
リテナー契約とは?メリットやPR会社を選ぶポイントを解説
「リテナー契約」とは、毎月一定の報酬を支払うことで継続的な支援を得られる契約形態のことを指します。新製品発表会のような単発のプロジェクトごとに契約を交わす「スポット契約」と異なり、PR会社のリソースや知見を継続的に利用することができます。
近年、複雑化・多様化するメディア環境への対応やリスク対応ニーズの高まりなどから、広報・PR担当者が担う領域が広がっています。広報活動を確実に効果的に実践するために外部パートナーの活用を検討している、もしくは、他社への切り替えや見直しを考えているものの、契約形態やPR会社の選択肢が多く迷う方も少なくないのではないでしょうか。
本記事では、リテナー契約の特徴やメリット、PR会社を選ぶ際のポイントなどについて解説します。
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目次[非表示]
- 1.リテナー契約とは
- 2.リテナー契約のメリット
- 3.リテナー契約の主な業務内容
- 3.1.広報戦略策定
- 3.2.広報スキルの向上支援
- 3.3.危機管理広報
- 3.4.メディアリレーションズ活動
- 3.5.プレスリリース作成
- 4.PR会社を選ぶ際のポイント
- 5.まとめ
リテナー契約とは
そもそも、PR会社を利用することのメリットとしては、以下の4つが挙げられます。
(1) PR会社の持つ豊富な経験や人脈に基づいたノウハウ、アイデアを利用できる |
そして、PR会社との契約には、毎月一定の報酬を支払って継続的なコンサルティングを受ける「リテナー契約」と、プロジェクトごとに交わされる「スポット契約」があります。
各契約には異なる特徴があり、自社の目的や課題に合った契約を選択することが重要です。
リテナー契約のメリット
PR会社と中長期的にパートナーシップを築く「リテナー契約」では、いわば「かかりつけ医」のように、広報・PRの課題や困りごとをすぐに相談できる点が魅力です。主なメリットをご紹介します。
業務効率化とノウハウの蓄積
依頼しているPR会社と継続的なコミュニケーションをとっているため、毎回自社の説明や調整を繰り返す必要がありません。社内外の関係者・承認プロセスなどを理解しており、スムーズに進行することができます。
また、PR会社がパートナーにいれば、常にアップデートした最新の業界・メディア情報を得られたり、その分野に精通した人に相談したりできるため、限られたリソースの中で効率的に業務パフォーマンスを向上させることができます。さらに、PR会社がさまざまな業界の支援で培ったノウハウを自社に吸収することもできます。
危機や緊急時に即座に対応可能
事件や事故など予期せぬ事態が発生してしまうと、最悪の場合は企業の存続を脅かすほどの大きな打撃を経営に与えかねません。情報の流通が加速する現代においては、より迅速かつ適切な広報対応が求められます。
日頃から外部パートナーと関係を築いておけば、緊急時に即時連携し、企業のレピュテーションを守るための具体的な戦略を実行することができます。また、いざというときの初動を成功させるためには、平常時の備え、つまり、危機を予見し対策する「リスクマネジメント」が重要です。PR会社によっては記者会見トレーニングなどを実施しており、危機管理広報の支援を受けることができます。
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クライアント理解が深まり、より戦略的な提案を受けられる
リテナー契約では、パートナーとなるPR会社が企業文化・経営方針・ブランド戦略を深く理解し、継続的に広報活動を進めます。単発のメディア露出や話題づくりに終わらず、中長期的に一貫した戦略的な広報を実践していくことにより、ブランド構築や企業価値の向上を実現することができます。
リテナー契約の主な業務内容
リテナー契約では、PR会社が社外広報部のように伴走し、広報・コミュニケーション活動全般を継続的に支援します。支援領域については、PR会社にもよりますが、ここでは主なものをご紹介します。
広報戦略策定
広報戦略を策定する上では、経営方針に基づき“ありたき姿(広報目標)”を描き、現状とのギャップを埋める活動をデザインしていきます。
報道論調分析やメディアヒアリング、広報効果測定データの分析など、PR会社のネットワークや知見を生かして現状を分析し、広報課題を抽出します。それらをベースに、プロジェクトのための戦略策定ではなく、日頃の広報活動の課題解決のための戦略策定と実行までを一気通貫して支援することが可能です。また、実行して終わりではなく、効果測定による成果の可視化と改善提案を行い、継続的に課題解決の戦略を改善していくことができます。
広報スキルの向上支援
PR会社には、さまざまな業界に対する支援で培ったノウハウが蓄積されています。各分野のPRエキスパートが、最新のPR事例・トレンド・消費者動向・メディア環境などの知見や情報を共有することが可能です。
また、すでにある知見をアップデートするだけではなく、広報体制が整っていない、人事異動や慢性的な人手不足で部門内にノウハウが蓄積されていないなどの場合も、PR会社と連携して効率的に体制を構築することができます。
危機管理広報
