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【企業ショート動画のつくり方】基本ポイント3点(フレーム/演出/編集)


今回のテーマは「企業ショート動画」。近年、変化するZ世代の情報取得行動に最適化されたメディアとして、このZ世代から火が付き、全世代に拡大しつつある「レコメンデーションメディア」の普及・定着を背景に、注目されているコミュニケーション手法が「企業ショート動画」です。


この「企業ショート動画」が注目を集めている理由は主に、

❶視聴しやすい尺と内容
Z世代を中心に、様々な情報のつまみ食いをしながら意思決定する行動に適した、表現形式あるといえます。
❷受動視聴を促すレコメンド機能
ショート動画の投稿を行う、動画プラットホームのレコメンド機能では、AIのパーソナライズによって、視聴者の興味・趣向に合わせたコンテンツが提供され、エンゲージメントの高いUX(ユーザー体験)を実現しています。
❸アルゴリズムによる情報拡散機能
アルゴリズムで管理されている、ショート動画の情報拡散。その軸になっているのがエンゲージメントの高さです。このアルゴリズムを知る事で、当メディアの戦略的な活用が可能になります。
等が挙げられます。


それでは、企業ブランディングやマーケティングにこの「企業ショート動画」を活用する際に必要な、「アルゴリズム」理解をふまえた「制作クリエイティブのポイント」や「注意点」等について、ご紹介します。

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目次[非表示]

  1. 1.ショート動画の隠れた法則性
  2. 2.他の動画に“埋もれない”アカウントの軸をつくる「フレーム」9選
  3. 3.最後まで動画を‟離れない”「演出ギミック」7選
  4. 4.“がっかりされない”「編集&エフェクト」5選
  5. 5.目的に合わせて「3つの要素」を掛け合わせていく


最近「倍速消費」という言葉がよく聞かれるように、TikTokやYou tube Shortsなどの「ショート動画」の人気が加速しています。企業が発信・運用するショート動画、つまり「企業ショート動画」も、その流れを受けて、アカウントも増え活発になっています。短いコンテンツで印象的に情報を伝えることは、企業の情報発信においても重要な手段といえます。

しかし、企業アカウントは、コンプライアンス視点で表現に制限がかかるなどハードルも多く、自由な表現ができる個人アカウントに比べてなかなか視聴してもらえないという悩みもよく聞きます。「始めたものの運用ができず更新頻度が落ちてしまった…」という担当者の方もいるのではないでしょうか。

こんにちは。PRコンサルタント兼ビデオグラファーの関です。自分自身でも映像制作をする傍ら、企業の皆さまが運用するショート動画の、戦略立案や制作をサポートしています。

今回は埋もれない、離脱されない、がっかりされない「企業ショート動画」をつくるための原則についてご紹介します。


ショート動画の隠れた法則性


ショート動画と聞くと、無数のジャンルの動画が無秩序に混在していて、何を参考にしたらいいのかわからない、そんなイメージを持たれる方もいるかもしれません。しかし、混沌(こんとん)と存在しているように思えるショート動画にも、実は法則性があります。

今回は、人気ショート動画を分析し、必要な3つの要素として、「①フレーム」「②演出ギミック」「③編集&エフェクト」をそれぞれ解説していきます。

3つの要素はどれも必要不可欠で、掛け合わせ方でさらに表現の幅が広がります。例えば、「フレーム」と「演出ギミック」の掛け合わせ方によって、ユニークな動画を作ることができますし、そこに「編集&エフェクト」が加われば、動画の印象がガラッと変わることもあります。

では、ここからは3つの法則をそれぞれ解説していきます。


他の動画に“埋もれない”アカウントの軸をつくる「フレーム」9選


「フレーム」とは、ユーザーが動画に接触した瞬間に「これってあのシリーズだ!」と分かってもらうための「型」のことです。型は、動画をシリーズ化しやすくする「軸」になります。軸があることで、制作側にとっては企画/制作しやすくなるのはもちろん、視聴者にとっても、動画に一貫性が出て印象に残りやすくなります。


あるある動画フレーム 9選


フレーム自体は無数に存在しているものですが、今回はその中でも企業アカウントが参考にしやすい「フレーム」を9個セレクトして紹介します。



1.「解説」型
最もベーシックかつ、表現手法も多岐にわたる型。企業の持つファクトや情報資産を軸として、分かりやすく面白く説明することがポイント。

2.「〇〇あるある」型
最も視聴者の共感を得やすい型。日常系から、ニッチな世界のあるあるをネタにしているケースも。いかにシチュエーションの世界観を表現できるかが重要。

