「社長交代」発表 ”タイミング”や”言い方”注意すべきポイントは
例年新しい年を迎える頃に、さまざまなメディアで社長交代の記事が多く見られるようになります。これは、日本企業には4月1日から3月31日までを会計年度とする企業が多く存在している(資本金1億円以上の半数以上が3月決算)ことに起因します。
上場企業は基準日(多くの場合は決算月末日)から3カ月以内に株主総会を開催しなければならず、その場で新たな取締役が決定。その後、新取締役が集まった取締役会で代表取締役が決定します。よって3月決算の企業の場合、新社長正式決定の発表は通常6月中となるのですが、日本国内の事情は少し異なります。この株主総会を待たずに、新しい年度の始まりに合わせて、新リーダーを迎え、新たな戦略を進めることを目的に、年初のタイミングで社長交代の発表をすることがあるのです。日本企業の伝統的な慣習の一部と言えるかもしれません。
社長交代を発表する際には、広報PR部門が果たすべき役割はより一層重要となります。これらを円滑に推進するためには、社内他部門との連携が欠かせません。今回は、こうした事態に備えて、広報PR部門は何を注意すべきか、本記事で紹介します。
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目次[非表示]
社長交代 発表のタイミング
広報PR部門は、新たなリーダーに関する情報を素早く整理し、報道機関などに対して適切なタイミングで発信することが必要となります。
特に、社長交代の際は、素早くかつ適切な情報発信が求められます。
公表のタイミングは、他部署と連携し、なるべく多くの関係者が対応できる時間帯に設定すべきです。情報伝達の遅れが生じないよう、具体的なスケジュール作りも重要な仕事の一つとなります。
さらに、社長交代に関するプレスリリースの作成、資料の整備、取材対応の体制構築、発表のための会議室手配など、微細な業務まで準備を整える必要があります。
伝える情報は明確に
社長交代の理由や背景、新旧の社長の見解など、伝えるべき情報は多岐にわたります。社長交代の事実についてだけではなく、新社長の経歴、功績、信念や将来のビジョンなど、できるだけ詳細かつ正確に情報を伝えることが求められます。
特に、こうした内容は、株主、取引先はもちろん、社員やその家族、業界、地域社会、また就活を考えている学生など、あらゆるステークホルダーから、どのように受け止められるのかを意識しながら、整理することもポイントです。
「社長交代」発表後のメディア対応
社長交代の広報発表後には、報道機関からの多数の取材依頼も予想されます。取材を受ける際には事前に必要な資料を準備し、事実関係の確認や取材内容に対し的確に回答するために備える必要があります。特に取材の質問範囲は、自社内の情報や新旧社長に関する情報にとどまりません。現在の経済情勢や社会が注目するイシューに対する見解にまで、質問が及ぶこともありますので、注意が必要です。
また、「社長交代が何を意味し、どのような影響をもたらすのか」について、社長自身が明確に説明できるように準備しておくことも重要なタスクとなります。これには、新社長が抱いているビジョンを明確に語るためのプレゼンテーション・トレーニングやスクリプトの準備、またメディア・トレーニングが必要になってくるでしょう。
社員の意識
社長交代は、社員の意識にも大きな影響を与えます。
そのため、社内への情報発信も重要なタスクとなります。社長交代がなぜ行われ、新社長がどのようなビジョンを掲げているのかを、丁寧に伝えることで、社員一人一人が将来への不安を解消し、自身の仕事に対する目標や方向性を見つける手助けをすることができるのです。
社会からの反応の迅速な把握と対策
広報PR部門の役割は、円滑な情報発信と対応にとどまりません。当件に関する社会からの反応を捉え、それを迅速に、経営資産に還元することが重要です。つまり、社長交代は、企業レピュテーション(評判)・マネジメントにおいても重要な契機となることを忘れてはいけません。
具体的には、報道機関からの取材を通じた掲載記事や放送内容の確認・分析はもちろん、リスニング・ツールなども活用して、ソーシャル・メディアでの言説を把握・分析することも大切な業務になってきます。また、このソーシャルリスニングの対象は一般の生活者だけではありません。
業界関係者や金融市場関係者、メディア関係者やジャーナリストなどのオピニオンリーダーが、自身の見解を交えながら、情報発信することも少なくないためです。
これら多岐にわたるステークホルダーの反応や意見を、きめ細かく整理・分析して、対策を講じ、社内の関連部門へ迅速に情報提供することが期待されているのです。
これまで整理してきたように、社長交代の広報活動は、事前の準備と計画、タイミング管理、メッセージの明確性、取材対応、そして社内への適切な情報発信や反応の把握・分析・対策など、多くの観点からのチェックが必要となります。
広報やIR、経営企画などの各部門だけでなく、社外のPR会社など、多くの視点をフル活用することが有効でしょう。
※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。
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