
社長交代はメディア露出を狙える「最大の好機(チャンス)」
企業における「社長交代」は、単に人が代わるというだけではなく、組織の方向性を左右する大きな節目となります。
このタイミングでのトップコミュニケーションの在り方は、企業のブランドや信頼性に大きな影響を与えます。特に近年、企業の経営トップに対する社会の関心は高まり、交代時には新しく就任する社長のビジョンやメッセージの発信がより重視されるようになっています。
本記事では、社長交代時の広報部門の役割と、トップコミュニケーションを成功させるポイントについて詳しく解説します。
▶“伝わり響く”社長発信をサポート「トップコミュニケーション・プログラム」メニュー資料をダウンロード
▶“不祥事”の影響を最小限に 「危機管理広報プログラム」メニュー資料をダウンロード
▶「企業メッセージづくり」とIR/PRコミュニケーション・サポートプログラム資料をダウンロード
目次[非表示]
- 1.社長交代発表のタイミングと広報部門の役割
- 1.1.発表のタイミング調整
- 1.2.情報整理
- 1.3.メディア対応の準備
- 1.4.社内コミュニケーション
- 1.5.社会的反応の把握と対策
- 2.社長交代時にトップコミュニケーションを成功させるためのポイント
- 2.1.情報の整理と準備
- 2.2.キーメッセージの策定
- 2.3.ノンバーバルコミュニケーションの活用
- 2.4.デジタルメディアの積極活用
- 2.5.危機管理意識を持つ
- 3.まとめ
社長交代発表のタイミングと広報部門の役割
日本企業では、4月1日から3月31日までを会計年度とする企業が多く、特に3月決算の企業では、新年度開始に合わせて社長交代が発表されることが多いものです。発表の仕方によっては、株主や取引先、社員に与える印象が大きく変わるため、広報担当としては次の五つを意識して臨むと良いでしょう。
発表のタイミング調整
社長交代の発表は、適切なタイミングで行うことが重要です。事前に内部調整を行い、自社の株主総会や取締役会の日程、さらには、大きな事件・事故・災害・紛争などに社会的な注目が集まる日にちや時期は避ける方が良いでしょう。また、自社の報道量が減ってしまう可能性があるため、競合他社の判明している大きな発表とかぶらせないことも考慮に入れるとなお良いです。
情報整理
社長交代の背景や目的、新旧社長の見解、新体制の方針など、伝えるべき情報は多岐にわたります。それら情報の整理と、整理された情報の中で何を発信し何を発信しないのかという取捨選択も必要です。整理すべき項目については後述します。
メディア対応の準備
社長交代の発表後、多くのメディアから取材の申し込みが寄せられることが予想されます。特に大企業の場合、記者会見を開催し、社長自らの言葉で新たな方針を語る機会を設けることが望ましいでしょう。そのためには、想定問答集の作成やメディアトレーニングを実施し、トップが自信を持ってメッセージを発信できるよう、入念に準備することが不可欠です。
社内コミュニケーション
社長交代は、社内の士気にも大きな影響を与えます。新体制の下で社員が一丸となれるよう、明確なビジョンを示し、社内向けの説明会や対話の場を設けることが大切です。近年では、社長自らが社内向けに動画メッセージを発信することも増えています。
社会的反応の把握と対策
社長交代に対する社会の反応を迅速に把握し、適切な対応を講じることが求められます。報道の内容やSNSの反応を分析し、必要に応じて追加の情報発信や説明を行うことで、誤解を防ぎ、信頼関係を維持することができます。
社長交代時にトップコミュニケーションを成功させるためのポイント
新社長が企業の方向性を社内外に効果的に伝えるためには、以下の五つのポイントが重要です。
情報の整理と準備
社外に発信する情報については、資料としてメディアに提供すべき情報と、取材に備えて準備しておいた方が良い情報があります。
資料としてメディアに提供すべき情報としては、社長交代の日付、新旧社長の新旧の肩書、新社長の生年月日ほか経歴、メディア提供用の顔写真などがあります。
一方で、取材に備えておくべき情報としては以下の要素があります。
① 社長交代の背景(時期、理由など)
② 新社長が選ばれた理由
③ 新社長の実績や強み、それを裏付けるエピソード
④ 目指す会社の姿
⑤ 現状の業界・会社の課題
⑥ 課題を克服し、目指す姿を実現するための手段
⑦ 新社長の印象に残っている仕事とその教訓
⑧ 新社長の趣味、読書歴、座右の銘、家族構成
社長の個性や独自性が伝わる具体的なエピソードを用意しておくことで記事化につながりやすくなるでしょう。
キーメッセージの策定
新社長のビジョンや経営方針を簡潔かつ明確に伝えることが、トップコミュニケーションの成功に直結します。特に、「過去の経験」「現在の課題」「未来の展望」を一貫したストーリーとして語ることで、ステークホルダーに強い印象を与えることができます。
ノンバーバルコミュニケーションの活用
新社長発表時のみならず、社内外に向けて情報発信をする際には、落ち着いた態度と自信を持った振る舞いが求められます。言葉だけでなく、表情やジェスチャー、服装などのノンバーバルな要素も、リーダーとしての印象を左右します。専門のスタイリストやカラーコーディネーターの助言をもらうことも有効です。社長は企業の「顔」です。髪形のほか、ネクタイやチーフ、シャツ、眼鏡・時計といったアクセサリーも活用して、社長や企業に抱いてほしいイメージを表現します。
デジタルメディアの積極活用
動画コンテンツを活用し、SNSなどを通じて新社長自らが直接メッセージを発信することを検討しても良いでしょう。収録済みの動画のほか、ライブ配信を用いることで、より多くの人々にリアルな姿を届けることが可能になります。
危機管理意識を持つ
社長交代に伴うネガティブな報道や憶測を防ぐために、リスク管理の視点を持つことも重要です。特に前社長の交代理由が経営不振やスキャンダルに関連する場合は、新社長が現状の課題にどう対応していくのか、具体策の提示と決意が求められるでしょう。
まとめ
社長交代は、企業の未来を左右する重要な転換点であり、このタイミングでの効果的なトップコミュニケーションが企業のレピュテーションの向上を後押しします。社内に対しても、適切な情報発信と円滑なコミュニケーションができれば、社員の自社に対するエンゲージメントを高める効果も期待できます。
また、新社長自身も自らの言葉でビジョンを明確に伝えることでステークホルダーの信頼を獲得し、会社のかじ取りがしやすくなります。社長交代という節目を最大限に活用し、企業価値を向上させるための戦略的な取り組みが今後ますます重要となるでしょう。
トップも「どういう言い方がいいだろう」「どこまで言っていいのだろうか」と不安を抱えていることもあると思います。電通PRコンサルティングでは、社長交代のタイミングのみならず、株主総会や取材対応に向けてトレーニングを実施することが可能です。トップのトレーニングになるだけではなく、広報部門としても何を準備すべきなのか、情報の棚卸しと重要度のランクづけや取捨選択、さらにはステークホルダーが自社をどのように見ているのかなどを客観的に把握するきっかけにもなります。ぜひお気軽にご相談ください。
※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。
▼“伝わり響く”社長発信をサポート「トップコミュニケーション・プログラム」メニュー資料をダウンロード
▼“不祥事”の影響を最小限に 「危機管理広報プログラム」メニュー資料をダウンロード
▼電通PRコンサルティング「企業メッセージづくり」とIR/PRコミュニケーション・サポートプログラム資料をダウンロード
▼関連記事
・トップコミュニケーションで注意することは?元記者が解説する「3つのポイント」