平常時に事件や事故など予期せぬ事態に備えるリスクマネジメントと、緊急時の迅速なクライシス対応は、企業のレピュテーションを守るために非常に重要です。クライシス発生時には、短時間で情報を整理し、事実関係、対応策、再発防止策、責任表明など、納得感がある説明が求められます。
PR会社は、緊急時の被害最小化を目的にコミュニケーションに関する全般的なサポートを行います。具体的なサポート内容としては、リスクの洗い出し、危機管理広報マニュアルの作成、メディアトレーニング、緊急対策本部の運営支援、記者会見における想定Q&Aの作成、発表資料の作成などが挙げられます。
リテナー契約で継続的なコミュニケーションをとっているからこそ、普段どの記者クラブやメディアと付き合いがあるのか、どのソーシャルメディアでの情報発信を主としているのか、過去に同様のリスク案件が社内にあったのか、社内の報告ルートはどうなっているのかなどを把握しているPR会社は、強いパートナーになってくれるでしょう。
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メディアリレーションズ活動
メディアリレーションズ活動とは、広報担当者がメディア(新聞・テレビ・雑誌・Webなど)と信頼関係を築き、自社に関する情報を報道・掲載してもらうための継続的な取り組みのことを指します。広告とは違い、報道は「第三者による評価」として受け取られるため、社会的信頼を高める効果が大きいといわれています。
PR会社は築いてきたメディアとのネットワークや知見を生かし、事業内容や訴求ポイントに合わせて最適なターゲットメディアを選定し、より良質な記事掲載を獲得するための活動を行います。
プレスリリース作成
近年はメディアの多様化に伴い、世の中の情報量は急増。生活者に情報を届けるためには、メディアはもちろん、生活者からの共感も得られるリリース作りが欠かせません。つまり、情報の「届け方」だけなく、メディアや生活者の視点も踏まえた新たな情報の「作り方」にも注力する必要があります。PR会社が持つ知見を生かすことで、生活者に届く情報にして発信することができます。
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PR会社を選ぶ際のポイント
PR会社と一口でいっても、それぞれ得意とする領域があり、活用目的に沿って選ぶことが必要です。例えば、パブリシティーを主体としたメディアへのプロモート、PRイベント・社内報などの広報ツール制作、調査・分析活動などを得意とする「専門PR会社」と、PRを含むコミュニケーション活動全てを実行できる「総合PR会社」があります。広報・PR活動が多彩な領域にわたるようになった昨今は、PR会社の形態や提供するサービスの内容も多様化しています。
また、リテナー契約は、単発のプロジェクトと異なり、活動量に関係なく毎月コストが発生します。長期的なパートナーシップを組むことになるPR会社選びは、「自社の目的に最も合うか?」という視点を持ち、慎重に比較検討することが必要です。
そこで、まずは自社が持っている広報資源(人材・情報など)の棚卸しをしてみましょう。広報課題や目的、不足しているものが明確になったら、それを補うことができるPR会社を見つけていきます。
例えば、「新しい情報発信方法を検討したい」場合にはソーシャルメディアやオウンドメディアの運営やメディアリレーションに強い会社、「リスク管理体制を整えたい」場合には危機管理広報、「広報体制の強化を目指したい」場合には広範な広報・PRの知見を有し伴走支援してくれるか、「自社のネットワークを超えて社会的認知を拡大したい」場合には広告なども含めたコミュニケーション戦略の立案と実行、「海外への情報発信を強化したい」場合には海外PRへの対応、「個人投資家向けコミュニケーションをやっていきたい」場合にはIRとPRの両方に関する知見を有するかどうかなど、自社のニーズとその会社の得意領域を照らし合わせていきます。
PR会社の得意領域を把握する上では、自社と同じ、または類似する業界での支援実績が豊富かどうかは、有効な判断材料の一つとなるので、ぜひ相談時や提案依頼時に質問してみましょう。
加えて、リテナー契約では、さまざまな広報・PRの相談ができる点も強みの一つです。専門性だけでなく、フレキシブルに対応できる汎用的な伴走力があるかどうかも、中長期的に関係を築く上で欠かせない視点です。
まとめ
リテナー契約では、継続的かつ中長期的にサポートしてもらえるため、日頃の広報・PR業務の相談はもちろんのこと、クライシスなどの急な対応や、ブランドの価値を高める戦略立案・実行などでメリットを得ることができます。
電通PRコンサルティングは、60年を超える年月で培った圧倒的なリレーションやノウハウを武器に、生活者視点に立ったコミュニケーション活動を強力にサポートいたします。また、電通グループ各社との協業はもちろんのこと、ご指定の広告会社、制作会社との協業も可能です。
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※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。
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