3.「〇〇と〇〇の違い」型
あえて対立構造にすることで、一方の独自性や面白みを強調する型。シリーズ化しやすいのも特徴。



4.「〇〇な〇〇3選」型
3選を1つずつ見せていくカウントダウン形式にすることで、最後まで動画を見たくなる心理誘導になります。

5.「ストーリーテリング」型
ストーリーのある構成にする型。個人の体験などを語り、見ている人が「エモい」「感動」「胸熱」などと感じるような展開に仕立てます。音楽と好相性。

6.「検証してみた」型
「検証企画の切り口」×️「検証の実施」×「リアクション」がワンセットになっていて、コンテンツとしての構成をきれいに設計できる型。ドッキリや実験系もこの型に分類。




7.「リズム・音ネタ」型
替え歌や、オリジナルダンスなど、キャッチーな型を作りその中で伝えたい情報や感情、ネタを表現していくショート動画の典型。

8.「クイズ・問いかけ」型
クイズ形式にすることで、見ている人が参加したくなるようなきっかけを作る型。いかに多くの人が「答えを知りたい」と思う問いを作れるかがポイント。

9.「スゴ技紹介」型
企業として普段は当たり前にやっていることでも、生活者からすると「スゴ技」や「裏ワザ」であることも。社内にそういった情報がないか、棚卸ししてみることもおすすめです。


最後まで動画を‟離れない”「演出ギミック」7選


続いては「演出ギミック」です。演出ギミックとは、視聴者に反応してもらうための「仕掛け」を意味します。動画の内容が単調になってしまうと、見ている人は途中で関心を失い、最後まで見ずに動画から「離脱」してしまいます。

離脱された動画はオススメに上がりづらくなり、結果的に視聴数が伸びなくなってしまう可能性があります。演出ギミックによる見せ方でエンタメ性を高め、最後まで見る人の関心を引き続けることが大切です。

とはいっても、どうすればいいか、と迷ってしまいますよね。ここでは、企業アカウントが応用しやすい7つの演出ギミックを厳選してご紹介します。



あるある演出ギミック 7選


①オチ・お約束
お決まりの導入やシメ方(オチ)を作るという演出。アカウントのカラーや出演者の個性を出しやすいのが特徴です。

②とにかく全力
「全力」であることを強調する演出。「全力で笑う」「全力で叫ぶ」「全力で挑戦する」など、全力で何かをする姿を見ること自体が視聴動機に。

③小ボケ
小さいボケを動画内に散らす演出。堅い情報でも親しみやすくする効果があり、つっこむ余白を作ることで、コメントなどのアクションに繋がりやすくなります。

④焦らし
動画前半で結末の暗示や期待感を醸成することで、答えを見たいという能動的な視聴意識が生まれ、離脱されにくくなります。

⑤完コピ・オマージュ
既存のネタやコンテンツ、人物の言動を完コピすることで、元ネタを知っている人が反応しやすく、既視感があることで視聴者が受け入れやすくなります。

⑥デフォる
完コピの誇張バージョンとして、デフォルメ(盛る)する演出。より印象的に伝わり共感も得やすくなり、ボケ要素が加わることでコンテンツがエンタメ的になります。

⑦顔出し
顔や表情を出すことで注意を引き付けやすく、アカウントのカラーを出しやすい演出。人間でなくてもイラストやアバターでも代行可能。


“がっかりされない”「編集&エフェクト」5選


最後の「編集&エフェクト」とは、「動画の身だしなみを整える作業」とも言えます。せっかく面白い内容のコンテンツなのに、編集やエフェクトがおろそかで、再生した瞬間の「がっかり感」で最後まで見てもらえなかったらもったいないですよね。

音楽やテロップなどの細かいところまでこだわり「ここまでこだわる企業なんだ!」と思ってもらうことも、見ている人との良い関係づくりにつながります。

「編集&エフェクト」は以下の5つが基本です。


あるある編集&エフェクト 5選


①音楽(BGM・SE)
BGM・SE(効果音)は流し続ける方法もありますが、途中から入れたりあえて止めたりすることでも、見ている人の注意を引き付けることができます。

②テロップ
内容の理解度を上げられる上に、無音視聴でも伝わります。フォントや色でも印象が変わるので、コンテンツに合わせてテロップを選ぶことが大切です。

③ナレーション・自動音声
内容が自然と頭に入っていく手助けになります。テロップと合わせるとより効果的。

④イメージ素材
背景や映像などのイメージ素材を使うことで、動画の中で伝えたい世界観や状況を、見ている人がイメージしやすくなります。

⑤見方の提示
動画のポイントや感想、ツッコミをテロップで表示し、動画の楽しみ方をあえてこちらから示す方法です。楽しみ方はもちろん人それぞれですが、作り手との答え合わせをするような感覚が楽しめます。


