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PRイベントを成功させるための方法は?事例とポイントを解説

メディア露出やSNS拡散など、話題づくりに欠かせないPR手法が「PRイベント」です。

2023年に新型コロナウイルスの規制が緩和され、イベント開催が再び活発化。消費者やメディアに商品やサービスを「リアルな体験」として伝える場として、PRイベントの価値が再認識されています。

本記事では、多様化するPRイベントの種類や設計のポイント、そして成功事例について、20年以上にわたり1000件以上のイベントに携わってきた、電通PRコンサルティングのイベントプロデューサー・斉藤 裕が解説します。


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目次[非表示]

  1. 1.PRイベントの種類は?主要な4つを紹介
  2. 2.メディア向けイベント
    1. 2.1.記者発表会・メディア説明会
    2. 2.2.内覧会
    3. 2.3.セミナー
  3. 3.インフルエンサー・ファン向けイベント
    1. 3.1.インフルエンサーイベント
    2. 3.2.ファンミーティング
  4. 4.一般向けベント
    1. 4.1.ポップアップイベント
    2. 4.2.サンプリングイベント
  5. 5.社内向けイベント
    1. 5.1.インターナルイベント
  6. 6.PRイベントの成功事例 ポイントは3つの「E」
    1. 6.1.①Entrance  
    2. 6.2.②Earned & Shared  
    3. 6.3.③Engagement
  7. 7.PRイベント 実施後の効果測定を忘れずに
  8. 8.より効果的なPRイベントにするために


PRイベントの種類は?主要な4つを紹介


これまでPRイベントは、メディア向け、生活者向け、投資家向けなど、対象を限定して開催するのが一般的でした。しかし、情報流通の手段や経路が多様化した今、その在り方は大きく変わってきています。

現代のPRイベントに求められているのは、「多様なステークホルダーに『価値ある体験機会』を提供すること」に変わってきました。
直接的な体験価値はもちろん、参加者を通じた情報拡散まで視野に入れた設計が重要になってきています。



せっかくPRイベントを実施するからには、情報を適切にステークホルダーに届け、情報流通の最大化を狙いたいもの。最適な組み合わせや設計をするために、まずは主要なイベントの種類と、そのポイントを押さえておきましょう。

主要な4パターンのPRイベントについて、ポイントと併せてご紹介します。


メディア向けイベント


記者発表会・メディア説明会

新商品や新サービス、新CM、社長交代、事業戦略などを、メディアに向けて「発表」「説明」するイベントです。

ここで重要なのは、既出の情報ではなく、この場で初めて公開される「新しい情報」を提供することです。

発表会に赴くメディアも、そこで得られる新しい情報を基に、記事が書けることを期待しています。既出の情報は、補足説明にとどめて、新しい情報を軸に発表会を組み立てていきましょう。

【ポイント】
・企業のビジョンであれば経営トップ、新商品なら開発責任者など、その内容について「最も説得力を持って語れる人」が話すことが重要。
・発表会後に質疑応答や囲み取材の機会を設けることで、各メディアごとに独自の切り口で取材しやすくなります。
・タレントを起用する際には、知名度だけでなく、商品やサービスとマッチする「文脈」があるかどうかもポイントの一つです。

内覧会

商業施設や店舗、展示会のオープンに先駆けて、メディア向けに公開するイベントで、プレスプレビューとも呼ばれます。またメディアを順番に案内し、スタッフが帯同して説明するメディアツアーという形式をとる場合もあります。

オープニングセレモニーを実施する場合も多く、経営トップの登壇やタレントを起用すると、より魅力的な画づくりが可能になります。

また、メディアだけでなく、インフルエンサーや一般生活者も招待することで、ソーシャルメディアで紹介され、さらなる話題化を目指すことが出来ます。

【ポイント】
・ニュースに取り上げてほしいポイントを意識しながら取材環境を準備する。
・事前にメディアが取材・撮影しやすい環境づくりを心がけることがポイントです。結果的に、体験レポートのような内容でニュースになっているケースもあり生活者の集客につながることもあります。

セミナー

専門家やゲストが発表・説明するセミナーや、有識者によるパネルディスカッション、公開討論を行うシンポジウム、参加者とディスカッションを行うラウンドテーブルなど、特定のテーマについて深く掘り下げるイベントです。

参加者の知識・意識向上とともに、課題解決のヒントや新たな視点を提供します。

記者向けセミナーの場合、すぐには報道に結びつかない場合が多いですが、「この分野はこの企業が詳しい」という印象を持ってもらえることもあり、今後の取材へとつながったり、良好な関係の構築に役立ったりするケースもあります。

