う設計

今年は、「新入社員一同」ではなく、「個」にフォーカスした演出が目立ちました。

例えば、

  • 経営層が一人一人に向けた個別メッセージを用意する

  • 直属の上司になる社員と、対面でコミュニケーションをとる

  • 個人の未来やキャリアを想起できる映像を用意する

これらの取り組みに共通しているのは、たった一人の「あなた」の入社を歓迎するという企業の姿勢です。

キャリアの多様化が進む中で、新入社員を画一的に捉えるのではなく、個々の成長を尊重しサポートする環境が整っていることを示すことで、安心感やエンゲージメント向上につなげています。

「体験」を通して自社を体感する

従来型の一方向の「式」から、体験を通して企業理解を深める構成を取り入れる企業も増加しています。

例えば、

  • 自社の商品やサービスを体験するプログラム

  • チームでの課題解決ワーク

  • 社長・経営層との対話セッション

これらの体験を用意することは、企業の価値観やカルチャーを実感することにつながり、自社への誇りの醸成にも寄与すると考えられます。

誇りから愛着が生まれ、新入社員が自社に定着し、活躍していけば、その企業の価値は継続的に向上していきます(下図参照)。このような「採用を通した企業ブランディング」の効果を最大化するという点においても、入社式は重要な役割を果たしています。

採用ブランディングジャーニー(電通PRコンサルティング作成)

「自分の未来」を描かせる仕掛け

社会人初日に「この会社での未来」を具体的にイメージさせる取り組みも増えています。
例えば、

● 生成AIを活用して社員の未来像を映像化する
● 自身の未来のありたい姿を社長・役員に共有する
● 先輩社員との対話を通して、自身のキャリアを言語化する

これらの取り組みによって、漠然とした未来のイメージを具体化することで、それぞれの企業でのポジティブかつ長期的なキャリア像を描いてもらいやすくなります。

また今年は、生成AIを活用した取り組みも目立ちました。

それらの多くが、先進性をアピールするツールではなく、「AIと共に未来をつくる企業である」というメッセージを強調する目的で使用されていたことも一つの傾向といえます。

「自社らしい」入社式には人事と広報の連携が不可欠


ここまで紹介してきた取り組みは、それぞれの企業が自社の「らしさ」を踏まえた上で、社内外のステークホルダーに“何を感じてほしいか”を意識して設計されています。

ただし、「自社らしさ」は簡単に定義できるものではありません。

・自社は何を大切にしているのか
・新入社員一人一人に何を感じてほしいのか
・それは新入社員のニーズに合っているものなのか
・それは社外のステークホルダーからどう見えるのか

こうした問いに向き合い、入社式の軸となる「自社らしさ」を明確にするには社内理解に強い人事と、対外視点を持つ広報の協働が不可欠です。

加えて、発信に当たっては、以下のような広報的な視点も求められます。

「いつ実施するか」(発信モーメント)

4月1日は情報が集中し、ニュースが埋もれやすいタイミングです。

そんな中で、「いち早く現場に慣れてもらうため」などの理由から、4月1日の数週間前や前日など一足先に入社式を実施した企業が、多くのメディア露出を獲得している例も見られます。

新入社員にとっても妥当性のある理由があれば、実施のタイミングを早期化するという選択肢を考えてもよいかもしれません。

「誰にどう見えるか」(リスク視点)

社内では好意的に受け止められる企画内容でも、社外からは異なる印象を持たれ、マイナスレピュテーションにつながる可能性には気を付けなければなりません。

「新入社員をコンテンツとして扱っているように見えないか」という視点を持ちながら、取り組み全体のレピュテーションリスクに関しても細心の注意を払う必要があります。

次の内定式・入社式に向けた連携を始めよう


以上のような点を踏まえると、入社式の企画・運営において、広報的な観点が欠かせないことが分かります。まずは、入社式の記憶が鮮明な4月~6月中に人事や関連部署と今年の取り組みを振り返りながら、来年の入社式および、今年の内定式に関する議論を始めてみてはいかがでしょうか。

ただし、入社式はあくまで“新入社員のための場”であることを忘れてはいけません。どれだけ発信や演出に力を入れたとしても、主役は新入社員一人一人であり、彼らが前向きにスタートを切れることが最優先です。

広報と人事が連携しながら “一人一人一人がその会社らしさを体験できる場”を設計し、社内外に伝わる入社式につなげていきましょう。

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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PRX編集部
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