目的に合わせて「3つの要素」を掛け合わせていく


では、「フレーム」「演出ギミック」「編集&エフェクト」の3つの要素を実際にどう活用し掛け合わせていくか、詳しく説明します。

架空の調味料メーカー(以降A社)が企業ショート動画を作るとしたケースと仮定して、解説していきます。



ステップ0:「目的設定」

まず、そもそも企業として何を発信したいのかを明確にする必要があります。例えば、A社であれば、ロングセラー商品の調味料を若年層向けにPRすることなどが目的です。

企業によって
・商品の世界観を表現したい
・リクルートを目的に仕事の面白さを伝えたい
・新しいブランドイメージを浸透させていきたい
など、そのアカウントの目的を設定します。


ステップ1:"続けられる"軸=「フレーム」を選ぶ

発信したい内容が決まったら、どのフレームに合わせて発信していくかを決めます。今回紹介した9つのフレームでもオリジナルであっても、選定の基準としては「続けられること」が最も重要なポイントです。完成イメージだけでなく、汎用性や制作進行イメージ(必要素材・人員・情報・コストなど)も持ちながら選びます。

A社の場合は、若年層向けに商品をPRすることが目的なので、若年層が自炊する時にまねしたくなるノウハウを「A社イチの料理家が教える、簡単家メシの100の極意」として、「スゴ技紹介」フレームを応用してコンテンツ化していくことにします。


ステップ2:「演出ギミック」で仕掛けをつくる

フレームが決まったら、演出ギミックを考えます。演出ギミックは動画の随所に散らしていくイメージですが、分かりやすいように、導入・本編・シメの3つのシーンから考えていきます。



導入:動画が表示されたその一瞬でいかに視聴者を引きつけるかが勝負であり、ここでは、A社社員の顔の画像と動画タイトルを大きく表示します(顔出し・お約束)。

本編:本編では、情報としての分かりやすさが重要なので、映像とテロップで手順が分かるようにテンポよく解説していきます。ここで、A社イチの料理家として登場しているこの社員ならではのこだわりや、純粋に楽しそうに説明している姿などを見せられると良い印象が視聴者に伝わります。

シメ:調味料を使用した料理を食べ、美味しさに動揺しすぎているシーン+一言にします(オチ・お約束)。

これらはあくまで一例であり、他にもさまざまな仕掛けを追加していくことはできますが、このように一つの動画の中に複数の演出ギミックを入れ込むことで、動画の中にリズムが生まれ、視聴する(し続ける)フックを作ることができます。


ステップ3:「編集&エフェクト」で整える

最後の仕上げは編集&エフェクトです。BGMやSE(効果音)をつけて音でも華やかさを追加するほか、大きめのテロップをつけていくことで、情報が入っていきやすいように工夫します。
また、A社の場合では、食べるシーンはBGMをカットし、料理をひたすら美味しそうに食べる様子を強調させると、より魅力的に伝わりそうです。

このように、ショート動画を分解して考えると、その構成には一定の法則性があり、応用できることが分かります。ショート動画を実際に企画、制作していく際には、3つの要素それぞれから考えてみたり、要素を組み合わせたりしながら制作してみてはいかがでしょうか。

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。


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  「企業ショート動画」の作り方(アルゴリズム理解をふまえて) 「企業ショート動画」は、今や全世代に拡大しつつある「レコメンデーションメディア」の普及・定着を背景に、注目されているコミュニケーション手法です。その理由としては、主に❶ライフスタイルに適した視聴しやすい尺と内容、❷受動視聴を促すレコメンド機能、❸アルゴリズムによる情報拡散機能などが挙げられます。電通PRコンサルティングでは、この「企業ショート動画」活用の注意点や、アルゴリズム理解をふまえた「制作クリエイティブ」のポイント等について、お役立ち資料にまとめました。 なお「ショート動画活用」は、大変効果的なマーケティング効果やブランディング効果を生み出す一方で、リスクの理解や制作工程の多さなど、リソースのかかる情報発信手段というでもあります。新時代のPR手法として、目まぐるしくトレンドや情報が移り変わっており、だからこそ当社でも常に新しい情報をアップデートしています。当資料をご覧頂き、「ショート動画」を活用したマーケティングやブランディングに関するご質問、ご相談などありましたら、ぜひ、お気軽にご相談ください。 「PR X」マガジン|すべてのビジネス領域に、PRの技術を|株式会社電通PRコンサルティング

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PRX編集部
PRX編集部
電通グループ内のPR領域における専門会社「電通PRコンサルティング」が運営するオウンドメディアです。1961年の創立以来、国内外の企業、団体をサポートしてきた経験・実績をベースに、電通PRコンサルティングならではの視点で、PRの基礎から最新PRトレンドやソリューションまで幅広くお届けします。

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