【ポイント】
・ニュースや特集に役立ててもらえるような業界の最新動向や、生活者に関係する事象について整理し、分かりやすく説明します。
・企業の活動やビジョンについて、専門家からの第三者視点での意見が期待できます。特に、社会課題をテーマとした企業活動などは、第三者視点が加わることで、より多角的な視点から意見が出て、活動への理解度が増します。公平な視点を持ち、業界に深い知識のある有識者の登壇を企画するのもポイントです。


インフルエンサー・ファン向けイベント


インフルエンサーイベント

新製品の体験会やフォトジェニックな展示イベントなど、インフルエンサーを招待して、ソーシャルメディアでの紹介を主目的とするイベントです。プログラムやコンテンツはインフルエンサー向けに企画し、ソーシャルメディア上での紹介・話題化を目指します。

メディア向け記者発表会とは異なり、投稿映えするフォトスポットの設置など、ソーシャルメディアで紹介されやすいことを意識したコンテンツ設計が求められます。

【ポイント】
・イベントの企画名は、ハッシュタグが広がることを念頭に置き設定します。話題になるだけではなく、訴求したい商品やサービスとしっかりつなげた投稿をしてもらえるよう、意識しながら企画することが重要です。

・フォロワー数の多さや影響力の高さだけではなく、「文脈」がマッチしたインフルエンサーを招待することで、インフルエンサーをよく理解しているフォロワーと、企画趣旨が共鳴し、ソーシャルメディアを中心に情報拡散につながります。

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ファンミーティング

商品やサービス、企業のファンやアンバサダー活動を行っている一般生活者を招待するイベントです。ロイヤルカスタマーともいわれる熱心な顧客への感謝を伝えるとともに、よりブランドへの愛着を深めてもらう機会として機能します。

【ポイント】
・招待された参加者の、特別感を醸成する仕掛けを施すことで、ロイヤリティのさらなる向上につなげることが期待できます。
例:特別感のある招待状、その会限定のお土産の進呈、ブランドの担当者(いわゆる「中の人」)とのコミュニケーションなど


一般向けベント


ポップアップイベント

期間限定のショップやカフェ、展示会など、商品やサービスの世界観を体験できる場をつくり、一般生活者を集客して行うイベントです。

一般的には期間限定のイベントになるため、今だけしか味わえない特別感と、その空間ならではの没入感を醸成することで、魅力的な体験を提供することができます。

【ポイント】
・体験している生活者の声は、メディアやSNSを通じてリアルな声として伝わり、体験していない人にとっても疑似体験につながります。
・オープン前にメディア向け内覧会を設けることはもちろん、会期中もメディア取材対応が可能な環境を整えておくと良いでしょう。
・デジタルのギミックを効果的に活用し、リアルの体験に落とし込むことで、満足度の高い「CX(カスタマー・エクスペリエンス=顧客体験)」を提供することもポイントです。


サンプリングイベント

従来の不特定多数への配布から、配布エリアや場所を厳選し、特定のターゲット層に焦点を当てた展開が注目を集めています。

ソーシャルメディアで事前に配布場所・時間を告知したり、AIなどのデジタルコンテンツを活用したギミックを用意するなど、配布前後の体験設計まで含めて企画することで、サンプリングを起点にした情報流通を設計することができます。

【ポイント】
・誰にでも配っているものと思われるよりも、「自分に向けて配布されている」と思ってもらった方が、自分ゴト化することができ、企業/ブランドとターゲットとの距離が縮まります。
・また、PESOメディア全般を通じた情報発信により、単なるサンプリングを超えた効果的な情報発信を目指すことができます。


社内向けイベント


インターナルイベント

社員総会やチームビルディングイベント、社内研修セミナーなど、組織内コミュニケーションの活性化を狙うイベントです。

社員のモチベーション向上、ビジョン共有、コミュニケーション活性化などを目的に、社員参加型コンテンツなどテーマに合わせた企画を実施します。

社員やグループ会社、さらには社員の家族まで、インターナルなステークホルダーとの絆を深める重要な機会となります。

【ポイント】
・「なぜこのイベントを行うのか」という目的を明確にし、伝えることが重要。「楽しかった」と思ってもらうことも大切ですが、それだけで終わらせないためにも、何を伝え、何を持ち帰ってほしいのか、参加者の自分ゴト化を促す工夫が必要です。

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PRイベントの成功事例 ポイントは3つの「E」


さまざまな種類がある、PRイベントですが、設計するために、広報・PR担当者が押さえておきたい3つの視点があります。それぞれの頭文字を取って3つの「E」として紹介します。



