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個人投資家に届くIR・PRとは?効果測定の新アプローチと戦略立案のヒント

日経平均、最高値更新———。
日本株を保有する個人投資家が引き続き増加———。

8月のお盆を挟んで日経平均株価は最高値を更新するなど株式市場は活況を呈しています。

東京証券取引所などが7月4日に発表した「2024年度株式分布状況調査の調査結果」によれば、個人株主数(延べ人数)は、前年度比914万人増加の8,359万人となり、こちらも過去最高を更新しました。

この間、2024年8月には、東京株式市場で日経平均株価の終値が前週末比4451円安と史上最大の下げ幅を記録したり(令和のブラックマンデー)、2025年4月にはいわゆる「トランプ関税ショック」で同じく2644円安と大きな暴落に見舞われるなど、市場の混乱もありました。

それにもかかわらず、市況は息を吹き返しています。

さまざまな要因があると考えられますが、こういった逆境時に市場を支えたのが、増加する個人投資家の存在でもあるのではないかと分析されています。

本記事では、個人投資家への広報の重要性、IR活動の効果測定の難しさ、IRとPRを一体化した新たな分析手法、そして今後求められる戦略立案のヒントについてご紹介します。

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目次[非表示]

  1. 1.個人投資家への広報の重要性が高まる背景
  2. 2.効果測定が難しい個人投資家へのIR活動
  3. 3.個人投資家の銘柄トラフィックデータと報道分析を組み合わせ、IRとPRを同じ土俵で分析する試み
  4. 4.IRとPRを一体化したストーリー戦略へ

個人投資家への広報の重要性が高まる背景


電通PRコンサルティングでは、「日経ビジネス」が行う「IR発信力ランキング」で調査設計・実施に協力しています(2025年7月14日号/第1回となる昨年は2024年8月12日・19日合併号)。

この調査は、日経平均株価の構成銘柄の225企業について、IR情報(財務情報および、自然資本、製造資本・知的資本、社会関係資本、人的資本の4つの非財務情報)を発信できているかや、情報発信の工夫が感じられるかなどを、個人投資家1万人強にアンケート調査したものです。


★「日経ビジネス 第2回 IR発信力ランキング」は、総合スコアの上位150社のほか、全評価軸についてそれぞれ上位30社のランキングを掲載しています。ご興味のある方は、日経BP/日経BPコンサルティングのサイトからホワイトペーパーをダウンロードしてください。データをさらに詳細に分析し、IRの発信における課題を抽出したりベンチマーク企業と比較をするカスタムリポートも作成しています。
https://consult.nikkeibp.co.jp/ccl/atcl/20250711_2/



この個人投資家1万人強を対象にした調査では、投資タイプや投資行動についてもアンケートを取っています。

トランプ関税ショックで相場が急落した時にどういった投資行動をとったかも調査しており、約55%が「静観していた」と答えた一方で、約40%が「株式を買い増しした」と答え、「売却した」と答えたのは4%以下でした。

つまり、海外の個人投資家・機関投資家が株を売却し、株価が暴落する中でも、日本の個人投資家は買い支えたといえます。実際に東証が発表している「投資部門別売買状況」の統計でも個人投資家は買い越しの状況でした。

また、「現在の個別銘柄への株式投資タイプ」を答えてもらう投資スタイルについての質問では、短期トレーダー(数時間~数日の範囲での株価の変動に合わせてトレード)約6%、グロース先行投資(数カ月~数年の期間での株価上昇による売却を狙う)約10%という中、インカムゲイン重視(中長期目線での高配当や株主優待による利回りを重視する)約27%、バリュー株重視(中長期での資産保護と手堅い利益確保を重視し、割安と判断される銘柄を探して投資)約22%、という結果もありました。



このような結果からも、テクニカルな財務やチャート分析を駆使して短期で結果を出すというよりも、さまざまな情報や評判から中長期で利益が見込める成長株を買い、相場の急落時には買い支える存在となるなど、「株価の安定」にも個人投資家は重要な役割を果たしているといえます。

新NISAなどの制度も後押ししているといえますし、昨今話題になっている、コーポレートガバナンス強化の観点から企業同士などの株式の持ち合いや、政策保有の解消が進む中、大口の機関投資家に安定株主になってもらうことは重要ではあるものの、中長期的に保有する可能性の高い個人投資家も、今や見過ごせない存在になってきているのです。

効果測定が難しい個人投資家へのIR活動


存在感が高まりつつある個人投資家ですが、その動向や、IR活動による影響、効果を分析することは難しいといえます。大口の機関投資家のように対応すべき相手がある程度はっきりしていれば、説明会や個別の面談の設定などのアプローチである程度検証ができるかもしれませんが、個人投資家となると相手がなかなか見えてきません。

個人投資家はIR情報だけでなく、メディアの報道も含め企業のさまざまなコミュニケーション活動から投資の決め手となる情報を得ているものと思われますが、ではどういう情報に接触した時に株を購入しようとするのかを因果関係をもって検証する方法は少ないと思われます。

出所)日本IR協議会「第31回 IR活動の実態調査」(2024年)調査結果を基に、当社でグラフ作成(上場会社1,039社が回答

こうしたことから、個人投資家に対するIR活動の効果測定手段に悩まれたり、特に現状では効果測定を行っていなかったりという場合もあるのではないでしょうか?