①Entrance  

PRイベントはステークホルダーとの新しい接点、つまり「入り口」(Entrance)、きっかけづくりの場となります。

そのためPRイベントの設計においても「PR」=「世の中との良い関係づくり」が欠かせず、企業やブランドの“独りよがり”な設計では成功しません。

イベントを通して、ステークホルダーやメディアの関心事や問題意識を踏まえ、どのような情報発信がポジティブな反応を引き出し、好意形成できるのかを考え、イベント設計することが大切です。

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事例:熱中症対策と関連付けた「こども気温」

商品の機能を一方的に訴求するのではなく、社会課題や潮流と関連させてブランドメッセージを届けた事例。

清涼飲料水ブランドの「GREEN DA・KA・RA」は、夏に猛暑日が続いたことを踏まえ、熱中症対策という社会課題と関連させたメッセージによるPRイベントを実施。

子どもは大人と比べて、地面からの距離が近く、太陽の照り返しを受けやすい特有の暑熱環境にあることを「こども気温」と称し、啓発イベントを開催。それに伴い、期間限定で特別自動販売機の設置や、啓発動画の制作・YouTube配信など多角的なPR施策を行った。


②Earned & Shared  

Earnedとは、主に報道機関や第三者メディアによる発信、Shared とはソーシャルメディアやクチコミサイト等を指します。Earned & Sharedメディアを通すことで、直接イベントに参加/来場できない生活者にも情報を届けることができます。

そのため、PRイベントを設計するに当たっては、メディアが取り上げたくなる「メディアバリュー」や、インフルエンサーや生活者が周りにシェアしたくなる「シェアバリュー」の視点を入れましょう。

例えば、メディアにとってインパクトのある情報を切り口にしたり、有識者や専門家による説得力あるコメントを活用したり、社会性や季節性などモーメントを押さえた情報設計を行うことで、メディアでの取材・報道獲得、ソーシャルメディアでの拡散につながる可能性が高まります。

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事例:ギネス世界記録にチャレンジ「一番くじ」

インパクトある結果を切り口にした事例。

発売20周年を迎えた「一番くじ」は周年プロジェクトの一環で、くじ券2万2610枚を使用し、「くじ券で作る最大のモザイクイメージ」としてのギネス世界記録に挑戦。

イベント実施に際して、記録達成が認定され、「一番くじ」の楽しさを届けた。


③Engagement

最後は「エンゲージメント」です。

ステークホルダーのエンゲージメントやロイヤリティを高めるCX(カスタマーエクスペリエンス)も、PRイベント設計には欠かせないポイントです。

メディアや生活者にポジティブな印象を与える仕掛けを施し、PRイベントを、好意を持つきっかけとなる「価値ある体験機会」とすることで、一過性で終わらない継続的で良好な関係をつくることができます。

記者発表会であれば取材しやすい環境を整えるメディアファーストな運営、誠実なメディア対応の姿勢、プロモーションイベントであれば参加者の記憶に残るコンテンツ体験、インフルエンサーイベントであればホスピタリティの高いお土産やコンテンツ設計など、おもてなしの心を持ってきめ細かい仕掛けを行います。


事例:インフルエンサー向け夕食会

海外の政府観光局が、世界中の食にまつわるメディアやインフルエンサー数十人を招待し、一晩限定のディナーイベントを実施。

美しい景色の中で、地元食材を使った一流シェフによる特別メニューを提供することでその国の食文化や伝統を伝えるとともに、メディアやインフルエンサーの好意度や、エンゲージメントを高めるイベントとなった。


PRイベント 実施後の効果測定を忘れずに


イベントを実施した後には、広報活動の成果を効果的に測定することが重要です。

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効果測定を行うことで、PRイベントの影響範囲や話題性、エンゲージメント度を数値化し、次の施策に向けた改善ポイントを明確にできます。

特に、SNSでのシェア数やメディア露出数、参加者の反応などを把握することは、イベントの成功度合いを把握するために欠かせません。

効果測定の際は、ツールの活用により、データに基づいた評価を行うことで、より効果的な広報戦略の構築が可能です。

電通PRコンサルティングの広報効果測定ツール「PR Matrixダッシュボード」の詳細は、下記リンクからご確認ください。


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より効果的なPRイベントにするために


今回は「PRイベント」の設計に欠かせない3つのE(Entrance、Earned & Shared、Engagement)を紹介しました。

これら3つの視点を大前提として、企業やブランドが発信したいメッセージ、目指すべきステークホルダーとの良い関係性を明確にすることで、より効果的なPRイベントを設計することができます。

電通PRコンサルティングのプランニングチーム「PRX Studio Q」では、企業やブランドのPR戦略立案から企画、実行までをワンストップで対応いたします。

今回の記事でご紹介したPRイベントも、ご要望に合わせて柔軟に対応いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。


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