個人投資家の銘柄トラフィックデータと報道分析を組み合わせ、IRとPRを同じ土俵で分析する試み


企業の広報部門との関わりが多い当社でも、例えば注目を集めた記者発表会や決算発表の直後や翌日の報道から出来高や株価が急上昇したり、大型のテレビ番組で取り上げられた際に値動きがあったりなど反応を、広報担当の方から伺うことが多くあります。

もちろんこうした時の株価の変動には機関投資家の動きの影響が大きいと考えられますが、ニュースを材料にSNSで話題になることで、おそらくは個人投資家も反応しています。ところが、そうした個人個人の動きから何かの傾向を抽出したりするには、なかなかつかみどころがなく難しいものです。

また、企業で「これは話題になるだろう」と思って期待していたIR活動であっても、マクロ環境によっては株価に響かない場合もあり、その効果を検証し切れないということもあります。

当社では、こういったIR活動にPR活動の視座を加えて分析ができるのではないかと考えていました。また、個人投資家がどういったメディアに接触して情報を得ているかということも調査していました。

当社内のシンクタンク・企業広報戦略研究所の調査によると、個人投資家が株式投資する際に接触する情報源としては、企業のサイトのIRページや四季報のような投資情報が集約された冊子も見られていますが、それよりも、ニュース報道や、金融情報を扱う掲示板や情報サイト、若年層ではYouTubeやXといったSNSプラットフォームなど、普段から接しているメディアの延長線上で情報を得ているということが分かりました。個人投資家の動向を分析する場合は、個人投資家が「一般生活者」の側面も持ち合わせていることを考慮して、「IR」だけでなく「PR」の観点からも検証することが重要であるといえます。

個人投資家が株式投資する際の情報源(企業広報戦略研究所/電通PRコンサルティング内)2023

「ニュース報道も材料に金融情報サイトなども回遊しながら個別銘柄を物色しているという傾向を可視化し、実際に個別銘柄に関して個人投資家の注目が集まったか」を分析できないか——。

このような課題に応えるため、電通PRコンサルティングと、国内の全上場企業約4,000社の情報を網羅し、「MINKABU(みんかぶ)」や「Kabutan(株探)」をはじめとする総合的な金融メディアを運営、月間約900万人の投資家ユーザーが来訪する日本国内で国内最大級の投資家プラットフォームを保有する株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドは、個人投資家を対象にしたIR・広報活動の効果測定・戦略策定支援を行うサービス「IRwith PR」を提供開始しました。

本サービスは、ミンカブが保有する、国内最大級の株式情報メディア「MINKABU」「Kabutan」の企業ページのトラフィックデータを基盤としています。このデータに電通PRコンサルティングが報道量や株式の出来高を掛け合わせて評価・分析することにより、IR・広報活動の効果を客観的に可視化・比較できるコンサルティングレポートを作成し、提供するものです。また、同業他社・競合銘柄のデータと併せて分析、比較することで、IR成果の“相対評価”が可能になるものです。

リリースURL:https://www.dentsuprc.co.jp/releasestopics/news_releases/20250825.html

投資家の“反応”を可視化するIR・広報活動の効果測定「IRwith PR」サービス紹介資料をダウンロード

IRとPRを一体化したストーリー戦略へ


「IRwith PR」で得られる効果測定、分析から得られる知見はまだまだスタート地点であるともいえます。どのようなIR活動、PR活動が、報道に結び付いたか、報道ではどのような文脈で語られたか、それが個人投資家に響いて、銘柄を物色買いするような動きがあったのかどうか等を推測したり解明したりする一つの手がかりになります。

そのような知見を得ていく中で、「有効な語り口、ストーリー戦略」とはどのようなものか、どのようなファクトが響くのか、ベンチマークとする企業のどの活動が個人投資家に響いているのか、自社に生かせることはあるだろうか、有効なコミュニケーション活動は何だろうか、という、その企業にとっての効果的なIR活動、PR活動が見えてくるかもしれません。

東京証券取引所は7月、に全上場会社に対し、株主や投資者との関係構築に向けたIR体制の整備を義務付けました(2025年7月22日施行/IR体制の整備義務化)。個人投資家との関係構築、情報提供が今後さらに求められるようになる中で、これまでのような情報発信戦略とその効果測定を主とした「届けるIR」から、個人投資家にも企業の魅力が伝わり、購買などの行動に移してもらえるか、応援し続け、ファンになってもらえるかを考える「動かすIR」が求められるのではないでしょうか。そして投資家であり、一般生活者でもある「個人投資家」に対しては、PR活動と一続きになったIR戦略が求められるのです。

電通PRコンサルティングでは、IRとPRを統合的に捉えた戦略設計から、実行、効果測定までを一貫してご支援しています。個人投資家とのより良い関係構築を目指す企業の皆さまは、ぜひお気軽にご相談ください。

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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PRX編集部
PRX編集部
電通グループ内のPR領域における専門会社「電通PRコンサルティング」が運営するオウンドメディアです。1961年の創立以来、国内外の企業、団体をサポートしてきた経験・実績をベースに、電通PRコンサルティングならではの視点で、PRの基礎から最新PRトレンドやソリューションまで幅広くお届けします。

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